現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

終日、畦畔の草刈り。昼寝つき。

16日(金)
終日、畦畔の草刈り。昼寝つき。


夜は寄り合い。


17日(土)
終日、畦畔の草刈り。昼寝つき。


8月9日の読売新聞の記事に京都大学名誉教授の松井三郎氏が文章を寄せていた。「農業競争力の強化策 減反やめて品質で勝負」という見出しでした。以下その要約。


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環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に伴って、必要になる農業強化策の具体案はまだ出そろっていない。これまでに政府が打ち出した方針は、農地の集約で経営規模を拡大して生産コストを4割削減し、国際競争力を高め、農家所得を倍増させるーーなどである。しかし、これででは日本農業強化に十分な内容とは言えない。
日本の農業は経営規模こそ小さいが、豊かな自然に恵まれた環境にある。隣の韓国は、アメリカとの自由貿易協定で自給自足を放棄したと考えられる。中国は自給自足ができない構造になっている。豚肉生産の飼料穀物となるトウモロコシやダイスの輸入量が増加したためである。
日本も養豚や養鶏、肉牛生産のために穀物を輸入している。それが食料自給率(カロリーベース)が40%を切る原因だ。解決策として、飼料用の輸入穀物に変え、米の減反政策をやめて飼料米を増産することだ。飼料米生産への補助を増やしても良い。
自給率は改善し、米農家の生産・生活基盤を拡充できる。水田が本来持つ「多面的機能」ー国土保全や水源涵養、自然の保全などーの回復にも役立つ。減反廃止に伴う主食用、飼料米用の増加は、自給ができない隣国への輸出などに振り向けることも可能だ。
日本の農業は、多品種少量生産が特徴である。それが日本食の多様性・豊かさを生み出している。
例えば、京都の老舗料亭が京都の日本食を海外に広める活動を展開しているが、その「ブランド力」は評価が高い。豊かさの背景には、繊細に調理された刺身や寿司など、鮮魚を食べる文化がある。これに安全・安心でおいしい農産物を加えた食文化のPRは、日本農業を世界に普及させる重要な活動である。
安全管理には、もっと自信を持って良い。汚染された水や土壌、農薬のずさんな管理など、中国の食品問題は常に指摘されている。中国食品の安全性に関しては、当の中国人ですら疑っている。安全対策は、輸入時の食品検査の徹底などで対応すべきだが、産業政策的には、これを活用して日本の競争力を高められる。
高付加価値を実現するひとつの方策として、安全性を高めた高品質の農産物農産物づくりがある。農薬と化学肥料を徹底して減らし、安全な有機肥料活用する。つまり「プロバイオティクス環境農法(人体に良い影響を与える乳酸菌、納豆菌など微生物を利用する農法)」の開発をもっと進めることだ。畜産や魚の養殖では微生物を使って、抗生物質の使用を中止すべきだ。欧州やシンガポールは既に中止している。
農産物や加工食品の高度に安全管理してブランド力を高めることが、競争力強化に必要だ。ところで都市に住む消費者は日本農業強化に何ができるだろう?
安全な農産物を生産している農家を確認して、商品を購入することだ。安い輸入商品の品質をもう一度確認する習慣を持つことである。日本の食と農業、環境は国民が一体となって守らなければならない。

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なんだか、僕としては、読売新聞の農業関連記事としては、久しぶりに腹を立てずに最後まで読める記事でしたが、しかし、だいたいこの文章はTPPへの参加を前提に書かれているので、いかにも読売新聞らしいしのですが。
減反政策をやめるなら、なんだか知らないうちに主食用の米が増えて、値が下がってしまうことがないように、主食用の品種と飼料用米の品種を厳格に分けるなど、飼料用米が主食用米に流れてこない仕組み作りを考えねばならないと思います。当り前のことながら。
要するに労働と付加価値に見合った価格がしっかり維持されなければ、多品種・少量生産という、日本の食の多様性や豊かさを産みだしてきた仕組みは続いていかないのです。当り前ですが。
で、「日本の食と農業、環境は国民が一体となって守らなければならない。」のであれば、最初からTPPに参加するべきでないのは明らかです。TPPに参加したあと、大きな価格差があるなかで「安全な農産物を生産している農家を確認して、商品を購入することだ。安い輸入商品の品質をもう一度確認する習慣を持つことである。」などという主張は、むなしいものにならないのだろうか。