現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

チェーン除草機の改良とナタネの採種と麦刈りと


13日(金)
チェーン除草機のアングルバーの強度不足を何とかしなくてはいけないので、L字アングルではなくて、もう少し強そうなやつをホームセンターでみつけたので、こちらに交換する。
これも1800mmなので、二つつないで3600mmにする。今度はこのジョイントも強度不足にならないように、表からと裏からと補強しつつつなげる。


お昼前に、長浜市の産業振興課のTさんと普及所のKさんが来られる。ブログにチェーン除草機やささら除草機のことを書いたのを読んでくださって、見せて欲しいということでした。ささら除草機はともかく、チェーン除草機は、まだL字アングルが曲がってしまっている状態だったのだが、ま、観ていただく。石川県の羽咋市でもささら除草機を観てこれらたようでしたし、市でも自然農法の取り組みを試験的にやってみたいというようなお話を聞く。
ま、僕の試行錯誤というか、失敗の連続が、他の農家の参考になればうれしい、というところです。


新型チェーン除草機(名前はどうしよう?チェーン除草機W3600NSか。)は午後に完成。早速、試運転。今回はチェーン除草機だけでなくRR5(改)への取り付け方法にも工夫をして新しい金具をみつけたのだが、・・・。たいした工夫でもなかったような結果に。要するに取り付け位置がいささか下がりすぎて、チェーンだけでなく、新しいバーまで、田んぼの表面の土をこすっていくので、稲が、なんだか倒れるんですよね。さらにそのせいで、バーに土というか、泥がたまって、さらに重くなったりしてしまいました。うーむ。丈夫なナイロン紐を輪っかにしておいて、それを引っかけるという最初の方式が、やっぱり一番ベターな感じがする(笑)。高さ調節が楽かも。
あと3600mmあるので、作業状態から、走行移動状態への移行をスムーズに、あまり力を入れずに変更できるようにしたいのだが・・・。
それとこの前から気になっていたのだが、RR5(改)は古い機械なので、いささか燃費が悪いのだが、悪すぎないか?うーむ。問題は、次々ですな。ま、これはこれで、たのしいのだが(笑)。


14日(土)
午前中は精米と発送。それから畦畔の草刈りにでる。
それから奥さんが発注していた軽自動車が納車される。N-box。軽自動車なんだけど、ずいぶん大きくて広い。まだ僕は乗せてもらっていない(笑)。

午後は、種採り用のナタネの収穫。大豆用の汎用コンバインをナタネ仕様に改良したもの(といっても、ガムテープ処理したものなのだが、充分な働き。)を農協から借りて、一気に収穫。ちょっと熟しすぎていて、触れば、ぱんぱんと種がはじける感じだが、ま、気にせずどんどんコンバインで収穫。
ナタネ殻の他にも、カメムシやらテントウムシもなんだかたくさんいたので、父がざっと通してきれいにしてくれる。


懸案だったナタネのコンバインによる収穫もそこそこうまくいってよかった。去年までは刈払機で刈って、それをブルーシートに上に広げて、足で踏み鞘をはじかせて、鞘や茎を取り除いて、種だけ集める。という方法だったのだが、ロスがあまりにおおいし、体力的に厳しいということと、二、三日かかるので、天気の都合も心配しなくてはならなかったのだが・・・。


その後、夕暮れまで畦畔の草刈りにでる。畦畔の雑草はどんどん伸びる。元気がたいへんよろしい。


夜、車を運転していたら、とても赤い月が上ってきていた.。昔、井上靖の小説だったかエッセイを読んでいて、タクラマカン砂漠に上る月が赤いというような話が出てきたような記憶があるのだが、赤い月を観るといつも思い出す。って、まだ観たこともないタクラマカン砂漠を思い出すというのも変なんだが。
あと村上春樹の『1Q84』の影響で、月が赤いと、ふっと二つ月が出るのじゃないかと、月を凝視してしまったり。なんだかな。



15日(日)
午前中に農事組合の草刈り。W杯の日本戦の最後の方だけ観る。
午後は田んぼに腐植酸をすこしまいたり、また「環境こだわり農産物」の看板で、まだ立てられていなかった8枚ほどを立てに回る。
それから、夕方に、明日からの小麦の収穫、刈り取り作業の準備。


そういえば、朝、犬の散歩から帰ってきたら、母が「この色、どうよ!」とぬか床から上げたばかりの、なすび(茄子です)のどぼ漬けを見せてくれる。母の自慢のどぼ漬けである。もちろん、うまい(笑)。


16日(月)
晴れる。暑い。
終日、小麦の刈り取り。
最初は調子よく刈り取っていたのだが、だんだん、コンバインのわら切りカッターが詰まる、というとう事態が頻発。あんまり頻発するので、農協の農機センターに電話。ああ、こういう時、携帯電話のありがたみを、しみじみ感じます。
Wさんに観てもらう。いや、カッターの刃はもうギラギラ、ちょいと触れば軍手も指もスパッと切れてしまいそうに見える。ところが麦わらが詰まる。あれこれ思案と調整をしたが、原因がよくわからない。Wさんもメーカーに携帯電話から問い合わせをしつつ、コンバインの動きに合せて歩いて観察。でも結局、はっきりとした原因はわからず。
「もう、よくわからんが、ひょっとすると、やはりカッターの刃が鈍くなっているのかもしれんで、藁の根元と先の刃を交換してみよか?カッターの刃の左右の交換してみる?」
というわけで、コンバインを麦の圃場からあげて、田んぼ道でカッターの交換。こういう時、プロの技術者というか、手際は、すごく見ごたえがありますね。百姓が急いでいるのはわかっているので、大急ぎでの交換になります。でもすばらしい手際で交換。
「ああ、こうして比べてみると、左側、根元の方は、ギラギラしているように見えて、右と比べると、少し丸いかも。」
「さあ、これでいっぺんやってみて。うまくいくといいんやけど。うまくいくと、私も帰れるんやけど。」とおっしゃる。
これが、あーた、ドンピシャ。カッターの刃はギュンギュン回って、藁を切り刻んでいきます。
「あははは。これで帰れるわ。麦刈りが終わったら、カッターの刃は交換せんとあかんね。」ということでした。たぶん、3時間弱の悪戦苦闘。ま、でもWさんの勘というか、農機修理のセンスというところでしょうね。その後は、遅れを取り戻すべく、ギュンギュンとコンバインを走らせて刈り取り。一応、本日の予定分を終了することができました。ふー、ありがたかったけど、しかし、疲れた一日でした。


夜は、早々に寝る。


17日(火)
朝から曇り空。今日も小麦の収穫。無事、全部収穫。来年用の種を残して、農協の乾燥施設へもっていく。ありがたい。
今日は順調に行くのかと思っていたけれど、今度は麦を刈り取るバリカンの方の一番右側。運転席のすぐ下の刃、一条分がもう一つ、切れ味が鈍いような気がする。
それであれこれその一条分をカバーするように考えてコンバインを操縦。おおむね事無きを得たというところです。でも秋の米の収穫の時までにこちらも交換だな。


そういえば、麦刈りをしていたら、なにやら刈り取り終わったところをちょこちょこ走る黒いものがいる。ネズミか?と思ったが、ずいぶん丸っこい。コンバインを降りて確かめると、なんとヒバリの雛だ。まだ飛べないのだ。麦の圃場の中にヒバリの巣があったんだろうな。
うーむ。昔、ヒバリの母親と子が、いつ、麦畑を出るか、という話があったような気がする。百姓の「そろそろ麦刈りかなぁ」という言葉を聞いた子どもがおかあさんに「大変だよ、早くここを出なきゃ。」というと親ヒバリが「まだまだ大丈夫。」といって動かない。さて、本当に百姓が麦刈りをする朝に親ヒバリが「さて、出発だよ」と言って出て行く話。うーむ。親ヒバリの勘も鈍ったか。
そんなこんなで、さっそく携帯をポケットから取り出し、走るヒバリの雛をビデオ撮影したのだが、ヒナを追って三秒後に、ヒバリが頭のすぐ上で激しく鳴き出した。親なんでしょうな。あわてて追うのをやめて、刈り取り作業に戻ったが、まだ飛べないヒナだから、心配だねぇ。しかし僕にはどうしようもない。もののけ姫風に、「生きろ。」と言うしかない。
で、帰ってから動画を観てみたら、これが、映っていないんだ。きちんと撮れていなかったもよう。うーむ。


北海道から送っていただいた旬のアスパラガスをいただいている。グリーンとパープルのアスパラガス。どちらも太くて柔らかくおいしい。うちは僕も好物なのだが、子どもたちも好物で、サラダでそのままいただくのも、茹でて、塩やマヨネーズをかけたり、さっと炒めて塩と胡椒で・・・と、あれこれ。アスパラガスの甘味は、柔らかいし上品。ポリッとして、シャキシャキとした食感も。パープルのアスパラガスは、このあたりのスーパーでは売っていない。うちの奥さんもちょっとビックリしていましたが、茹でたり、炒めたりすると、緑色になるんです。紫色は初めてなのですが、なんとも風味があります。子どもたちと競争するかのように食べるのは、せわしないですが、ま、うれしいことです。
現在、写真を見ながら、手描き中。あんまり上手に撮れなかったので(笑)。


そういえば(そういえば、が続きますが)、嶽本野ばら米朝快談』(新潮社)、読了。面白かったです。枕頭本にして、少しづつ読んでおりました。十五編の落語にまつわる話ですが、たいていみな米朝の話を聴いたことがあるものばかりでしたが、「けんげしゃ茶屋」だけ知りませんでした。どこかで探して聴いてみなくては。
嶽本野ばらの文章は初めて読むのですが、うーむ、なるほど、こういう人だったのか。いえ、噂は聞いていたのですが(笑)。