現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

奥田英朗『我が家の問題』と生き物のあれこれ

10日(木)
朝から台風8号の影響で、雨が降ったり止んだり。風はいまのところ、それほどでもない。
家で、ゴロゴロしているのだが・・・。でも二度、田んぼを軽トラで観て回る。


奥田英朗我が家の問題』(集英社文庫)読了。面白かったなぁ。先日読んだ『家日和』が楽しめたので、今回も続きで読みました。こういうタイトルの本を読んでいると、我が家に問題があって、悩んでいるのではないかと、疑われそうだが、・・・。しかし、何か特別、我が家に問題があるわけでもないが、まったくないわけでもなく、というか、そういうことは、話題にはしにくいですからね。
そういう奥田英朗の目の付け所が、悪くないわけです。
今回は、解説を書いている吉田伸子氏(書評家という肩書きにも、思わず唸ってしまいました。)も書いておられましたが、僕もとりわけ「夫とUFO」が良かったです。それから「妻とマラソン」この二編は、泣き笑いですな。
「妻とマラソン」は『家日和』の中の「妻と玄米御飯」の続きでもあるようで、ベストセラーの作家が語り手になるのですが、このあたりが奥田英朗のユーモアというか、楽しんで書いているんだろうな、という気配でうれしいです。作品の質としても、「妻と玄米御飯」より「妻とマラソン」の方がいいと感じています。


もちろん、こういう文章、こういう作品を読むと、我が家、我が家庭のことをあれこれ、思わず振り返ってしまいます。
昔は、自分自身のことを振り返ることと、自分の家庭を振り返ることとの間に、すこし隙間があったような気がしています。若気の致すところだったんでしょうか。考えてみると自惚れも、独善もあったし、所帯を持って、家族というか、家庭内をゆっくり見回して、奥さんや子どもたち、両親を気づかうことが少なかったのだろうと思います。というか、ゆっくり見回していなかったなぁ、と。


じゃ、今は、充分にそういうことが出来ているかというと、そうでもないのですが、そういう自分の頼りなさが、今さらながら、わかってきたというところ。いい歳のおっさんの言うべきセリフではありませんが、それぞれの家庭に、それぞれのいい味があるのだろう、と、想像するしかありません。いや、実際、一番わかりにくいのは、よその家の家庭事情かもしれません。ま、わからなくても、あまり影響もうけないのですが(笑)。


で。
我が家の問題』の文庫の間に挟まっていたのが、集英社文庫の「ナツイチ 2014」というチラシ。有名なのは、新潮文庫の100冊とか、ありますな。夏休みの読書の向けての、あれです。で、みていて、驚いたような、納得したような、気になったのは、「ナツイチ2014」で紹介されている、作家のたくさんの名前を知らないということでした。いやはや。


今年は、辻井農園の10周年、と言っていいのかわかりませんが、僕が就農して10年目になります。この10年という数字にも驚きです。最初は父の見習いみたいなものでした。無農薬の有機栽培を始めたのは、3年目からでしょうか。
仕事が変わったのですから、暮らしが変わります。読書量は激減しました。もっとも最初の頃は栽培面積も少なかったし、僕という人手が一人増えたので、仕事に少し余裕があり、まだ本も読めていたのです。読書傾向は、農業関係方面にグリグリとシフトしましたが。


ネットで調べたら、新潮文庫の100冊は毎年入れ替わっていますが、1976年から、ずっと変わらず選出されているのは、次の11冊だそうです。



なるほど、名作、傑作ぞろいですが、などといかにも全部読んでいるかのような書きぶりですが(笑)、未読が四つあります。いや、三浦綾子塩狩峠』は、ずっと気にはなっていたんだけど、いまだに読んでいない。日本人作家ですから、せめて読んでいたいですな。この夏は、読んでみようか、あらすじは実はすでに知っているのですが(笑)。でもきっと間違いなく名作なんだろうな、という匂いはぷんぷんしていますな。『罪と罰』は死ぬまでに読めるのか?ってなことを書いているようでは読めませんな(笑)。『カラマーゾフの兄弟』も気にはなっているのだが(笑)。などと、気になっているだけでは、これも読めそうにありませんな(笑)。
今の新潮文庫の100冊はわかりませんが、1980年当時、100冊の文庫の作家のうち、読んだことない作家はたくさんいたにしても、名前も知らない作家というのは、一人もいなかったような気がするので、まあ、時代は流れ、変わっていくといことなんでしょうな。


2014年の新潮文庫の100冊に、開高も吉行も遠藤や安岡、五木寛之沢木耕太郎森鴎外柳田國男山本周五郎も、入っていないのですな。そんなことでいいのか?新潮社。ちなみに奥田英朗も葉室燐もはいっていない。って、この2人は新潮文庫からは本が出ていないのか?


というわけで、夕暮れに台風が最接近していきました。グリーンカーテン計画の朝顔とゴーヤ。朝顔は蔓をぐるぐると巻いて僕が垂らしているビニール紐に捉まっていくのですが、ゴーヤは、蔓が伸びて、なんていう名前なんだろう(名前知っておられたら教えてください。)、螺旋状の、いかにも巻き付きます、というのがあって、それがビニール紐をギュッと握っているのです。そのギュッと握った感じが、とてもかわいくいとおしい(笑)。





11日(金)
終日、畦畔の草刈り。


だが、草刈りをしていたら、排水路の水草(コカナダモ)が結構茂っているのが気になって、水草をあげていたら、水草の間から、次々に生き物もついて上がってきた。サワガニ(多数)、ドスンボ(2匹)、アメリカザリガニ(1匹)、どぜう(1匹)。ドジョウは、写真を撮ろうと思ってゴソゴソしているうちに、手の中から逃げられてしまった。



奥さんは黄色いカサブランカ、と申しておりましたが、たぶんコンカドールという名前ですね。大輪のユリ。奥さんが世話してきていました。きれいに咲いています。台風の風で鉢がひっくり返って、つぼみが一つ折れて、落ちてしまったのですが。じっくりみてみると、花びらの内側にトゲトゲがあるんです。突起。大きくゴージャスな花なんですが、このトゲトゲの突起があることで、なんだか迫力を増しているような気がします。



一番最初に播種した大豆が芽を出していました。大豆は、あの豆の部分がそのまま双葉になるんですが、分厚い双葉がなんだか、とてもかわいくて、いとおしい(笑)。


台風で、昨日は南風だったが、台風が通過して、吹き返しというのか、吹き戻しというのか、今日は北風。今日は晴れたので、田の面を風が吹き渡っていきました。