現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

台風18号と文鳥文庫の『堕落論』


九月九日で、重陽節句、菊の節句なのだが、これはどうも新暦では、なんともしっくりこないな。旧暦でないと。
旧暦ではまだ七月二十七日。九月九日は10月の21日だそうです。


台風18号の接近で、今日も雨。午前中には大雨と暴風の警報がでたが、ま風は全くたいしたことはなかった。午後遅くには雨も上がったのだが、夜になってからもう一度降りだし、また大雨警報がでた。やれやれ。


台風が来ては、稲刈りもなんともしかたがない。籾擦りなど、できることも昨日してしまっているので、今日は午後に、50袋出荷しただけ。


ちょっと本を読んだり、絵を描いたり、買い物にでたり、郵便物を出したり。


文鳥社の文鳥文庫が届く。
長くても16ページしかない短い作品を厳選して、ちょっと変わった体裁の文庫になっています。ちょっと愛蔵版っぽいかも。
今のところ8作でてまして、ラインナップはこんな感じ。
   001 『走れメロス太宰治 16P
   002 『注文の多い料理店宮沢賢治 12P
   003 『白』 芥川龍之介 14P
   004 『変な音』 夏目漱石 8P
   005 『堕落論坂口安吾 12P
   006 『檸檬梶井基次郎 8P
   007 『手袋を買いに』 新美南吉 8P
   008 『高瀬舟森鴎外 14P
      1話 150円 / 8話 セット 1200円
だそうです。一話だけの文庫というのもおもしろいし、ちょっとおしゃれな体裁だし。8話のセットを買ってみました。
というか、安吾の『堕落論』、梶井基次郎の『檸檬』、鴎外の『高瀬舟』と、僕が大好きな作品が三つも並んでいるし。芥川の『白』、漱石の『変な音』は、未読かなぁ。


角川文庫の『堕落論』をもう何度も読んできている。冬樹社の安吾の全集も何巻か持っていて、これも何度か繰り返し読んだ。僕が持っているのはエッセイの巻が多いのだが。「堕落論」もいいが、「続堕落論」 「青春論」「恋愛論」「文学のふるさと」「日本文化私観」「教祖の文学」「ラムネ氏のこと」「不良少年とキリスト」ああ、みんなよかったなぁ。今、ふっと青空文庫を見てみたら、たくさんテキストになっているんですね。うーむ。
で、文鳥文庫の『堕落論』。もうほんの少し文字が大きいとよかったと思う。そこが残念。大きすぎるのも、恥ずかしくて、だめなんだが、この歳になると、小さいのも困るんだなぁ(笑)。


しかし「堕落論」は傑作だなぁ。何度読んでも、うれしくなるし、力が湧いてくるし、泣けてくる。最初に読んだのが、18歳で、失意のときだったのだが(笑)、読むたびにあの時のことを思い出してしまう。18歳の失意って、今思うと笑ってしまうが、ま、若いときには、若いなりに、あれこれ思い悩んで、ドタバタするものですからね。


「人間。戦争がどんなすさまじい破壊と運命をもって向うにしても人間自体をどう為しうるものでもない。戦争は終った。特攻隊の勇士はすでに闇屋となり、未亡人はすでに新たな面影によって胸をふくらませているではないか。人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。」
きゃー。カッコいい!!


さて、これから鴎外の『高瀬舟』を読みます。