現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

西田栄喜『小さい農業で稼ぐコツ』とハマグリと

西田栄喜『小さい農業で稼ぐコツ』

午前中は、事務仕事。
午後は、農業用水として利用する川のゲート(堰)の修理が完了したので、その立ち会いと確認など。それから天気がよいし、あちこち田んぼや麦の圃場のようすを見て歩く。



西田栄喜『小さい農業で稼ぐコツ 加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円』(農文協)読了。2月10日発行の出たばかりの本です。
「最初からコンパクトで行こうと考え方を持つことで投資額が定まってきます。そして面積や規模を制限することによって、土地活用や時間の効率もアップします。また大きな機械を買う必要がないので借金する必要もなくなります。そして地域の人間関係も小さいということでスムーズになりますし、天候などのリスクも、小回りが利くということは大きな強みになってきます。」と、「はじめに」に書いてありました。まあ、確かに売上にしても、作業スピードにしても、比べたらキリがないわけです。
続いて「この時代に農を志す人は、何か今の日本や世界に思うところがある人ではないかと思います。ただ最初はそんな思いがあって農家になったはいいけど、作柄や経営的にうまくいかない、また農的暮らしを目指していたのにいつの間にか下請けのようになって心に余裕がないなど、最初の志どおりいかないというのも現実として多々あるようです。」ともあります。
ま、なんでも最初から調子よくいくわけはないので、自分の頭で考えて工夫をしていくより仕方がないのは、どの仕事でもいっしょですが、小さなミニマムな家族経営の農業であれば、小回りが利くので試行錯誤も、失敗してやり直すことも比較的やりやすいことも確かですね。
「小さい農業、家族経営農業こそ、幸せに一番近い仕事だと感じています。」もちろん、なにが「幸せ」かは、人それぞれだと思いますが、家族で、自然相手・生き物相手の仕事だと、そういうものを実感しやすいのも間違いないところではあるでしょう。
で、ご自身の体験を基にして、わりと細かいことも書いてあるので、わかりやすいと思いました。僕は米農家ではあるけれど、同じように小さな農家、百姓が読んで、同じことを考えているなぁ、やっているなぁ、と思うことも多かったけれど、おお、なるほど!と思うこともたくさんありました。栽培する品種選びや6次産業化、セット野菜や直売所での売り方などなど。
あと読後に気がついたのだが、著者の西田さんは30aで1200万円の年間売上ということでした。たぶんね、人を雇わず、家族だけで仕事をしている場合、年間売上って、だいたい1200万円くらいになるのかなぁ、ということ。えーっと野菜農家、米農家、果樹農家、いろいろ何をつくり、何を販売するかは農家それぞれだけど、家族だけで、といってももちろん家族構成にも因るけれど。1200万円の売上。うーむ。あとはまあ、必要経費を差し引いて収入というか所得をどれぐらいに設定して頑張れるか、ということなのかなぁ。
売上を伸ばそうとすると、無理がいくし、人を雇ったりしなくてはならなくなると、また別の発想が必要になるのでしょうし。
自分自身の農園の経営を考えるのによい本でした。28年度もおいしいいいお米ができるようにがんばらなくては。


そういえば、昨日、近所のスーパーマーケットにいった時に、ふと蛤がFacebookで話題になっていたことを思い出し、鮮魚コーナーで探してみた。友人が蛤は今が最安値時期かもしれない、という情報をくれていたのだ。しかし相変わらずない。だいたいこのスーパーでは蛤を見たことがない。牡蛎は生食用の剥き身がパックで売られているが、牡蛎殻付きのは見たことないしなぁ。浅蜊は見たことあったかもしれない。蜆は覚えがない。僕は蜆汁が好きなのだが、蜆は奥さんが琵琶湖岸の直売所で買ってきてくれているようだ。
などと思いながらうろうろしていたら、刺し身パックに値引きシールを貼りはじめたおじさんが出てきたので聞いてみた。「えーっと、ハマグリはないの?」「あー、すみません。今、ハマグリないです。」「入ってこないの?」「もう今日は入ってこないです。今、もう中国産ばかりなんですよ。国産になるとぐっと値段が・・・。うちで扱える値段ではなくなってしまうので。」「はあ。なるほど。」「3月3日には、国産も扱えるかもしれないんですけど。」ということでした。まあ、別に僕は国産ハマグリにこだわったわけではないのだが、いい歳のオジジがわざわざハマグリについて質問してくるからには、これは国産ハマグリを所望しておるのだと思われたのか。ま、それはともかく、僕としてはハマグリを一個か二個、浜焼き風に家のガスレンジで焼いて、パカッと口を開けさせて、ビールをグビリとやりたかっただけなのだが・・・。なるほど3月3日、桃の節句のひな祭りかぁ。それでもまあ新暦の3月3日では、潮干狩りには、早いような気がするけどね。どうなんだろう。それでもやはりスーパーの担当者の方は季節感を醸し出して売りたいと思っているのだなぁ。
もちろんうちにも娘がいるので、蛤のお吸い物でひな祭りを祝いたい気持ちはある。娘たちには、唯一この人、という男性と出会って仲の良い夫婦になってほしいとは思っている。蛤は対になる貝殻でなければぴったりと合わないそうなので。ま、それはそれとして、「その手は桑名の焼き蛤」で、グビッとやってみたいなぁ。(笑)


矢野顕子『WELCOME BACK』(1989)がAmazonから届く。名盤の誉れ高いアルバム。パット・メセニー(ギター)をはじめ、チャーリー・ヘイデン(ベース)、ピーター・アースキン(ドラム)などすごいメンバーといっしょにやっています。あ、もちろん坂本龍一も参加してます。
いやー、いまさらですが、すごいわ、これは。気持ちいいです。もう一曲目の"It's For You"はパット・メセニーの有名曲だけど、矢野顕子の歌声がパット・メセニーのギターみたいに聞こえるんだから。ホントだって(笑)。