現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

ブロックマスターと指導農業士になったことと靴のこと


朝は苗代の点検など。昨日、プール苗代に父が水を入れてくれて、黒い方のラブシートを外してくれた。プールにするビニールにときどき穴が開いてしまうので、水漏れがないか、確認したのだ、うーむ、どーも、一本水位が下がっていたので、あやしい。水を注ぎ足す。


今日はスバラシイ天気だ。晴れて風も穏やか。
午前中はこの春に買ったブロックマスターを初めて試してみた。このあたりでは田んぼも高低差があるので畦畔はほとんど土で作られているが、中にはたまに畦畔ブロックを打ち込んであぜにしてあります。ただまあ畦畔ブロックだけだと幅が狭くて歩きにくいので、僕はあぜ塗り機でブロックの横に土を寄せて歩きやすい畦畔にしています。畦畔ブロックはブロックが割れたり、継ぎ目のセメントがはがれたりしない限り、ネズミやモグラに穴をあけられて水漏れすることもないのでありがたいのだが、困るのはあぜ裏の田んぼ。要するに下の田んぼですね。ロータリーで土を起こすわけでが、ブロックに当たってしまうとブロックも壊れるし、機械も壊れるし、どうしても起こせない部分がブロックのキワに出てきます。するとここに生えている雑草が土に埋まりませんから、田植えの時からすでにここだけ草が生えていることになります。それが嫌なのでこれまでスコップで土を剥がしていたのですが、これがなかなかシンドイ作業でして、苦労していたので、この畦畔ブロックの裏のキワの土をひっくり返す鋤(スキと読みますが、ひょっとすると読めない人も多いのではないかと思います。そうでもないですか。鋤ってどんな道具かすぐにイメージできますか?僕は父が牛ではなく耕耘機に鋤をつけて田んぼを起こしていたのをよく覚えています。今でも田んぼの荒起しのことを「すく」といいますし、「すいてくるわ」と言ってトラクタに乗ってロータリーで荒起しをします。)を購入しました。それがブロックマスターという名前なんです。
うーむ、まあ、初めてだからかもしれませんが、うーむ、使用感はもう一つ、ちょっと調整が必要かも。このまま「こなし」をすれば大丈夫なのかもしれないが。



11時10分まで田んぼで仕事して、家に帰り、昼食を食べてスーツに着替え、虎姫駅から12時24分発の新快速で大津に行く。大津駅に13時35分に着く。14時から大津県庁の隣の滋賀県公館で指導農業士の認定証授与式があるのです。車窓から眺める近江盆地のあちこちではトラクタが動いていました。それから線路脇にも駅にも桜がよく見えて満開で美しかったです。ああでも桜も美しかったけど、麦の緑も美しかったですね。
滋賀県公館って、どこやわからんで、まよったわ。焦るわぁ。」と僕と同時に指導農業士になった高校の時の同級生のKくんも汗を拭き拭きギリギリにやってきたが、他の方もどこにあるのかわからんかった、と話しておられる方が何人もおられました。僕はもちろん行ったことはなかったけれど、どういうわけか、イメージの記憶があって、迷うことなくたぶん最短コースで到着出来たと思います。でもなんだな、大津の県庁辺りをスーツにネクタイして歩くのは15年ぶりぐらいになるなぁ。(いや、15年前は金ボタンのついた紺のブレザーにグレーフラノのパンツ、紺と黄色のレジメンタルのネクタイだったかも。)滋賀県公館って、滋賀県における自治会の自治会館とか公民館みたな感じなのかな。滋賀県公館にはちょっとした庭があってここも桜が満開でした。でも大津は概ねちょっとハラハラと散りかけていましたね。ま、だから満開なんでしょうけれど。
認証式のときに新規の指導農業士がひとりひとり自己紹介と抱負を述べる時間があったのですが、「小さいときから昆虫採集が好きで、今でも田んぼやその周辺にやってくる虫や畦畔の植物を観察するのが好きです。」などとといささか場にそぐわないようなトンチンカンなことをちょっと話したのですが、ま、無農薬で有機栽培をしていることをこっそりひっそりアピールしてきました(笑)。って、まあ指導農業士に認定されたのですから、式に参列されているみなさんはすでに充分ご存知なのでしょうけれど。
指導農業士というのは地域農業の振興と農業を志す若い人に寄り添うのが役目です。65歳までが限度で、最低10年間務められることが条件ですから55歳の僕はぎりぎりの年齢で認定していただいたことになります。若い農業を志す人というのは、滋賀県の農業の未来そのものですから、大切な役目ですね。式は45分間で、大津15時10発の新快速で虎姫駅に16時15分に着きました。車中では行きも帰りも、ずっと遅ればせながら例の話題の新刊を読みはじめました。なるほど。謎が謎を呼んでいます。
春のスバラシイ天気の中、最寄りの駅から往復で4時間弱の出来事。半日仕事だが、帰ってきてもまだまだ明るい。革靴を脱ぎ、ネクタイをはずし、スーツを脱いで、作業着に着替えたらなんだかホッとした(笑)。


思い出したけど、履いていった革靴は35年ほども前に当時バイトしていた岐阜県高山市のYペンションのオーナーに買ってもらったコインローファー。本当は正式な場所には紐靴ですよね。「デートの時に履いていったらいいよ。」とペンションのオーナーは笑顔でコインローファーを買って下さったなぁ。35年も前の靴を今でも履いているというと驚かれるかもしれないが、うーん、あんまり黒い革靴をあまり履く機会もない人生だったので、ま、これまで大事に履いてきました。ま、だいぶくたびれてきましたけど。このローファーはゴム底なんですが、もう一足、革底の黒い靴も40年ほど前に買ってまだ持っています。靴の先がとんがっているヨーロッパスタイルで軽いし、いいんですが、革底の靴はよく滑るし、雨だと履けないような気がするし、ホテルの絨毯の上を歩くにはいいんだけど(笑)。
昔は「足下を見る」とか「足下を見られる」とか言って、靴の大切さをよく見聞きしたのですが、まあ、たぶん今でもそうなのでしょうけれど、私の場合、今では足下は長靴だし、最初から汚れても大丈夫な作業着だし、軍手だし、普段はキャップ(農機具メーカーやら組合などあちこちからいただく、デザイン的にはどうなのかという野球帽)やニット帽の暮らしで、足下を観なくても、そのまんま風体を見れば、すべてがわかる、というような格好だからなぁ。革靴を履く機会もほとんどない暮らしているので35年とか40年とか前の黒い革靴を履いていられるんだろうな。えー、お手入れは履く直前にしています(笑)。うちの奥さんは結婚するときタンスや食器棚など、たくさんの家具を持ってきてくれたのですが、下駄箱も持ってきてくれて、一緒にシューメンテナンスの道具一式もあったので、ちょっと勉強したのです。
でも革靴の靴底をすり減らしてナンボというようなお仕事もありますね。僕は長靴の靴底をすり減らしてナンボという仕事です。毎年、長靴は履きつぶします(靴底が完全にすり減ってしまうのです)が、アキレスのワークマスターのイエローをここ10年ほど使っています。泥の田んぼに入る水稲農家としてはこの細身のデザインが最良ではないかと思っています。屈んだりすることが多くなる畑仕事にはミツウマのすこしやわらいゴムを使った長靴が気に入っています。ハンターの長靴(オリジナルトールのダークオリーブもしくはハンターグリーン)はカッコいいですが、柔らかいゴムはよかったけど、ちょっと重いし高価なのが難です。いやちょっと重いのは我慢できますが、高いのはどうも(笑)。というよりハンターの長靴を履いている百姓を観たことがないな(笑)。だいたいあれはレインブーツだしな。英国のバラ園で使うには良さそうだけど。女王陛下が履いておられた写真を見たことがあります。
しかしなんだな、35年も黒の革靴を買っていないとなると、そろそろ新しい黒い革靴も欲しいような気になってきたけど、どういうものを選べばいいのか、さっぱりわからないです(笑)。僕はどうも茶色系のゴム底のカジュアルな革靴を選びがち。


あ、認定証授与式では、認定証の他に襟章と金属プレートもいただいたのだが、襟章はわかるとして、この重厚長大な指導農業士のプレートは、いったいどうすればいいのかな?


虎姫駅からの帰り酒屋さんで買った「半生仕立て鉄板焼き 桜燻し スモーキー 一夜干し さきいか」となかなかこだわりを感じさせるビールのつまみだけど、たしかにスモーキーで柔らかくうまい。沖縄の泡盛も買う。うまいです。


追記:今ごろ思い出したけど、虎姫駅の駐車場が一杯で、そのロータリーの道路に一台分だけわずかに空いていたスペースに縦列駐車をしたのだが、たぶん免許を取得して初めての縦列駐車のような気がする(そんなこともないか)。田舎では縦列駐車する機会もなかったような気がします。教習所では苦手だった記憶があるのでちょっと緊張しましたが、一発で見事に!きれいに駐車できて、なんだかすごくうれしかった(笑)。