現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

あれこれありましたが、稲刈りをはじめました。


グラフの降水量の目盛りの最高値を170から80に変更しました。先日の台風20号で降り始めから終わりまでで37mmほどなんですから、7月5日6日の「西日本豪雨」の降水量が大きな被害が出なかったこのあたりで300mmほど、いかによく降ったかがわかります。

23日(木) 処暑
朝、朝飯前に畦畔の草刈りに出る。
草刈りをしていたら、バッタやキアゲハの幼虫やらキアシナガバチの巣とかを見つける。
午後は台風が近づいてきていて、風が強くなってきて、雨も。雨戸を閉めたら、ものすごく家の中が蒸し暑くて、エアコンなしには過ごせなくなる。
暗くなってから風がいよいよ強くなってくる。家が何度も揺れる。日が変わってから午前一時頃に、瞬間的に二度ほど強烈な風が吹いて家が揺れる、暗闇の中、何かが倒れるような音がする。二時半を過ぎたところで、風が収まってきた。


24日(金)
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀、透垣などの乱れたるに、前栽どもいと心苦しげなり。大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩、女郎花などの上によころばひ伏せる、いと思はずなり。格子の壺などに、木の葉をことさらにしたらむやうにこまごまと吹き入れたるこそ、荒かりつる風のしわざとはおぼえね。


清少納言の『枕草子』の200段。高校の時の教科書に出てました。「立蔀」(たてじとみ)、「透垣」(すいがい)、「前栽」(せんざい)とか、読みにくいのもありますが。



台風の翌日はたいそうしみじみと趣深くおもしろい。立蔀や透垣などが乱れている上に、庭の植え込みもとても痛々しい様子だ。大きな木々も倒れ、枝などの吹き折られたのが、萩や女郎花などの上に横たわり伏しているは、たいそう思いがけない。格子のます目などに、木の葉をわざわざしたように、細かく吹き入れてあるのは、荒々しかった風の仕業とは思われない。


この段は本当はもう少し続くのですが、最初のこのあたりが教科書に載っていました。「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。」という感覚が今も昔も変わらずおもしろいですね。


もちろん僕も朝、明るくなってから、さっそく田んぼの見回り。なかには稲の倒れている田んぼもありましたが、うちの田んぼはまあ稲が斜めになってしまうという程度でありがたかったです。大豆は倒れていましたが、また起き上がってくるでしょう。


終日、作業所の掃除と整理など。


そういえば、今朝の日本農業新聞のコラムに「八月大名」の句が載っていた。「八月大名」という季語を初めて知る。おもしろい。僕もそのうちこの季語で一句作ってみたいような気分にさせられる句だ。


25日(土) 旧暦文月十五日
午前中は精米など。
午後は作業所の掃除と整理など。ただ、色彩選別機を設置してスイッチを入れて見たが・・・。表示はいろいろ出るが、モーターが回っていない。エラー表示の「E-11」が出る。早速取り扱い説明書を探してみたが「E-11」は載っていない。やれやれ。さっそく農機センターのKさんに電話してあれこれやってみたがわからないので、来てもらうが・・・。ネズミに配線がかじられていた。やれやれ。排塵のダクトからネズミが侵入したらしい。ずいぶんかじられたので、農機センターのKさんは、これは部品の型式番号もわからないので、どう注文していいのかもわからないというので、メーカーの技術者の人に来てもらうことに。いつもは大阪から来てもらうことになるのだが、たまたま滋賀県安曇川に来ているということなので、その帰りに寄ってもらう。来てもらった技術者はなんと若い女性のべっぴんさんでびっくり。分厚い書類とたぶんタブレットにキーボードを付け、さらに携帯で通信して、図面を呼び出して、コネクタやらコードの番号をひろっていく。
とりあえず、発注すべき部品はわかりました。「すぐに届くん?」というと土日を挟むし、部品は東北から発送するのでちょっと時間がかかるかもしてません。ということでした。うーむ。最初は色彩選別機は抜いて選別するしかないか。
しかしなんだな。農業機械の技術者は圧倒的に男子の世界だと思っていたけれど、若い女性が進出しているんですねぇ。悪くないですな。


月齢13.7の大きな月が、皓々と輝いている。美しい。


26日(日)
朝、ふっと今日が八月の最終日曜日だということに気がつく。二年前に隣の隣村の田んぼを作らせてもらうことになったのだが、地主さんから「八月の最終日曜日に村の総出の川掃除があるので、草刈りだけしといたって。」ということでした。だいたいこういう総出の仕事は八時からなので、なんとかそれまでに、と草刈りに出動。でもそれほど草は伸びていなくて草刈りも簡単にすみました。
こういうことは地主さんも総出の作業に参加されているわけで、任せている自分の田んぼの草が伸びていると、いささか心穏やかではない、と思われるのはすぐに想像できるので、ま、頑張ります。とくによその村の田んぼだとよけいに気を使いますね。


その後は作業所の準備など。
本当は今日の午後から稲刈りを始めようかとも考えていたのだが、昨日の選別機のトラブルで時間がすこしおしたので、稲刈りは明日からにする。
あと精米など。


ああ、満月!まぶしいくらいに照ってます。



27日(月)
朝は田回り。
選別機のトラブルで一日遅れましたが、午前中から稲刈りの準備をして、稲刈り開始。しかしなんだな、8月27日からの稲刈り開始は最も早い稲刈りになるんではないかな?なんだか毎年のように早くなってきているだが・・・。
試運転を兼ねているのでぼちぼちとゆっくりと刈る。
コンバインのタンクが一杯になったので、排出して軽トラで作業所の乾燥機へ運ぼうと思ったら、コンバインの排出ボタンを押しても排出しない。やれやれ。排出ボタンを押すとモーターが回ってワイヤーを引いてプーリーを動かし、ベルトにテンションをかけて排出螺旋が動く、というシステムになっているのだが、どうもモーターが動いていませんな。数年前にもこういう状況になったのだが、あのときはとりあえず、ワイヤーに針金を引っかけて手動でワイヤーを動かして排出させたので、今回もワイヤーに紐をかけて手動で動かして、とりあえず排出させる。むふふふ。
農機センターのKさんもその後見にきてくれたのだが、ちょうどその時にうちの乾燥機の張り込みで昇降機が詰まった、という連絡が来てたのでとりあえず作業所に戻る。昇降機が詰まった理由は、乾燥機の掃除用のパネルを閉め忘れていたこと。いやはや。
慌てて田んぼに戻るとKさんが、モーターをゴネゴネしていて、さっきモーターをはずして動かしたら、モーターはちゃんと動いたので、これで大丈夫だと思います。久しぶりだったのでギアかなにかの噛み合わせが悪かったのかもしれません。ということでした。
そんなこんなで稲刈り初日は二つ小さなトラブルが続いたが、うーむ、うちの機械はどれも減価償却期間を過ぎてきているものが多いので、ま、なんとか掃除や点検や整備をしつつ、なんとかこの秋の稲刈りシーズンを乗り越えたいところです。頑張るぜ。


そうそう。書き忘れていたが、草刈りをしていると、ときどきコオロギを見つけるようになっている。日没の頃、コロコロコロコロコロコロコロと鳴かれると、とたんに寂しくなってしまいます(笑)。