現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

台風21号がやってきた。

4日(火)
すでに朝から風が強い。ときどきザッと雨が降ったりする。
あきらかに強そうな台風が近づいてきている感じ(笑)。家の雨戸もあちこち閉める。それから慌てて作業所の外回りにいろいろ置いてある集塵機関係のあれこれを撤収。けっこう苦労してダクトや集塵機を設置したのだが、強風に煽られては、破れたり、壊れたり、どこかへ飛んでいってしまいそうだ。バタバタと撤収作業。
それからお米の精米など。
大雨暴風洪水警報がたてつづけに出されて、お昼前からいよいよ雨風ともに強くなる。溜まっている事務仕事をしようとパソコンに向かってパチパチやっていたら14時過ぎに突然の停電。雨戸を閉めてあるので、部屋が真っ暗に。あちゃー、パチパチやっていたデータも消えてしまったか、と青くなる。しかし、停電なのでそれを確認しようもない。
雨戸をほんのすこし開けて外を眺めてみたら、すさまじい暴風雨の世界でした。雨ももちろんですが、風がすごいですね。横殴りの雨という表現がありますが、すでに雨は白い帯になって、横に走っていました。堤防の竹林はもちろん、太い大きな欅や榎の木々ももうこれ以上は揺れないというくらい揺れに揺れております。これはやばい、と思いつつそっと雨戸を閉める。
でもこのときはすぐに停電も復旧するだろうと思っていたんですよね。それでどうしようもないのでスマホの電池があるので、落語でも聴きつつ昼寝しようと志ん朝の「唐茄子屋政談」と「今戸の狐」をうつらうつらとしながら聴いて楽しんでいた。ああ、今から思うとこれでスマホの電池をずいぶん使ってしまったのだ。
目が覚めるとずいぶん風も収まっている。台風の位置をスマホで確認するとすでに日本海に抜けて福井県の沖合いだという。ずいぶん風は収まっていると書いたが、どうも世間が騒がしい。サイレンの音はなんだか遠くでいつも鳴っているような気配だし、人が外に出てきている気配。僕も外に出てみると、さっそくお隣さんから「ツジイさんとこは、どうもなかったんか?」と訊ねられる。「たぶん大丈夫だとおもいますけど・・・。」と言うと「あの木が倒れてもたるな。」と言われて、ふっと見ると、駐車場の隅に植えてあった梅の古木(高さは3mほど)が根元から消えている。あれ?と思っていたら、「ほら、あそこ。」と言われたのは家の裏の県道を通り越した小学校の駐車場。そこにゴロリと横たわっている。げげ?「根元から折れてあんなところまで飛んでいったんやろか?誰かが県道の通行の邪魔なので、あそこまで移動してくれやあったんやろか?」「いやー、わからんけど、気がついたらアソコにすでにあったで。瓦がずいぶん飛んだみたいやね。ほれ、郵便局の瓦も。」と言われて見ると、郵便局の瓦が何枚もめくれてなくなっている。その後も何人かがやってきて、村の被害の状況をあれこれ教えてくれる。瓦が飛んだ家屋は多数。雨戸が飛んだり、物置が転がったり、車庫が飛んだり、ビニールハウスが倒壊したり。なかなかの被害状況らしい。すでにこういう情報が集まってきているのがすごいというか感心してしまう。「このぶんでは、田んぼはペタンと倒れてしまっているかなぁ。」というと「さっきちょっとだけ見てきたけど、思ったほどではなかったわ、うちの田んぼは。」とおっしゃる。それから停電も村の半分だけで、あとの半分は大丈夫らしい。でも交通信号が消えているし、郵便局や農協、支所、銀行なども停電でコンピュータ関係はみんなダウンしているそうな、とも教えてもらう。などと話しているときも、ときおり強風が吹いたり、雨が落ちてきたりしたのだが、僕が落語を聴いて昼寝している間に、世間はバタバタしていたようです。あわてて僕も田んぼを見にいくが、確かに「コシヒカリ」は倒伏していましたが、なんとかぎりぎりコンバインで刈取りできそうな気配でちょっと胸をなで下ろす。



それにしても停電が長いではないか。ガスと水道は大丈夫なので、トイレもボタンを押すだけでは水は流れないが、手動でレバーを動かせば水はちゃんと流れます。料理も出来そうだけど、家の中は真っ暗で、子どもたちも懐中電灯をそれぞれが持って過ごしている。でもってみんな自分のスマホの残りの電池の量を気にしている。
さて、ところが風呂が沸かせない。灯油で沸かすのだが、水も灯油もあるが、電気がないので、火がつけられないのだ。「えー!明日仕事やのに、風呂にも入らんとよーいかんで。」「ほんまや、風呂に入れんかったら学校休むわ」などと勝手なことを言って笑って近くの温泉を調べたりしている。天候不良で休みのところが二軒あったらしいが、一軒だけ電話してみたら、夜の9時まで営業しています、と言われた、ということで、近くの秘湯・須賀谷温泉にいくことになった。おお!須賀谷温泉といえば、早春の盆梅展の俳句大会に入選したときに限定入浴利用券を何枚か賞品としてもらっていたはずだ!と思い出し利用することに。子どもと私の四人で向かう途中、クルマの中で「あんたら、今日、この温泉に入れるのも、お父さんがあのテレビの夏井いつき先生から、俳句を褒めてもらったからやでな、わかってるやろな。」と念を押すように言ってみたが、誰ひとり反応して返事するものはないのであった。
須賀谷温泉は、僕が小学生の頃に出来たのだが、まだ一度も行ったことがなかった。家から自転車でもいける距離なのだが・・・。クルマで6分でした。いただいた限定入浴利用券といっしょに入っていたパンフレットには「長浜の奥座敷 近江・湖北に湧く戦国のいで湯 天然温泉 源泉掛け流しの湯」とあります。「信長の妹・お市の方が湯治した古の名湯 秘湯・須賀谷の湯 小谷山の麓にひっそりと湧く秘湯は、浅井長政も湯治に通ったという歴史の湯です。戦国武士が傷を癒すのに浸かったといわれ、効能も折り紙付きです。」とも。うーむ。
露天風呂もあって折りからの台風でちぎれて飛んできた青い葉っぱが何枚も湯船の底に沈んでいて、なかなか台風の後の露天風呂の風情でした(笑)。なかなか良かったので、また入りに来よう。限定入浴利用券もまだ一枚あるし(笑)。


帰りに寄ろうとしたコンビニも停電で真っ暗のお店が二軒。三軒目で明るいコンビニに寄ってビールを買う。


しかしなんだな、乾電池の予備は必要だな。それからスマホが充電できる手回しの発電機やラジオ。どこかにあったはずなんだが、それが真っ暗の中では見つからないのだ(笑)。


     虫すだく大停電の夜である。


     須賀谷の二百十日の湯につかる


5日(水)

朝になってもまだ停電中。朝になっても関西電力管内で、50万戸以上が停電しているらしい。ご近所の方の情報では関西電力に電話しても、電話がパンクしているのかぜんぜん繋がらないのだそうだ。まあ、原因は台風なんだし、電気工事関係の現場で作業している方々はたぶん昨日からこの天気の中、夜もヒッシ丿パッチで作業してもらっているのだから、文句は言えないが、どこかで誰かが、状況の説明やら見通しを話してもらいたいものだ。
奥さんが朝コンビニに行ったら、昨夜は営業していたコンビニも休業していたようです。たぶん商品が届いていないのではないか、ということでした。
うちはいつもは電気炊飯器でご飯を炊いているのだが、今朝は奥さんが土鍋でご飯を炊いてくれた。三合。子どもたちに弁当を詰めてくれたようだ。しかもこの土鍋でたいたご飯の旨いこと!ほんのりお焦げの香ばしさもあって。


朝の田回りから帰ってきたら、停電が復旧していました。ありがたい。17時間ぶりの電気。
午前中は「秋の詩」と「みどり豊」の圃場の尻水戸を切って落水。ちょっと早いかもしれないけど、乾いたらまた通水します。


午後は昨日撤収した集塵機などをまた設置し直して、籾擦り。16時前に農協に出荷しに行ったら、倉庫はシャッターが閉まったままだし、中は暗い。「すんません!まだ停電中なんですわ。それでシャッターも上がらないので・・・。」と言われすごすご帰ってきたら、すぐ電話があって「今、復旧しました、よかったらすぐ持ってきてください」とのことで、すぐ出荷しに行く。なるほど。午後になっても停電継続していたところもあったのね。自分のところが復旧したら、みんな復旧したものだと思ってしまっていたけど・・・。


ああ、長々とウダウダと一気に書いてしまった。うーむ。誰も読まんな、こんな垂れ流したような文章は。ま、いいか。