現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

New Design for a New Way of Lifeと屁をこくお嫁さん


 午後は明日のそば打ち体験の準備をしたり、夜は寄合。


 山本周五郎の『日本婦道記』(新潮文庫)のことを高橋源一郎がラジオで話していて、読んだような読んでいないような気がしたので、Amazonで注文しようとしたら、「お客様は、2011/11/19にこの商品を注文しました。」と出てきました。どうも7年ほど前に注文したらしい、慌てて本棚を探したけれど、いつものようにどういうわけか出てこない。いやはや。どこにいってしまったんだろう(笑)。
https://tsujiifarm.hatenablog.com/entry/20111201
http://d.hatena.ne.jp/tsujii_hiroaki/20111201


 『ニーベルンゲン(ニーベルンゲンの歌)』というのは、書名だけは知っていたけれど、もちろん読んだこともなければ、どういう話なのかもよく知らない物語である。でもジークフリートという名前やクリームヒルトという名前は聞いたことありました。中学生のころNHKのFMでバイロイト音楽祭の特集をずっとやっていたときがあって、ワーグナーの『ニーベルングの指輪』があったからニーベルングという名前が頭に残ったのだと思います。
 2月24日まで京都国立近代美術館で「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて(MoMAK Collection Graphics in Vienna around 1900 New Design for a New Way of Life)」というのをやっていたらしいです。なるほど、New Design for a New Way of Life なかなかキャッチフレーズですね。自分にもうすこしデザイン力がありば、僕のNew Way of Lifeももっと充実したものになりそうな気がします。デザイン力というのは、グラフィックの問題だけでなくて、暮らしのデザイン、農業のデザイン、人生のデザイン、などなどいろいろあると思うのですが。カール・オットー・チェシュカという画家の描いた『ニーベルンゲン(ニーベルンゲンの歌)』の挿画の絵葉書を送っていただきました。帆船が風を受けて進んでいます。この中にジークフリートはいるのかもよくわかりませんが、でも、確かにデザインされた挿し絵ではありますね。美しいです。って、デザインされていない挿し絵というものはありませんけれど(笑)。


 『坂口安吾エンタメコレクション 伝奇篇 女剣士』が届いたので、早速収録されている最初の作品「閑山」を読んでみる。あはははは。ばかばかしくておもしろい。でも文体は格調がありますね。ええ、安吾の文体です。日本の昔話には「屁をこくお嫁さん」というものがありますよね。嫁いできたお嫁さんは働き者なんだけれど、だんだん顔色が悪くなってきて、お姑さんが心配してどうしたんだい?とたずねるが、最初はなんにも答えないんだけれど、最後には「屁をこきたいんです」というような返事をするとお姑さんも笑って、そんなことは気にせずにどんどん屁をこいたらいい、と言うのですが、実際に屁をこくとみんなが家の外まで吹き飛ばされてしまうので、びっくりして離縁されかけます。ところが、その屁の威力で、柿の実を落したり、畑の農作物を掘り起こしたりできたので、たいへん感謝もされて、呼び戻され幸せに暮らして、めでたしめでたし、という話ですよね。この「閑山」もお坊さんに化けた狸が屁をこくという小説です。と書いていてもばかばかしい話だとは思うのですが、安吾は説話風の文体で読ませますねぇ。ええ、枕頭本にして、しばらく楽しめそうです。
 編者の七北数人って、誰だ?初めて聞く名前だなぁ、と思ってググってみたら、僕とほとんど同じ頃に生まれた人ではないかいな。文芸評論家としていろいろ活躍されているようですが、いやはやまったく知りませんでした。筑摩書房の『坂口安吾全集』の編集にもかかわっていたんですね。なるほど。評判のよい『評伝 坂口安吾 魂の事件簿』をクリックしてしまいました。