現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

「尻踏み」と「こなし」と『TOMORROW パーマネントライフを探して』

 朝は田回り。その後、トラクタのアタッチメントをロータリーからドライブハローに付け替えて、「尻踏み」。午後は長男に代わってもらって、僕は小さいトラクタで無農薬の「みどり豊」を植付ける田んぼの「こなし」。油粕を入れたせいか、けっこう大きな草が生えていて、埋め込むのに時間がかかってしまって、二枚の予定が一枚の田んぼしかできませんでした。
 その後は田回りなど。


 シリル・ディオン, メラニー・ロラン監督『TOMORROW パーマネントライフを探して』(2016)iTunesで観る。ドキュメンタリー映画。いくつか賞もとったようですね。なるほど。いろいろ考えさせられる。オーガニックフード、エネルギー、民主主義、経済、リサイクル、農業、教育、とけっこう幅広いことについて、先進的な取り組みをしている世界各地へ出かけていって、当事者に話を聞くという映画です。パーマネントライフというのは「持続可能な暮らし」ということでしょうけれど、持続可能な暮らしって、当たり前のことだと思われてきたのに、このままだといよいよそれが難しいことだということが、よくわかります。「僕自身も小さな子どもがいて、何かしなければいけないという衝動を覚えたんです。それで映画を作ろうということになりました。」とは監督の一人、シリル・ディオンの言葉です。僕は自分の頭で考えなくてはいけないと思いました。食糧問題にしても、民主主義にしても、原発の再稼働についても、とりあえず今さへよければ・・・、というだけでは長続きはしないでしょうね。


 風呂上がりにスワローズ対カープの中継を観ていたが、7回を終わって7対2と負けているし、点数のとられ方もエラーがあったりして、これはどうも負け試合かな、と思っているうちにそのままテレビの前で居眠りしてしまって、ふっと目が覚めたら、テレビは9回裏2アウト満塁で押し出しで7対7の同点に。追いついてしまったではないかいな。球場はなんだかすごく盛り上がっているようだ。これはこれはと思っていたら10回裏に四番の鈴木誠也がサヨナラのツーランホームラン!うひゃー!
 4連勝で、首位のジャイアンツに1ゲーム差の2位まできました。なんだか今年は4月は最下位でしたが、その後もどうも安定しない試合ぶりのようでしたが、・・・。ま、まだまだ負けたり勝ったりでしょうけれど。6月の交流戦がどうなるか、ですな。って、まだ交流戦までは半月もありますな。


 僕は高校生の頃、パチンコや競馬をする大人が嫌いだった。それから夜、プロ野球を観ながらビールを飲んでその試合結果に一喜一憂しながら寝てしまう大人が嫌いだった。
 確か吉野弘だとおもうのだが、”パチンコをする指を笑うな”というフレーズの出てくる詩を読んで、パチンコや競馬をする大人、プロ野球の勝ち負けに一喜一憂している大人のことが、少し理解できるように思えてきた。賭事やビールの晩酌やプロ野球観戦の前提として、日々の労働があるのだ、ということに、やっと気がついたのでした。
 それで今、吉野弘の詩集を二つ本棚から探してきて、ぺらぺらとしてみたのだが、”パチンコをする指を笑うな”というフレーズを見つけることはできなかった。うーむ。吉野弘ではなかったのか?
 ぺらぺらしているうちに、「初節句」という詩に目がとまった。ちょっとした註がついている詩だったけれど、ここでは註はかかない。


      初節句      吉野弘
     小さな墓地に
     鯉幟がひるがえっている

     墓地は畑にかこまれている
     畑には野菜がかがやいている

     食物を得るのも土
     人の葬られるのも土

     地下の家系をひく
     地上の幼いものの祝いごと

     小さな墓地に
     鯉幟がひるがえっている

     遠い親たちの幼い日の
     にぎやかな蘇りのように


時の流れるのは、思いのほかはやいものですな。仕事が忙しいときも、楽しみつつ頑張りたいな。