現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

『最低。』と『チャーリーズエンジェル フルスロットル』と「お米が足りなくなる?」


27日(水)
 午前中は精米と接骨院
 そういえば、近所の小学校の校門で、サクラの落ち葉を拾う。今どき学校でサクラの落ち葉を拾っている男というのも、かなり怪しいが、毎朝、通る散歩道のサクラの葉っぱは虫食いだらけだけれど、小学校のサクラの葉っぱはずいぶん虫くいが少ないように思ったのです。美しいですな。でも考えてみたら今どき、小学生でも落ち葉が美しいと思って拾わないかな(笑)。サクラの花びらなら拾うかな?(笑)


28日(木)
 晴れたり曇ったりだが、曇りがち。北風が冷たく寒い。
 午後、水利の計算事務をはじめる。


 瀬々敬久監督『最低。』(2017)をAmazonプライムで観る。うーむ。なんだかなぁ(笑)。
 マックG監督『チャーリーズエンジェル フルスロットル』(2003)Amazonプライムで観る。あれ?これ2003年の公開なのか。うーむ。するとDVDかビデオで観たのかな?ま、おもしろかった記憶があるのだが、今回観たら、なんだかなぁ、ドタバタ喜劇のような映画で、笑えました。だいたいストーリーがチャッチイし、ま、その分、映像とアクションはばかばかしいほど派手だし。ま、若い頃からこういう映画も好きだったんだろうな。


 そういえば、先日ラジオで「お米が足りなくなるかも」というような番組をやっていた。途中から聴いたのだが・・・。

 「お米が足りなくなる?何を言っている、今は生産過剰だよ」という農家の声が聞こえてきますが、ただ、米の生産能力、供給能力は明らかに下ってきているのです。農水省によると水田の作付け面積は2014年は164万haですが、毎年平均で1万haづつ減ってきている。2019年は158万ha。1万haというのは東京ドーム2000個分以上ということになります。毎年2000個分づつ減っています。
どうしてかなんでしょうか?
 はい。一言で云うと農家の高齢化、後継者不足です。特にお米は、中小の農家、副業的農家、兼業農家が多く担ってきたのですが、こうした人たちが今、大量にリタイアしてきている。この20年で50万戸の兼業農家が離農、リタイアしました。それがお米の生産能力の減退に一番影響しています。
具体的にどのようなことがおきているのですか?
 兼業農家はだいたい作付け面積が小さいんですね。今、お米の価格がだんだん下ってきていますので、ある程度の面積がないと採算にのらないのです。で、効率的にある程度の面積に作付けするためには、農業機械が必要ですが、またその農業機械が高いのです。「これだけ高いと、今、更新を迎えているのだが、これを機会にやめようかと思っている。」という人が大変多いわけです。
 もう一つ。実は採算にのらないというのは今に始まった話ではないんですが、団塊世代の方々は損得勘定を超えて、先祖伝来の土地だからとか、主食はやはり作りたい、という思いがあって作っていたんです。ですがこの団塊の世代の息子娘世代、今、30代40代の方は、もう子どもの頃から農業をやっていないので、自分たちはちょっともうできない、やれないという世代間の違いというのがある。そもそも農村に人がいないので、受け継ごうにも受け継げないということもあります。
 そこへまた米の消費が減っているという事情もあります。
米を食べなくなったということですね。
 はい。一人当たりの消費量がこの30年間で1年に食べる量が72kgから54kgになりました。20%も減ってしまいました。
 消費量が減るので、国は米が余るので、減反、今は生産調整と言いますが、生産調整をしてください、米以外のものを作ってください、と奨励しています。そうすると米の生産量は過剰から収まり、米の価格も維持されます。でも今度は天候や災害等の影響で作柄が悪くて収量が減ると米の値段が上がってしまいます。すると消費者は買い控えをして、ますます消費量が減ってしまうということなっています。なんとも複雑な循環で下げ止まりが収まらないという状況になっています。これが「米作ってもなぁ、お金にならないからなぁ。」という農家の生産意欲の低迷につながっているわけです。
じゃ、消費が減っているのなら、米が不足するという心配はないわけですか?
 はい、そうとばかりも言えなくて、今、農家が減っていっても、大きな農家に農地が集まっていけば、農家数が減っても面積は維持されるので生産量も維持されますね。ところが中小農家、兼業農家が大きな担い手農家に預ける農地というのは中山間農地で、田んぼ一枚一枚が小さかったり、あるいはイノシシやサルの鳥獣害がひどくて、預かれないという農地が増えてきているのです。大規模農家に農地が集まれば農地が維持できるというシナリオ通りにはいっていない、こうなってくると、一時的に米が不足する事態になるのではないかとも思っています。
気になるのは将来のこと、将来どうなるかということですが・・・。
 いろんな方に聞いてみたんですが、農水省の元幹部などに話を聞いてみますと、引き受ける農地、農家が減っても、消費者の需要がそれ以上に減っていくので、不足するところまではいかないのではないかという声が多かった。また大学の先生は、これまで過剰対策に目がいきすぎだったんだけれども、確かに地方のよっては、生産力が落ちているので、供給力の衰退に警鐘を鳴らす必要がある、というような話もありました。
専門家によっても意見が分かれているんですね。現場はどう受け取っていますか?
 新潟県福井県の稲作農家8人に意向調査をしたが、不足するだろう、という人と不足しない、という人が真っ二つに分かれました。不足の時代が来ると答えた人は、中山間農地を中心にますます引き受け手が少なくなる、よほど条件を整備、環境整備をしないと担い手の大規模農家が引き受けなくなるという意見。また不足にはならないだろうという意見は消費量がこれだけ減っているので、農家が減っても不足にはならないだろう、ということでしたが、でも皮膚感覚でお米が不足するだろうと感じている農家が半分いるということを、私たちは無視できないなぁと思います。
現場の声は重いかもしれませんね。でも専門家も現場の声も割れているという大変微妙な状況にあるということがわかりますね。一方で米は輸入もありますね。
 はい。今、私たちは毎年77万トンの米を義務的に輸入する機会を海外に与えています。貿易自由化の取り決めによって決まったものです。77万トンが決まったときには、私たちは今より米を食べいたので、米の消費量の6、7%だったんですが、私たちの米の消費量事態が減っているので、今は10%と輸入米の存在感が高まっています。この先アメリカやほかの国がもっと日本に米を輸出したいとなると、ますます日本の農家にとっては輸入米という競合相手がいる中で米作りをしなくてはいけないので、頑張って米作りをしたいというモチベーションが上がってこない、ということになるかもしれません。農家にとっては厳しい状況ですね。
いざとなったら輸入米があるから米不足にはならないのかもしれませんが、しかし日本で米が作られないとなると、それはそれで心配ですね。
 そうなんですよね。農地を維持するということは大事なことなので、対応策としては、個人でできないところは集落営農組織といって村全体で一緒にやろうという動きもありますし、担い手によってはやめていく農家の農地を一生懸命預かってやろうという風に必死の努力をしていこうとしているのは確かです。
お米はとても大事なものですが、皆さんは、どうお感じになったでしょうか?
メールでお便りが届いています。
 「わが家は米とスイカを作る農家ですが、米が足りなくなるかもというお話しに「え?」と思いました。でも現実に周りには耕作放棄地が増えています。高齢化、後継者不足、我々にはどうすることもできない大きな問題です。夫も子どもには農業を継がなくていいと話しています。現役農家がそんな気持ちになってしまうことは本当に残念。」
 はい。取材をしてきても、子どもさんに農業を継がなくてもいいよ、という親御さんが多いのはほんとに確かなんですね。でも農家の皆さんは本当はどう思っていらっしゃるのか、複雑な思いではないのかな、と思います。継ぎたくなるような農業を作っていくには、私たちがもっとお米を食べることで農家を励ますことが大事なのかな、と今のお便りを聞いて思いました。


 というようなお話でしたが。なんだかなぁ。いろいろ思うことはありました。
 農業という仕事は、天気・天候のこともあるので、一手間かけたからといって、必ず収量があがるとか、おいしくなる、というものでもないのですが、いいものをつくろうと思って一手間かける、丁寧にやる、という気持ちはいつも持っています。暮らしの中のことは、まあ、一手間かける、丁寧に、という感覚が何事につけとても大事な気がしています。料理も同じですね。おいしく食べるために、楽しく食べるために、ちょっと何か考える。ちょっとなにか丁寧にやる。そういう気持ちがみんなにあれば農業もこれからうまく回っていけそうな気もするし、食べ残しやゴミもこんなに出ないようになるのではないかと思っています。ええ、また身の丈にあわないことを書いてしまいましたが(笑)。