現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

お正月とあれこれ


1日(水) 元旦
 弟の家族が帰ってきてくれたので、なんだかんだとお寿司とお節料理で飲みながら、あれやこれや話をする。カルロス・ゴーン氏の保釈金15億円は安すぎたのではないか。150億円ぐらいでも逃げただろうか、没収の15億円はどうなるのか。それから町田康『しらふで生きる』を読了したばかりなので、その話などウダウダ。


2日(木)
 いささか二日酔い。
 箱根駅伝の様子をネットで観ながら、文鳥文庫の第三弾を読む。
 江戸川乱歩一人二役」・・・うーむ、こういうこと書かせると乱歩はさすがですな、おもしろい。
 乙一「東京」・・・処女懐胎の話だが、うーむ、読ませるねぇ。
 N・ホーソンウェイクフィールド」・・・うーむ。もう一つおもしろくない(笑)。
 泉鏡花「夜釣」・・・いいねぇ。最後の段落が、粋だねぇ。
 村上春樹「鏡」・・・村上春樹の短編としてはあまり出来はよくないと思うが。
 芥川龍之介「薮の中」・・・さすがに名作ですな。黒澤明の『羅生門』もたいへんおもしろかったけれど。
 中島敦山月記」・・・高校生の時にはじめて教科書で読んだのだが、以来何度読んだかわからないけれど、「隴西の李徴は博学才頴、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、・・・」という冒頭はすでに暗記してしまっている。いやぁ、いいですなぁ。
 夢野久作「瓶詰地獄」・・・夢野久作は学生の時にはまって、角川文庫でずっと読んだのだが、なるほど「瓶詰地獄」は短いけど、よくできた短編ですな。


3日(金)
 午前中は箱根駅伝をネット中継で観ながら、事務仕事。元年度のお米の収量計算をあれこれ細かにやる。田んぼごと、品種ごと、田植え時期ごと、いろいろきちんと計算してみる。
 夕方からお寺さんの鏡餅割りの年番の仕事と高校のときの同窓会がちょうど重なってしまって、いささか慌てるが、40分遅れで同窓会にいく。オリンピック年ごとに催されているのだが、僕は三回連続で欠席しているので、15年ぶりの参加になりました。すでに写真撮影は終了したとのことでしたが、ま、あれこれ懐かしく楽しくおしゃべりして、二次会まで。


4日(土)
 いささか二日酔い。
 昨日、お寺で割った(切った)鏡餅を、配りにいく。


 そう言えば、ジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス監督『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017)を観る。うーむ。テニスのキング夫人って、こういう感じの人だったのか。って映画なので盛り上がるように描かれています。映画の中ではビリー・ジーン・キングと名前でずっと呼ばれているけれど、日本では「キング夫人」って、呼ばれていましたよね。「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」というのは「男女対抗試合」ということだが、男女の平等という現在では、たぶん、当たり前のことをプロテニスプレーヤーとして主張してきたんですな。1970年代前半のアメリカ合衆国で男女間の不平等が・・・、って書いてきて思い出してきたけれど、ウーマンリブ運動って、覚えています。なるほど。振り返って2020年代アメリカ合衆国や日本の現状はどうなんでしょうか。70年代のテニスの試合って、あんな感じだったのかな?今と比べるとずいぶんボールのスピード感が違いますな。
 ビリー・ジーン・キングの役はエマ・ストーン。ボビー・リッグスの役はスティーヴ・カレル。どうもね、スティーヴ・カレルは、どこかで見たぞ、なんだっけ?とずっと思っていたのだが・・・。
 テレビドラマの『それ行けスマート』はもちろんドン・アダムスで、学生時代、深夜の再放送をやっていて、友達の下宿でよく見てましたなぁ。ええ、笑わされてました。それが2008年に『ゲット スマート』として映画化されて、そのスマート役がスティーヴ・カレルでした。うんうん。彼が出るとコメディ感が倍増しますな。と、言ってもスマート役はドン・アダムスがはまっているけど。


 黒沢明監督『まあだだよ』(1993)を観る。最後の黒澤映画です。内田百閒をモデルにした映画ですな。主演が松村達雄だから、普通は『男はつらいよ』シリーズの二代目のおいちゃんのイメージなんだが、うーむ、よく似てますな。好演です。香川京子も、井川比佐志もすばらしいし、所ジョージもまじめにやっていますな。
 僕は旺文社文庫の内田百閒のシリーズをたぶん全部持っています。ええ、全部新刊で買ったのですが、全部は読めていません。大学生のときに次々と出て、次々と買いました。『百鬼園随筆』をはじめとした随筆、『阿房列車』の汽車旅シリーズ(「ヒマラヤ山系」こと平山三郎氏との旅シリーズ)、あと『ノラや』などの猫ものもありました。『まあだだよ』ではノラの失踪やクルツのこともわりと大きく扱われています。
ま、百鬼園先生の文章は、どうも妙なところで笑わせられる、という印象です。なんだろう、大笑いはしないけど、ニヤニヤと笑ってしまいますな。
映画『まあだだよ』は、僕には十二分に楽しめたけれど、黒沢映画としてはわりと淡々としてますな。まあ、そこが味になっているのでしょうけれど、内田百閒の文章を知らない人にはどうか。ちと分かりにくいかもしれない。