現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

『禅 ZEN』を観る

 高橋伴明監督『禅 ZEN』(2009)を観る。曹洞宗の開祖である道元禅師の生涯を描いた作品です。中村勘太郎主演です。今の勘九郎ですね。僕はどうも歌舞伎役者が映画に出るとどうも演技が不自然な感じがして、なじめないことが多いのだが、道元の役だからかわりと素直に観られました。でも高良健吾内田有紀藤原竜也の方がはるかに自然な演技だったと思いますけど。映画としては楽しめましたが、唯一、月や怨霊や蝶などCGが使われているところは、まったくもって鼻白む感じがしました。
 うちは浄土真宗門徒なので、あまり道元禅師の教えに触れたことはないし、『正法眼蔵』も読んだことはないのですが、って読んでもたぶん理解できませんね。僕には永平寺できちんと修行した友人がいるのですが、彼と話しているとき、修行の厳しさを訊ねたら「うん、痛快や。」と即答したのがとても印象に残って覚えています。もう30年くらい前の話なのですが、今はもちろんですが、その30年前ですら「痛快」などという言葉を使う人はいなかったのです。
 「只管打坐」と言われても、ほんの数回しか座ったことがない私としては、禅のことはわからないことばかりですね。
 映画は道元と死を覚悟したその母親の会話からはじまります。「私はそなたのおそばにいることができる。今このとき、こここそが浄土。ここより他に浄土などないと。」「その通りです。母上。この世こそ浄土でなければなりません。」「ならばこのお浄土にありながら、なぜ人は争い、病に苦しみ、死の苦しみから逃れられないのでしょうか。」という、ある意味普遍的な問題提起から始まります。最澄空海親鸞道元も、もちろんブッダマホメットもキリストも、浄土というか、幸福感、あるいは幸福観について、僕とはぜんぜんちがうレベルで考えていたんだろうとは思います。この世こそ浄土と思えるためには、落語好きの私としては枝雀さんの「万事、気嫌よく」とか、ジブリ好きの私としてはアシタカの「曇りなき眼で見定める」とか、ストーンズ好きの私としては「♪ I wanna walk before they make me run」(この曲はミックではなくてキースが歌っています。)とか、百姓の私としては「まずは自然観察」とか、風呂好きの私としては、熱めのお湯にざんぶり肩まで浸かって「うーっ、あああああ。極楽極楽」とつぶやいてみる。なんてのが、わかりやすくて好きなのです。でもまあこれらは、今の自分には瞬間的には極楽気分でも、なかなか長続きしないのが、残念です(笑)。
 ええ、いや煩悩は百八つもあるそうですから、煩悩とともに生きていく覚悟をできています(笑)。






BEFORE THEY MAKE ME RUN - THE ROLLING STONES

キース・リチャーズのギターはなんだかええかげんな弾き方をしてるけど、でもかっこいいんだなぁ(笑)。