現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

寄合いの夜の月と『今日』と『食べるとはどういうことか』


11日(土) 月齢15.9で満月 旧暦では師走の十七日
 夕方から、寄合があるので、その準備など。
 寄り合いのあと慰労の一杯。
 寄り合いのあと家に帰るとき、満月が皓々と照っていた。「こんな一月も珍しいねぇ。」「ほんまにのくといねぇ。」「今晩は満月?」「いや、ちょっと左下が欠けかかっている?」などという話をしてました。


12日(日)
 朝からウダウダ。曇り空がちでしたが、ときどき日も差したりして、天気も比較的良かった。


 前回のブログで虹について少し書いて、虹の内側が明るいのに気がついた。って書いたら、Instagramで、虹の明るさの謎のヒントを教えていただく。「光と色の不思議」というページ。東北大学の光物性物理研究室・吉澤先生のホームページです。でも悲しいかな、書いてある数式やら数字の意味がよくわからない。sinθとか出てくると、うーむ、と唸るばかりになってしまうぜ(笑)。
 でもまあ、「一個の球による散乱」と「多数の球による散乱」など、なんとなく虹が虹に見えるヒミツに近づけた気はしました。(たぶん錯覚なんでしょうけれど)
 で、「図1-6 虹の模式図」という図を見ると、主虹と副虹のこと、虹の中心は太陽の反対側、そして「内側は明るい」という記述というか指摘もあって、僕の観察が間違っていなかったのではないか、という感じをしています。光と色、というのは写真好きな私としてはおもしろそうなことだと思うのですが、きちんと解析、解明しようとすると、ちょっと手ごわい感じもしますね。


 伊藤比呂美訳・下田昌克画『今日』(福音館書店)を読む。ええ、この定価1400円+税には、たった二つの詩しか載っていません。消費税は10%ですから140円。合計で1540円です。1540円で、詩が二篇。高いか安いか(笑)。実はこの本は初版が2013年で、ええ、一度、本屋さんで立ち読みしたことがあるのです。うーん、僕は5分ですべてを立ち読みしてしまいました、たぶん。すごく感動したのですけれど、一冊すべてを立ち読みとはいえ、読んでしまったので、また本屋さんの書棚に戻したんです。
 ところが、先日、ラジオで伊藤比呂美さんが登場して、この「今日」という詩を朗読したんですね。僕はたまたまじっと聴いていたので、あ、いや、伊藤比呂美の詩は昔から大好きなのですが、聴いていいるうちに、立ち読みしたことを思い出し、また詩の内容にも、ウルウルしてしまいました。そうだった、そうだった、と思い直して、Amazonでクリックしてしまったのですが、昨日、届いたのでした。ええ、読んでみたら、またしても、ウルウルと泣けてしまうのですな。二篇とも。この二篇の詩は伊藤比呂美訳なのですが、作者はわからないのです。二篇とも作者が誰だかわからない。それもまたいいのです。
 それから下田昌克画伯の挿し絵というかイラストもとてもいい感じです。
 若い人に是非とも読んでもらいたい。おすすめです。僕はすでに昨日から繰り返し何度も読んでいるので、1540円はとても安いです(笑)。


 続いて藤原辰史『食べるとはどういうことか: 世界の見方が変わる三つの質問 』(農文協)を読む。これも先のラジオで紹介されていて、クリックしてしまいました。本の帯には「京大のフジワラ先生と12歳〜18歳の中高生による白熱の「食と農の哲学」ゼミナール」とあります。ええ、食と農を通して哲学することについて書かれています。中高生向けに書かれていますが、大人というかオジジが読んでも、大変おもしろく感動しました。楽しめました。うーん、三つの質問とは、“いままで食べた中で一番おいしかったものは?” “「食べる」とはどこまで「食べる」なのか?” “「食べること」はこれからどうなるのか?”ということですが、ええ、もちろんこういう問いには、きちんとした答えはないのでしょう。“いつか必ず死ぬとわかっているのに、なぜ生きようとするのか?”という問いに確かな答えがなかなか出てこないように。
 登場する12歳の小学6年生から18歳の高校生までの若い人が議論する、というか出す意見の言葉がスバラシイです。もちろん藤原先生がリードして、引き出していっているんでしょうけれど、自分の頭で考えて、自分の言葉で、わからないこと、というか、うまく言えないことを、きちんと言葉を積み上げていく作業の中ではっきりさせていくという、まさに哲学的な思考をしていっているんですよね。
 とても勉強になったけれど、オジジとしては読んだそばから忘れていってしまうので、付箋をたくさんつけたのだが、付箋のところだけでもまた読み返さないといけませんな。