現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

万年筆の水洗いと『帰ってきたヒトラー』と「唐茄子屋政談」

27日(月)
 終日、どんより曇り空。夕方暗くなってから雨が降りだしました。
 午前中は精米など。
 午後は農協でお金の出し入れなど。
 それから万年筆の水洗いを数本する。学生の時にはインク瓶にペンをつけて書くつけペンを使っていたのだが、万年筆は持っていなかった。自分で買ったのは百姓になってからなのだが、知らないうちにどんどんと増えてきて今では二十本ほどになっている。最初は開高健の使っていたのと同じのが欲しかったのです。それでまあ奮発して新品を買ったんです。とてもうれしかったんですが・・・。
 ところがですな、「あーた、まあ、それは開高モデルといえば開高モデルなんだけれども、開高健が使っていたのは70年代のモデルなんで、厳密に言うと、いろいろ違うんですよ。細かいことを言う、と思うかもしれないけれど、好きな人は、まあ、そういう細かいところが、気になったりするんです。だから、あーたの新品は、開高健モデルじゃ、ないんですね、厳密に言うとね。」などとおっしゃる方もおられるんです。なるほどねぇ、まあ、おっしゃる通りですわな。こうなると厳密な開高健モデルが欲しくなりますわな。で、細かい差異を調べて、その中古の万年筆屋さんにも確認すると、「ええ、そういうことおっしゃるお客さんは多いんですけどね、年代や時期によって、いろいろ違うので、これがホントに開高さんが使っていたのと同じモデルかと言われると、本物の開高さんの万年筆を手に取って観てみないと断定することはできません。私は実物を観たことがないので。でもマニアがいうところの開高健モデルはこれです。たぶん開高さんのと同じだと思いますよ。」とおっしゃるのでありました。うーむ。ま、外から眺めたいわゆる細かい差異は、ムックで調べた開高健モデルと同じだったので、よしとしております。ペン先等調整してもらっているので、インクの出方、フローも申し分なく愛用しております。
 もっとも日本語を書く場合は、って日本語しか書けないのだが、長刀研ぎというセーラー万年筆のペン先が実に安定していて気持ちいいです。あと最初は太字や中字指向でしたが、最近は細字や極細も悪くないかも、と思ったり。そんなこんなですこしづつ増えていくのですが、ま、字を書くには一本あればいいのですが、ええ、ま、それはよくわかってはいるのです。それから万年筆以上に字の稽古が大事だということも(笑)。


 ダーヴィト・ヴネント監督『帰ってきたヒトラー』(2016)を観る。コメディ?コメディです。どこかの国の副総理が「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言してましたね。で憲法改正して緊急事態条項を入れようと。こういう世の中だとなにがコメディなのかもわからなくなってきますな。ま、映画のラストシーンもけっこう不気味だけど。
 こういう映画がちゃんとコメディとして笑える世の中であってほしいものです。


 このところ早寝が続いているので、結果として早起きしているのだが、朝、お茶を飲もうとしたら、お茶ッ葉が無くなっていたので、どこかに無いかと台所をあちこち探したら、インスタントのコーンクリームスープを見つけたので、とりあえずおいしくいただいて温まったのだが、同時にいただき物らしい正月用の派手な御目出度いラベルの日本酒を一本見つける。うれしい(笑)。

28日(火)
 朝から晴れたり曇ったり。南東の風がそこそこ強くて外に出ると寒い。
 午前中は事務仕事。午後もたぶん事務仕事。


 先日、友人が柳家さん喬の「福禄寿」がすごいよ、と教えてくれたのだが、「唐茄子屋政談」もよかったです。「唐茄子屋政談」は僕の好きな噺で、志ん朝のが大好きですけど、さん喬さんのもその次くらいにいいです(笑)。スマホで落語聴きながら蒲団に入ると、だんだん気持ちよくなってしまって知らないうちに眠ってることが多いのですが、この噺も気持ちよくって眠ってしまって、朝、目を覚ましてから蒲団の中で聴き直しながら、途中でやっぱり泣かされました(笑)。


柳家さん喬 - 唐茄子屋政談