現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

事務仕事と遺跡の調査と『古都』

 午前中は雨。午後から晴れてくる。
 少し事務仕事。少し買い物。


 夕方、Yuki Saito監督『古都』(2016)を観る。ええ、原作はあの川端康成だそうです。未読です。どうも僕は文芸ものの映画が苦手で、今回も、ま、もう一つでした。ええ、いや美しい映像なのは美しいんだけれども、京都もパリも美しく描かれているけれども、観ていてハラハラもなければ、ドキドキもしない。たぶん川端康成の書いた小説を読んだほうがもっとおもしろかっただろうとは思います。ま、いいんだけど。
 ネットで検索したら、『古都』は今回観たのを含めると三回映画化されているんですね。1963年の中村登監督。双子の役を二役こなしているのは、岩下志麻。1980年の市川崑監督。二役しているのは山口百恵で、もちろん三浦友和と共演です。なるほど。百恵ちゃんは川端康成作品の映画に友和さんとよく出てましたな。それから今回の2016年のYuki Saito監督で、二役しているのが松雪泰子。なるほどねぇ、女優さんで時代がわかりますね。
で、今、川端康成の『古都』のあらすじを読んでみたら、今回の映画の脚本とぜんぜ違うやないかいな(笑)。未読ゆえこんなことになっていたとは。川端康成に叱られるんとちがうかな?いや松雪泰子は頑張っていたと思いますけど。『古都』は川端康成の代表作ですもんね。あ、今、気がついたけどポスターには「川端康成名作の、その後を描いた感動作」とちゃんと書いてありますね。なんだ。




 そういえば、先日、家を建てるので基礎工事をする前に、遺跡調査をしていたら、どうも柱のあとらしきものが並んでいるのが、出てきたらしい、と先日、お隣の農家から聞いたので、ちょっと買い物帰りに見てきた。ちょっと前に何かやっているのは知っていたのだが・・・。遺跡の調査だったとは。
 もともとこのあたりは「福良の森」と言われていたところで、ちょうど北国脇往還が通っていたりしたので、古い文書にも名前が出てくる大きな深い森だったようです。戦後食料難の時に開墾されて、田んぼが広がり新田と呼ばれるようになって、ずいぶん小さくなってしまったようです。僕が小さい頃はまだ少し森の気配はありましたが、無舗装の細いガタガタ道だった北国脇往還国道365号線になるのにともなって、さらに小さくなり、国道の脇にいろんな建物が建つようになって、さらに小さくなってしまいました。遺跡はその新田の田んぼの下から出てきたようです。お隣の話によると4世紀か5世紀頃の地層だそうです。
 4世紀か5世紀頃の日本はどうだったのだろうと、さっき年表を観てみたら、弥生時代のあとの古墳時代ですね。飛鳥時代の前になりますな。うちの近所にはいくつか古墳もあります。ほとんどは円墳みたいですけど。父の話によると福良の森は大きな森だったけれど、ところどころ中に畑もあったりしたみたいです。昔は川の堤防などはありませんから、しょっちゅう氾濫して、川の流れもよく変わっていて、同時に平野部は湿地になっているところが多かったようです。ですので人は概ね山の際あたりから住みはじめるようなのですが、福良の森も山から続く森ですから、ちょうど住むのにちょうど良かったのかもしれません。それが草野川の氾濫で埋まってしまったのではないか、とお隣は調査をしている長浜市教育委員会の方と立ち話で情報を仕入れられたそうです。
 刷毛やヘラみたいなやつで慎重に掘っていかれるようですけど、本当にあんな風に柱の穴がわかるのか、適当に掘っているんじゃないの?というのは素人が普通に考える発想らしいのですが、今日見て驚いたのは、戦後の開墾の時に埋められたヒューム管(鉄筋コンクリートの管)もやっぱりちゃんと発掘されていたことでした。新田として開墾されたときはいくつか池をついてポンプで水をあげて流していたのだが、僕の通っていた中学校の脇にはポンプアップされた水がヒューム管を通って吹き上がっていたところがありました。吹き上がった水は公平に四方へ流れていく仕組みですね。
 で遺跡調査でそのヒューム管を掘り当てたんですね。調査員の人はまさかそんなところにヒューム管が埋まっているとは知りませんが、土の変化で丁寧に掘っていったら、戦後の開墾の時に埋めたヒューム管を見つけてしまったというわけです。ですからやはり刷毛やヘラで適当に掘っていたわけではないんですね。ええ、当たり前ですが(笑)。
ま、しかし4世紀か5世紀頃の人々はどうやって暮らしていたんでしょうね。弥生時代のあとですから、すでに稲作は行われていたのでしょうね。けっこう大きな柱の跡なんですが、どんな建物だったのでしょう。おもしろいですね。