現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

畦畔の草刈りとヘアリーベッチの発芽と『人新世の「資本論」』


 朝のうちは曇り。ほとんど無風。朝のうち少し事務仕事をして、畦畔の草刈りに出る。
 この時期の田んぼ仕事としては、秋耕が一番なのですが、こちらは長男にまかせることにしました。僕は畦畔や田んぼ道の法面の草刈りに。一番早い稲刈りは8月末ですが、その後に伸びてきた分になりますが、けっこう伸びてきているんですよね。
 夏の草はすでに枯れてきていますが、秋からの草は背の高いものはありませんが、緑色の大きな葉を地面の上に広げているんですよね。もういかにも高度の低い太陽の光をできるだけ受光しようという姿です。なんというかこういう合理的な姿に感心してしまうんですよねぇ。いや、こういう姿を選んだからずっと生き延びてきたのでしょうけれど。




 それと先月15日に播種したヘアリーベッチを確認したら、なんだかきれいに発芽して伸びてきていました!今年は初めてシーダーで播種したのです。お天気のこともありますが、シーダーで播種すると覆土して転圧をかけられるのがいいところ。ヘアリーベッチの芽は名前の通りhairyで、細いのでわかりにくかったのです。近づいてよく観てみると伸びていました。しかもちゃーんと筋状に見えてます。ありがたいです。まあ、このあとどういう生長をしていくのかわかりませんが、順調に育って緑肥として立派になってくれるとうれしいです。


 昨日もちょっと書いたけれど、斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)を読了。この9月22日に出たばかりのホカホカの本です。私のは10月18日の第二刷ですけど。コロナ禍とか気候変動のこともあるので、ちょっとあちこちで書評が出てましたので、読んでみました。斎藤幸平氏は1987年生まれの哲学博士で、経済思想、社会思想が専門なんだとか。経済学とか一番苦手分野です、たぶん。高校の世界史の授業だったかで(いや、倫理かな?政治経済かな?)、資本家と労働者の関係のなかで「搾取」という言葉を聞いたのが、マルクスにふれた最初だったかも。そういう私なので、ちょっと難しい内容でした知らない海外の学者の名前もたくさん出てきましたし。
 もっとも「潤沢な脱成長経済」というのものが現実としてどうなんだろう、とは思いました。もうひとつイメージがうまくできなかったので。半分ぐらいしかわからなかったかも(笑)。でもいろいろ考えるところはありました。
 例えば。
 今日のニュースで「改正種苗法参院本会議で成立 海外への不正持ち出し禁止」というのが報道されていて、種苗法が改正されたわけですが、海外への不正持ち出し禁止はいいとして、農家が収穫物から採取した登録品種の種を次の栽培に生かす「自家増殖」の際にも、開発者の許諾が必要になるというように改正されました。
 農業というか、農家は今まで植物がつける種を採取して、次年度の播種、栽培の準備をしてきたわけです。そういうことを繰り返してその土地土地に合う品種になるようにしてきたわけだし、その品種を守ってきたわけですね。そこに巨大資本のアグリビジネスが参入してきて、F1品種や遺伝子操作をした品種を作りだしてきたわけです。そういうタネは毎年買わねばなりません。そうすると農家は生産者であるんですが、消費者にもなってしまうんですね。登録品種は自家増殖の採取をしてはいけませんよ、と言われると、農家はなんとなくモゾモゾとしたものを感じてしまうわけです。またアグリビジネスの食い物にされてしまうんではないかと。農業の機械化がすすんで、そっち方面では農家はもう完全に消費者で、高額大型機械の購入に借金することになりその返済に四苦八苦しているわけですから。
でも読みながらたくさん付箋を貼り付けました。いつも思うんだけど貼り過ぎだってーの。