現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

真夏の日々・・・大豆の中耕除草と魯迅とニゴロブナの放流と畦畔の草刈りと出穂とセスジスズメ蛾の幼虫などなど


20日(火)
 日の出とともに動き出す。昨日懲りたので、やはり草刈りは早朝にやらないと、というわけで畦畔の草刈りに出る。最初のうちは早朝の涼やかな空気と朝日の輝きで気持ちよかったが、三時間ほど草刈りをしたら、大汗をかき、腹ぺこになる。
 家に戻って朝食、そしてウダウダと事務仕事。
 午後は精米をすこし。
 それから夕方から中耕カルチの爪の交換を長男にしてもらう。明日から大豆の中耕(中打ち・土かけ)をする予定です。
 僕の方は朝の続きで畦畔の草刈りに出る。
 日没過ぎまで頑張って、あちこち、中干ししていた田んぼに水を入れてあるく。ここ数日の猛暑で土がどんどん乾いて大きなひび割れが田んぼに出来てきたからです。明日は尻水戸の処理もしなくてはいけないな。


 今日は日中の昼寝タイムになにか映画をパソコンで観るつもりだったが、朝の草刈りの時にちょっとうちの田んぼの畦畔にお隣から土砂が崩れて流れてきているのを見つけたので、その対応でバタバタしているうちに映画は観られず。まあ、いいけど。もうこのところまともに読書もできていない。というか、老眼鏡をかけて読書すると目の疲労が激しくて、寝転がっては、もう長時間読書できない状況になってしまいました。うーむ。つらいぜ。
 いえ、ちょこちょことは読んではいるのです。そういえば岩波書店の『図書』の2021年6月号と7月号に大学時代の恩師の『魯迅の「不安」(上)』『魯迅の「不安」(下)』とふた月にわたって文章が載っていました。「明治三七(1904)年九月、世の中が日露戦争で沸き立つさなか、仙台医学専門学校医学科(以下、仙台医専。仙台医専は医学科と薬学科の二学科制)に入学した清国留学生・周樹人(のちの魯迅)には、ある目論見があった。」という文章ではじまります。いいですね、この書き出し。
 魯迅という中国の作家の作品を読んだことのある日本人が、今どれくらいいるのかわかりませんが、恩師のS先生は魯迅研究の第一人者で、授業でも魯迅の『藤野先生』の中にある事実とちがうフィクションについての話や、ちょうど当時新しい『魯迅全集』が中国で出て、前の『魯迅全集』とどこがどう変わって、それはどういうことなのか、どういう意味があるのか、という解説をしていただいた記憶はあるのだが、もうすでにすべて忘れてしまっています(笑)。あと魯迅の第一作品集の『吶喊』の自序についての授業も覚えています。たいへん感動しましたが、なにに感動したのか、これがもうすでに忘れています。40年も前のことなので仕方ないですが、でもちゃんと授業の骨子は覚えているんですから、お許し下さい。迷妄な封建的な社会や道徳を克服して中国を近代的な国にしたい、という魯迅の姿勢のあれこれを話していただいた記憶があります。『吶喊』は学校を卒業してからも何度か繰り返し読んでいますが、『朝花夕拾』もまた読みたくなりました。


21日(水)
 暑かったですね。
 今日も日の出とともに動き出し、最初、昨日長男がしてくれたカルチの爪の交換で、うまくできなかったところがある、と聞いていたので、バタバタと続きをやって、大豆の圃場に出る。いや、長男が悪いのでなくて、去年だったか一昨年だったか、僕も同じところで躓いたのですが、これはカルチの設計の問題点でしょうな(笑)。パッと見て爪の交換が仕上がらないなんて、それはメーカーの設計の問題です(笑)。
 というわけで、大豆の中耕除草、中打ち、土寄せ、の一回目です。雨が降らず、土がよく乾いているので、思った以上に綺麗にできました。ありがたいです。
 長男と交代しながら、終日、作業する。
 僕は夕方、長男と交代してからは、昨日の続きであちこちの田んぼに水を入れたり、尻水戸を調整したり。結局、日没後まであちこち動き回る。
 もうすぐ「コシヒカリ」も出穂しそうで、穂ばらみ期ですから、水が必要な時期です。タイミングがありますから、時期を逃すことはできませんからね。
 というわけで、家に帰ったらちょうどお風呂が空いていたので、そのまますぐに入る。鏡でのぞいたら、顔も腕も赤銅色になって輝いていた(笑)。夏の野外で仕事する労働者の顔色そのもので、もう日焼けでヒリヒリすることはないけれど、なかなかアッパレな赤銅色で、我ながら感心する(笑)。枝雀さんの「地獄八景亡者戯」に出てくる三途の川の渡し舟の鬼の船頭の様子”パッと肌脱ぎになりますと鬼の船頭、赤松を割ったよぉな腕、よりを掛けて漕ぎ出した。”とあったのを思い出す。ええ、赤松を割ったよぉな腕とは?(笑)



22日(木) 海の日
 早朝から田回りして水の確認など。それから大豆の中耕除草。
 お昼前に長男に交代して、長男が新田地区の大豆の中耕除草をしてくれる。二人で交代して、機械は休むことなく終日、動かしたので、一回目の中耕除草を終える。ありがたい。
 僕の方は夕方からまた田回りに出て、あちこちの田んぼに水を入れたり、止めたり。



23日(金) スポーツの日
 早朝から田回り。その後、畦畔の草刈り。午後はたっぷり休んで夕方からまた畦畔の草刈り。


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24日(土)
 午前中は「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策事業」の一環で、田んぼに入れておいたニゴロブナの稚魚を用水路に放流する。5月30日に孵化したばかりの2mmか3mmほどの稚魚が2カ月弱で3cmから4cmほどに成長して、尻水戸を切ると、水と一緒に水路に落ちてきます。それを子どもたちと一緒に掬ったり、観察したり。あと水路を網でガサガサやって、フナの他にも、アブラコやドスンボ、カワエビなどが取れました。みんな楽しそうにワイワイとやってくれました。子どもを連れてきたお父さんやお母さんもおもしろがっていただきました。簡易の小さなテントも立てたりしましたが、暑い中なのでいろいろ心配しましたが水路は湧き水が流れているので、なかなかの冷たさ。長靴で中に入ると気持ちよかったです。
 田んぼに5万匹の稚魚を入れて、それが水路に落ちて、川に繋がって、最終的には琵琶湖までたどり着いて大きくなるのは、どれくらいの確率になるのかわかりませんが、ま、元気に育っていってほしいです。
 でもバタバタしていて、肝心のニゴロブナの写真を撮るのを忘れる。用水路で獲れたドスンボの写真一枚だけだった。いやはや。


 午後は大豆の圃場の畦畔の草刈り。


 こちらは連日の猛暑が続いていますが、沖縄の方ではゆっくりにしか動かない台風6号で、ずいぶん長い間(一週間ほども時化で船が動かず生鮮食料品などが入ってこないということだそうです。)暴風域に入ってましたね、雨はどうだったのかな。と思っていたら今度は台風8号が発生して関東から東北方面へ進む予報ですね。うーむ。
 今のところずっとこのあたりは雨が降る予報が出ていないんですが、一雨ほしい、今日この頃です。あまり降らないと大豆の圃場に畝間潅水しないといけないんだけれど・・・。


25日(日)
 今日は7時から農事組合の役員のポンプ小屋周辺の草刈り。いつもはだいたい村の行事は8時からなのですが、暑さ対策で一時間前倒しになりました。ま、それはそれでいいのですが、さすがに百姓以外の仕事をしている人もいるし、6時からとはできないか。でも最初のうち雲が多かったので、ありがたいことでした。でも終わる頃には雲が消えて晴れてきました。
 というわけで、僕はそのまま昨日に続いて自分の大豆の圃場の畦畔の草刈りに出る。
 昼寝して午後はまた大豆の圃場の畦畔の草刈り。日没まで作業して、帰りに最後に植えた有機栽培の「コシヒカリ」の圃場に水を入れる。田植えが遅かったけれど、あまりにも天気が良すぎて尻水戸側がずいぶん乾いてきているので、中干しを終えて水を入れました。幼穂、どんどん伸びてきて、大きな穂を出してほしいです。


26日(月)
 今日も早朝から畦畔の草刈り。9時まで頑張って、朝食。それから注文しておいたセット動噴が届く。新品です。むふふふ。
 午後は事務仕事をいくつかして、農協やら銀行やら郵便局を回って通帳記帳してくる。「先月は残高不足で引落できませんでしたので、今月は頼みまっせ。今月も残高不足やと、知りまへんで。」という葉書がきていたので、確認しておきました。手元不如意の日々は続くぜ(笑)。
 16時から日没過ぎまで畦畔の草刈りに出る。午後は台風8号の影響か、風が出てくれてありがたい。
 ひょっとすると明日は雨が降るかも。ああ、でも今雨雲レーダーの予報を見たら降らない可能性が高いけど、明後日は降りそう。一雨ほしいぜ。



27日(火)
 今日も日の出とともに動き出して、大豆の圃場の畦畔の草刈り。
 それから僕は事務仕事と精米など。長男は畦畔の草刈りに出てくれた。
 台風8号の影響か、そこそこ風が吹いたけれど、蒸し暑い。


 最初に植えた「コシヒカリ」はそろそろ出穂といってもいいかも。例年よりすこし早いと思う。


28日(水)
 曇り空が広がっている。朝、ほんのすこしだけしょぼしょぼと5分ほど地面を濡らしたが、これでは大豆はまったく喜ばない。


 オリンピックがはじまって、日本選手の活躍でメダルラッシュといってもいいような。テレビを点ければオリンピックをやっているので、応援しています。無観客の会場が多いので、選手はかわいそうだと思うけれど、コロナの状況を考えれば仕方ないですね。
 この歳になると日本人選手に限らず、どこの国の選手であっても、勝っても負けても、一生懸命な姿には心打たれます。
 選手のプレーは応援していますが、猛暑の中の大会とか、コロナ対策とか、「アンダーコントロール」という総理大臣の招致のプレゼンからはじまって、開会式までのドタバタの数々(ほんとに数々!)は忘れられません。もちろん現場の実際の運営の方々の努力には頭が下りますし、文句ばかり言っていても仕方がないのですが。
 日本の国の力が下ってきているのをオリンピックとコロナ対策で、つくづくと感じます。


 朝、花に水やりをしていた奥さんが、「里芋に芋虫がおる。葉を齧っとるで、とって!」と少女のようなことを言うので観に行くと、いました。大きいのから小さいのまで10匹くらい。里芋なのでセスジスズメ蛾の幼虫ですね。大きいやつは豪快に里芋の葉を齧っていました。音がするかと思うくらい(笑)。