現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

「尻踏み」と温湯消毒と『ラ・ラ・ランド』と鷗外が愛した草花


26日(火)
 早起きして、朝ご飯も食べずに「尻踏み」に出る。天気予報でお昼前から雨の予報だし、強風が吹きますよ、という予報でした。「尻踏み」には雨はたいした影響はないですが、風は薄水が吹き寄せられてしまって、どこが高いのか、低いのか、均平がとれなくなってしまうのです。まあ、でもどこまで風が強くなるのか、わからないし、できるだけやってみようと、トラクタに乗ったのでした。
堤防の近くの圃場だったので、堤防の木が防風林になってくれて、それほど風を感じずにできましたが、さすがにお昼前からは強くなってきたので、「尻踏み」はここまでとして、午後は最後の温湯消毒をしました。

 雨でカープとスワローズのプロ野球も中止。夕方、デイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』(2016)を観る。楽しめました。ライアン・ゴズリングエマ・ストーンも頑張っていたし、夢を追い求める若者のストーリーもよかったけれど、やっぱりエピローグの”五年後の冬”の一瞬の再会というか、すれ違いというか、眼と眼を交わす瞬間が、よかったです。なるほどなぁ。現実的にはこんなことはあり得ないわけだけれど、映画だからな。もし二人がうまくいっていたら・・・というエマ・ストーンの思いが一瞬映像になって表れるんだけど、グッと来ました。現実には「もし」はないんだけれど、でも誰だって「もしあの時・・・」と考えてしまう時間はありますわな。藤沢周平の『蝉しぐれ』は大好きな小説だけれど、最後でふくが出家すると決めたとき、事件から20数年後に牧文四郎に手紙を送って呼び出すんだけれど、あれもいろいろご意見はあるかもしれないけれど、僕は文四郎の成長物語として、さわやかな物語が美しく閉じるなぁ、と思っています。あれもふくが「もしあの時・・・」とずっと考えていたからだろうし。ま、現実にはあり得ないわけだけれど。

 今日は曇り空と雨ですが、昨日はお昼前から晴れて暑い一日でした。昨日アップできなかったので、一日分を。午前中の播種の種もみはいささか白い芽が伸びすぎています。うちの大麦はお隣の大麦と比べていささか見劣りもして、生育も遅れていましたが、やっと穂がそろいました。それから午後は畦畔の草刈りに出て暑さでいささかならずグロッキーになっている男(笑)。帽子やタオルやシャツから暮らしのつつましさがにじみ出ていますな。もうちょっときれいな服装の時に撮ればよかったけれど、ま、いいや。きれいなシャツを着たからといってライアン・ゴズリングになれるわけでなし(笑)。

27日(水)
 早起きしてラジオを点けたら、須磨佳津江さんの「心に花を咲かせて」というコーナーは「鷗外が愛した草花」でした。園芸研究家の青木宏一郎さんのお話で、鷗外の作品には360種類もの植物の名前が登場するのだとか。うーむ。知らなかった。特に『伊沢蘭軒』には100種類ほど出てくるらしい。庭には花畑を作って、自分で熱心に世話もしていたという。うーむ。知らなかった。面白いお話でした。検索してみたら青木宏一郎さんは和のガーデニング学会会長なのか。『鷗外の花暦』という本も書いておられますね。和のガーデニングという言葉にはちょっとむずむずするが、なるほど。今年は生誕160年。没後100年らしい。今、気がついたわけではないのだが、鷗外は60年の生涯でした。二十歳のころ熱心に鷗外を読んでいた頃には気にも留めなかったけれど、自分が60歳になってみるとちょっとドキドキしますね。改めて鷗外の偉大さを感じた雨の朝でした。