現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

精米と時雨と『おらおらでひとりいぐも』と『にがい米』と「タコが言うのよ」


↑奥さんの世話している花の鉢。なんとなくクリスマスの気配。


↑時雨模様でも、朝はビビ号につきあって散歩に出る。左下は榎の実。今年は柿も豊作だったみたいですが、榎の実も豊作でした。鳥たちがたぶんたくさんついばんでいったと思いますが、まだ残っているものもあります。このあたりは榎の雑木が多いのだそうです。榎というと高校一年の四月だか五月だか、古典の授業の最初の頃に習った徒然草の「榎木の僧正」を思い出します。なんだか忘れられない話です(笑)。
5日(月)
 朝から精米と発送など。
 机の周りの整理など。散らかり放題だったので、頑張ったけど半分もすすんでない、ような気がする。
 夕方、歯医者さん。新しいのをのっけてもらって、今日でいちおう治療は完了。ありがたい。
 湖北地方は時雨模様のお天気がつづいています。

6日(火)
 ワールドカップクロアチア戦の中継を観ながら応援。惜しかったけれど、まだ何かが足りないんだろうなぁ。まあでも足りないものがないチームなんてどんな監督さんでも作れないしなぁ。
 見終わってそのまま発送準備など。精米は長男に任せて2時間ほど農談会へ。その後発送。
 午後は事務仕事など。
 今日もなんだか曇りがち風も冷たい。

 沖田修一監督『おらおらでひとりいぐも』(2020)を観る。主演は田中裕子。夫に先立たれて一人暮らしをしている75歳の孤独なおばあちゃんを演じている。なるほど。原作は若竹千佐子の同名小説。もちろん未読。若い時は一人暮らしもなんでもないんだけどね。気楽だし。でも年をとってくると、一人暮らしの感じ方もいろいろかなぁ。やっぱり気楽でいい、という人もおられるだろうし。一度家族で暮らすという生活を経験すると寂しい、と感じる人もおられるだろうし。うちは八人の家族の暮らしが長かったし、どうなのかな。うーむ。一つ屋根の下に八人で暮らすと、けっこう、あーた、バタバタですよ。家の中はすぐ散らかるし、電気代もバカにならないし、出すゴミの量もなかなかでした(笑)。
 今は「独居老人」という四字熟語(笑)ができてしまう時代ですからね。
 それから『おらおらでひとりいぐも』は宮沢賢治の『永訣の朝』からきてるわけなんだろうけど、『永訣の朝』では(Ora Orade Shitori egumo)となってますよね。だからずっと僕は「おらおらでひとりえぐも」と読んできたわけなんですけど、「いぐも」なの「えぐも」なの?岩手の方がおられたら教えてほしいところです。
 宮沢賢治の詩は、けっこう若い時から読んでいたんですけど、この『永訣の朝』も教科書に載っていたし、ずっといい詩だと思っていたのですが、30代の終わり頃に突然、急に、この詩の良さというか、すごさが、迫ってきたという経験があって、よく覚えています。『春の修羅』に収められているのですが、「松の針」「無声慟哭」と合わせて三部作なんですね。
 十代の終わりから宮沢賢治柳田国男を読んで、東北に触れられたことは、私の幸運でした。
 田中裕子は今何歳なんだ?うん?67歳。10歳年上のおばあさんの役を演じていたわけか。若い時からのファンだけれど、いつからかどうも薄幸そうな女を演じたらピカイチの女優さんになってしまったなぁ。若い時からそういう気配はあったけれど。「タコなのよ、タコ。タコが言うのよ。」にも参ったけど、「お好きな裕子差し上げます。」には参りました。「このタコ!」みたいな言い方は東京言葉なのかな?あんまり関西では使いませんね。あれって映画の『北斎漫画』(1981)に引きづられているよね。当時「タコが言うのよ〜」というのは、けっこう私も口の端に掛けておりました。田中裕子ファンのアピールをかねて(笑)。

 ↓もっと見たい方にはこちらも(笑)。やはりCMからはその時代を感じさせられます。1981-1996はまだまだ日本が元気だった時代でしょうか。ネットの普及の前ですからテレビのCMそのものも元気だったのかも。


7日(水) 二十四節気の「大雪」
 午前中は精米と発送など。午後は事務仕事といくつか金融機関を回ったり。

 ジュゼッペ・デ・サンティス監督『にがい米』(1949)を観る。ええ、もちろんタイトルが気になって、ずっと観たいとは思っていたのですが。なるほど。こういう映画でしたか。1949年のイタリア映画です。日本同様イタリアも戦争で負けてまだまだ苦しい時代ですわな。イタリアでも米を作っているのは知っていますけれど、こんな水田だったのか、今はどうなっているんだ?田植えは大変肉体的にしんどいので、日本でも田植え歌がいくつもあったようですけれど、そうして女性に競争させるように田植えをしてましたけれど、イタリアでも事情は同じだったということでしょうな。敗戦国イタリアの貧しい時代の水田地帯の映画。
 主演のシルヴァーナ・マンガーノは「圧倒的な肉体美から、日本では‟原爆女優”と呼ばれた。」らしいですが、なんだか笑えますけれど、白黒の画面からですが圧倒的な肉体美なのはわかります。水田に入る足の美しさといったら・・・。という感じです。ポスターの文言は「肉体迫力!」「女の体臭と官能をぶち抜く」ですからね。やっぱり笑えるなぁ。うーむ、ぶち抜かれたのかな?もう一人の主役ドリス・ダウリングも私は好きですけどね。
 終戦から四年目。日本ではどんな映画が公開されていたんだ?とちょっと検索してみましたら、私の知っている映画では7月に今井正監督『青い山脈』、9月に小津安二郎監督『晩春』、11月に清水宏監督『小原庄助さん』ですな。原節子の人気が伺えます。アメリカではターザンの映画が流行っていたみたいです。10月に『ターザンの怒り』12月に『ターザン紐育へ行く』と二本もターザン映画が公開されています。ちと国力の違いも感じさせられます。

8日(木)
 今日は研修してきます。昨夜は群雲の間から大きな月がときどき見られましたが、今夜が満月なんですね。旧暦の霜月十五日です。