現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

水栽培のヒヤシンスが満開になったことと畦畔の草刈りと『罪の声』


10日(金)
 朝のうちは曇り。そのうち晴れてきました。
 夜のうちに雨が降るという予報だったけれど、たぶんほとんど降っていない気がする。お昼過ぎまで田んぼに出て畦畔の草刈りをする。

 土井裕泰監督『罪の声』(2020)を観る。主演は小栗旬星野源。原作は塩田武士です。2016年度週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位で第7回山田風太郎賞受賞だそうです。映画の方も日本アカデミー賞の最優秀脚本賞をはじめあれこれ賞もとってますな。なるほど。
 グリコ・森永事件をモチーフにしているけれども、今、どれぐらいの人が覚えているだろうか。「キツネ目の男」とか「かい人21面相」とか。1984年頃の事件で、当時私はまだ学生だったので、テレビも持っていなかったし、新聞も購読していなかったので、もちろんインターネットもなかったので、事件のことはほとんどわかっていなかったです。あ、ラジカセは持っていたけれど、ラジオはFMの音楽番組ばかりにチューニングしていたし。それでも大学生協の本屋さんに並んでいる週刊誌の表紙や学生会館や図書館においてあった新聞をときどき読んだりしていたので「キツネ目の男」の似顔絵やタイプされた「かい人21面相」の脅迫文や警察やマスコミを揶揄する挑戦状(?)の写真などはよく覚えている。子どものお菓子がスーパーの棚から消えたともよく言われているが、僕はそれは見ていない。スーパーには行っていたが、卵や野菜炒めに使うもやしやキャベツ、四枚切りの食パン、リプトンのティーバックか紅茶の茶葉ばかり買っていて、お菓子の棚など見たこともなかったような気がする。当時はスーパーでビールやウイスキー、日本酒を売っていたのかなぁ?ちゃんと酒屋さんで買っていたなぁ。
 そんなこんなで世の中のことはほとんど何も知らずにいたのですが、「キツネ目の男」の似顔絵は知っています。しかしよくこんなんで就職の面接なんかも受けにいってたんだが、我ながらあきれる。ずらりと20人以上の面接官が並んだ個人面接でいくつかの質問のあと「現在の中国の指導者を数名あげてください。」と言われて「はい。鄧小平。それから、・・・えーっと。」と二人目が出てこない。沈黙の時間が流れたりしたが、ずらりと並んだ面接官も黙ったままこっちを見ている。苦し紛れにとりあえずもう一人か、二人、頭の中にあった中国共産党の人物の名前をあげた。今となっては誰の名前を言ったのかさえ思い出せない。まだ僕が思い出そうとしていると思ったのか、ずらりと並んだ面接官はまだ沈黙をしている。弱った。すると見かねたのだろうか、ずらりと並んだ面接官のうち心の優しい方が一人助け船を出してくださった。「○○はもう何年も前に失脚してるよ。」するとずらりと並んだ20人以上の面接官が一斉に笑った。失笑でしょうなぁ。失笑にしては大きな笑いだったけれど。その後のことはまるっきり覚えていない。さらに質問があったけれど、僕の個人面接は早々に切り上げられた感じだけ覚えている。やれやれ。
 グリコ・森永事件をモチーフにした小説は高村薫の『レディ・ジョーカー』が有名ですね。合田雄一郎が出てくるシリーズですし。すごくおもしろかったけれど、この映画の原作の塩田武士も読みたくなりました。いい映画でした。

 夕方というか夜は奥さんの飲み会というか、昔の職場の人が集まってくださる会がある、というのでホテルまでお送り申し上げる。迎えにも来て欲しい、ということだったので、ビールも飲まずにWBCの対韓国戦を観る。昨日に続いてヌートバーの活躍!ガッツのあるプレーですなぁ。
 WBCのゲームはもう少し早く試合開始にならないの?ゲームの最後まで起きていられない(笑)。

11日(土)
 東日本大震災と福島の原発事故から12年。地震はいつ起こるかわからないということ。まだ人類は核分裂核融合のエネルギーをきちんと制御・管理できていないことは忘れてはいけないと思います。使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の処理の仕方もまだわかっていないわけですし。なにより事故を起した原発廃炉の仕方・見通しだって、具体的なことは誰にもわかっていないんですよ。あ、そうして日本列島は地震が非常に起きやすいところにあることも忘れてはいけませんね。
 日本はあまり資源もない小さな島国のわりには戦争に負けてみんなが比較的均一に等しく貧乏に、貧しくなったので、みんなが一斉に真面目に誠実によく働いて、子どもを大切にして、教育が大事だという共通認識があったし、比較的近くの国で戦争があって急に景気もよくなって、奇跡的と言われるほどの復興を遂げましたが、世の中が豊かになってくると貧富の格差が出てきます。資本主義社会ですし、そもそも生き物は競争しながら生きていくものですから、よくいえば切磋琢磨ですが、要するに弱肉強食の世界ですから、そのままだとすこぶる暮らしにくいし、世の中が不安定で落ち着きませんから、知性、理性のある人類は、助け合いながら集団で生きていこうとしてきたわけです。でも助け合いは我欲のある人間には大変難しいことなので賢くて世の中のことがよくわかっていてみんなのことを考えてくれる立派な人をリーダーとして選んでやっていこうとしているわけですが、これがうまくいかないわけですね。選ぶ方も選ばれる方も我欲のある人間ですから。
 今日も暖かい日になるそうです。田んぼに出て仕事してきます。