現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

ミネラル肥料の散布と「泣くが嫌さに笑ひ候」

とにかく蒸し暑い。午前中は精米したり、お米を届けたり、農協へいったり。
お昼前から晴れて陽が射してきた。小麦刈れるかな?と思ったが昨夜は朝まで降っていたので、明日からにしよう。明日も予報では午後は雨のようだけれど。
今日は最初に溝切りをし落水して中干しに入った田んぼの8日目になります。午後は苦土と珪酸と微量要素が入ったミネラル肥料を中干しの田んぼに散布。で、まいたところは尻水戸を止めて水を入れ中干し終了としました。いちおう土に少しひびが入って、上に乗ると、足跡がつく程度に干す、ということに教科書には書いてあります。まあ、とはいえ1枚の田んぼでもよく乾いているところも、まだ柔らかいところもあるのですが、まあ、これから夏に向けてどんどん水が必要となりますから、水をやりつつ、また土も乾かしつつということになります。
8日目で中干し終了というのは、この梅雨空ですから、このあたりでも一番早いぐらいではないかと思うのですが、去年の秋、転作(生産調整)で大豆を栽培していたところなので、元肥を控えて少なめにしか入れていないので、いささか茎数がさみしい感じがしていること(少ないと10本くらい、多いと25本くらい。だいたい15本から20本くらいでしょうか。)で、まあ、あまりきつく干さずにもう少し分蘖させたいということがあります。それから少しひびが入ったので、有機物の分解の時にでるガスも出て、これからわっと肥効がでることを期待したいこと。それからわりと砂地というか畑地というか水持ちの良くない田んぼであること。まあ、そんな理由です。
苦土(マグネシウム)は食味向上に、珪酸は葉や茎を強くして倒伏や病気に強くなるという効果があると言われています。ま、効果があるのか、ないのか、はっきりした実感はありません(笑)。


午後遅く、田んぼを軽トラで走っていたら、今日の午後から麦刈りを始めました、という農家が二軒ありました。明日の天気はいささか心配ですが、天気を観ながらうちも明日から麦刈りを始める予定です。


古今亭志ん生『びんぼう自慢』を読み出す。なんだか面白い。びんぼう自慢って、病気の自慢と一緒で(いや、一緒ではないかもしれませんが)したくなるんですよね。わしの、おれの、びんぼう(病気)は、こんなにすごくてよ、てなもんで、笑ってもらわないと、笑いに転換しないといたたまれない、笑いに昇華して苦しさを忘れる、というような効果がありますからね。「泣くが嫌さに笑ひ候」とは誰の言葉だったか。
学生時代、熱心に読んだ開高健の文章に何回か出てきたので、覚えました。富山県立近代美術館にはルオーの「売笑婦と呼ばれる女」という油絵があって、作品の価値としては、いいのか悪いのか、僕にはわかりませんが、美術館には何度もいって、この絵は観てきました。油絵の作品そのものよりこのタイトルに魅かれたのだと思います。もし「娼婦と呼ばれる女」だとか「売春婦と呼ばれる女」だったら、十代の終わり二十代前半の僕の心がそよいだかどうか。


さっき、「昇華」という言葉を辞書で引いたら「性衝動を芸術に昇華させる|sublimate a sexual impulse into art」なんて、例文が出てきた。もちろんボクの心の中にも、芸術はおろか笑いにも昇華できないグツグツがいくつかあって、時に苦しめるのだが、まあ、そのうちなんとかなるだろう、と思うより仕方がない。そろそろいい歳なので、体も心も惚けてくる頃でもある。若い頃の神経のそよぎのような感覚は枯れてマヒし、穏やかに過ごせるようなることを願う。などと書くこと自体、すでに枯れてマヒしてきた証拠でもありましょう。ありがたいことです(笑)。