現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

終日強風と切った木の始末と畦畔の除草


 終日、強風。いやはや。
 午前中は先日切った欅の枝をチッパーかけてもらおうと運ぶ。それから別の田んぼの水路の中から生えてきた木(榎?)が邪魔になってきているので、これも枝を切る。
 ところが概ね終わったところでチェーンソーのチェーンが外れてしまう。うーむ。テンションがゆるかったのかなぁ?
 外れたチェーンのはめ方がわからない。ネジを緩めてみたりしたけれど、うまくいかない。見てもらったけれど、どうもチェーンの交換が必要みたいです。うーむ。

 午後は畦畔の除草にでる。少し伸びてきているし、秋の草が枯れて残っているのもいっしょに刈る。風が強く冷たいのでヤッケのフードを被って作業。

 夕方歯医者さんへ。

 さて。大相撲。いや、見逃しサービスで観てみる。
 宇良が朝乃山にもつれてすくい投げ。勝ちましたが、ちょっと膝が心配。大丈夫か?二度も大怪我をしての復活につぐ復活なので、気にはなります。4勝5敗。
 遠藤は竜電にいい相撲を取ったと思いましたが、最後は力尽きた感じですね。2勝7敗。苦しい。
 新入幕、前頭17枚目の尊富士が阿炎を圧倒して9勝。スバラシイ。速い。
 まだ髷の結えない前頭五枚目大の里が関脇若元春に勝って、8勝1敗。スバラシイ。強い。
 それから前頭五枚目翠富士が大関豊昇龍に鮮やかな肩透かしで勝つ。4勝5敗。
 後半戦も楽しみです。しかし、この見逃しサービスも悪くない(笑)。

長浜市のこの2ヶ月の最高気温と降水量

農事組合の水路掃除と安田明夏先生に入門しましたの巻


 今日は農事組合の水路掃除で午前中は圃場整備地区、午後は新田地区とみなさんにお世話になりました。きれいになりました。ありがたいです。ちょっと雨も心配していましたが、ポツポツ程度でありがたかったです。
 私は昨日の木に登ってのチェーンソーを使う枝の伐採で、やはり筋肉が緊張していたんでしょうなぁ、あちこち筋肉痛です。

 昼間は観られなかったので、こうして夕方、見逃しサービスで「囲碁フォーカス」を見たら、なんと「囲碁トーナメント」の司会を5年間つとめた星合志保二段が卒業(?)されること、で、これまで「囲碁フォーカス」の司会をしていた安田明夏初段が「囲碁トーナメント」の司会をされることになるとか。NHKもいろいろ人事異動ですな。
 それはそれとして、安田明夏先生の『安田明夏のとってもやさしい囲碁入門』(マイナビ出版)が届きました。囲碁入門の本はすでに何冊も持っているような気がしますが、それはそれとして、安田明夏先生の写真もたくさん入っていてファンとしてはうれしいです。
 届いてすぐ読み出して、1/3ほども読み進んだのですが、囲碁は「とってもやさしい」といってもやっぱり難しいので、まあボチボチやるしかありませんね。というか小説のようにどんどん読み進むんじゃなくて、やっぱり(頭の中で)石を置きつつ考えながら読み進むということになりますので、ボチボチです。

川の法面の草を焼くことと欅の枝を切ることと春の宴で世の中の美しさにも気づくこと

15日(金)
 よい天気。気温も上がって四月並らしい。
 12時のお昼から農事組合の役員さんに集まってもらって、川の法面の草焼きをする。昨日もよい天気だし、今日もいい天気だし、風速1mほどで、絶好の草焼き日和。でもちゃんと消防署に草焼きしますと連絡してからの草焼きです。



↓草焼きのお世話になっている役員さんたち。

↓草焼きをしていたらその法面に咲いていた花。
ヒメリュウキンカ?最初黄色い花だし葉っぱのツヤとかツワブキ?と思ったがツワブキは晩秋の花ですよね。いや、自信はありません。

 夕方から浅井営農組合の総会と懇親会。ベテラン農家さんや農協の職員さんとあれこれと情報交換。なんだかんだで百姓はみんなベテラン農家みたいになってきている。私のように就農が遅かった人間も、ま、ベテラン農家。ベテラン農家ではあるが、農家の飲み会になると必ず「まあ毎年一年生やし」と誰かがおっしゃいます。ま、たしかに毎年一年生ではありますな。

 【書き下し文】
   夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。
   而して浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ。
   古人燭を秉りて夜遊ぶ、良に以有るなり。
   況んや陽春我を召くに煙景を以てし、大塊の我に仮すに文章を以てするをや。

   桃李の芳園に会して、天倫の楽事を序す。
   群季の俊秀は、皆恵連たり。
   吾人の詠歌は、独り康楽に慚づ。
   幽賞未だ已まず、高談転た清し。
   瓊筵を開きて以て花に坐し、羽觴を飛ばして月に酔ふ。
   佳作有らずんば、何ぞ雅懐を伸べん。
   如し詩成らずんば、罰は金谷の酒数に依らん。

 【口語訳】してみましょう。まったく自信はないですが、『漢辞海』を引きつつですが、私の感じです。
   そもそも天地は万物を迎え入れる宿のようなものであり、時の流れは永遠の旅人のようなものでしょう。
   そうして人生ははかなく、夢のように短いものであり、喜び楽しむ時間はどれほどあるのでしょうか。
   昔の人はロウソクに火を灯して夜中まで遊んだといいますが、まことにもって人生は楽しむべきものでしょう。
   まして春の陽気が霞たなびく春景色でもって私を招き、世の中をつくった主(造物主)が私に文章を書く才能を授けてくださったのですから、なおさらですね。

   桃や李の香りが芳しく香る庭園に集まって、兄弟親族と楽しい宴を催します。
   優れた詩の才能をもつ弟たちは皆、謝恵連のように優れた詩人です。
   ひとり私の詠む詩は、謝惠連の兄である謝靈運に及ばないのが恥ずかしい。
   春の風情を愛でて楽しむことは終わることなく続き、高尚な話はますます清らかになっていきます。
   立派な素晴らしい宴を開いて桃李の花の下に座り、盛んに盃をかわして、月を眺めながらしだいに酔ってきました。
   優れた詩でなければ、どうして風流な思いを述べることができましょうか。
   もし詩ができなければ、罰として金谷園の故事にならって酒三杯を飲ませましょう。

 教養とは恐ろしいもので、何をやっても中途半端で恥をかくことになりますが、春の宴というと芭蕉の「奥の細道」の出だしに引用されたこの李白の詩(詩なのか?四六駢儷体?)を思い出します。うーむ。これか、あるいは、♪はぁ〜るぅ〜こおろ〜う〜の、はなのえ〜ん。という「春 高楼の花の宴 めぐる盃 かげさして」という土井晩翠の「荒城の月」でしょうか。(笑えるほど古いけど、あえて。「教養」なんていう死語(?)を使ってしまったので(笑)。なんなら中島みゆきの歌も紹介できるけど、ま、それは、またいずれ。^^ )
 もっとも梅は終わりましたがまだ桜は咲いていませんし、桃や李の香りが芳しく香る庭園というのも、もう少し先でしょうけれど、今日みたいに暖かいと、そういう気分になります。四月並の暖かさということでした。
 私は高い教養に憧れながら、遊んでばかりで、教養とは無縁の人生ですが、ちょっと暖かい春の夜に仲間と酒を飲んだりすると、世の中は美しい、だの、世界は美しいぜ、とこっそり胸の内でつぶやいてしまいそうになるのでありました。
 いや、世の中も、人間も、清らかで美しいことばかりではないこと、醜く汚れていることもあることも見てきているし、自分の中にもそういうことがたくさんあることは、よくわかってきているのですが、それでも、やっぱりね、特に若い人には世の中の美しさや世界の美しさに気づいてほしいです。人間観察だけでなく、自然観察もふくめて。

16日(土)
 今日もよい天気。気温も上がって四月並らしい。昨日以上に気温も上がりました。
 お昼前から田んぼの脇から「ヒトリバエ」の欅(?)が大きくなってきていて、数年前から切りたい、切りたいと思っていたのですが、まるごと保全体のチェーンソーを借りて、切りました。切り倒すところまではいきませんが、ジャンジャンと枝を払いました。
 まずはYouTubeでチェーンソーの使い方を勉強。初めてではないんですが、チェーンソー、危険なんですよね、けっこう。キックバックには注意です。で、動画で30分勉強。
 欅なので箒状に枝が伸びるので、枝を払うのもけっこう大変。すぐ横にブロック塀がありますし、家の畑もあって梅の木や蜜柑の木もあるので、変なところに枝が堕ちて、ブロック塀を倒しても大変だし、梅や蜜柑の木の枝が折れても大変なので、切る枝にロープを括りつけ、長男にロープを引っ張ってもらて枝が堕ちる方向を決めながら、細かく、細かく切っていきました。細かく切ろうとすると、上の方に登らないといけないし、ハシゴをかけ、上に登って、チェーンソーのエンジンをかけ、ギュンギュンと切るのもなかなか大変です。私のような高いところがけっこう苦手な人間だとよけいに。
 切る前の欅の写真を撮り忘れたので(いかに私が緊張していたかがわかります)あれですが、梯子を掛けてその上まで木を登ったので、たぶん4m以上のところに立って作業したと思います。おかげで身体のあちこちが緊張して筋肉痛になりそうな気配です。長靴をはいていましたが、足も疲労困憊で、今、テーピングして疲労回復に努めています(笑)。ま、三時間ほどの作業になりましたし、気温は高かったので大汗をかきました(笑)。




↑ま、今日はこのあたりまで。
ちょっと枝も乾かして、細かいのはチッパーにかけてもらうつもり。大きいのは乾かして燃料にする予定です。

 大相撲の春場所、大阪場所が荒れてます。横綱は2勝4敗で休場だし、大関の霧島は2勝5敗です。三役以上で勝ちっ放しどころか二敗ですからね。贔屓の宇良は初日から上位陣を相手にして連敗して3勝4敗です。
幕内で全勝は前頭十七枚目の尊富士だけみたいです。尊富士は新入幕力士だそうです。まだ大銀杏が結えません。もう一人まだ髷も結えないざんばら髪の前頭五枚目の大の里は今日負けて6勝1敗ですね。
 新大関琴ノ若は比較的安定しているように見えるけれど、一つだけ苦言を呈したい(笑)。琴ノ若よ、あーたはまだ若いんだし、時間いっぱいになって塩をまくときに、会場を見渡して、眉間に皺を寄せて苦味を走らせてますね。いや、あーたは若いからそれがいいと思っているでしょうけれど、あんまり若いうちから苦味を走らせてばかりいてはいけません。あーたのおじいさんも、お父さんも強い力士だったので、いろいろプレッシャーはあるのだろうとは思いますが、宇良を見習ってとぼけるのが最良です。緊張し、力が入って、ドキドキして、今日も勝つぞ、どうだ、かっこいいだろう、大関だぜ、強いんだぜ、と苦味を走らせても。いや、いいんだけどね。若いからそういうのも似合うんですけど。
 勝っても負けても、関係ないという表情で、勝利者インタビューに呼ばれても、「覚えていません」「一日一番頑張ります。」それしか言わず、笑顔さえ照れ笑いぐらいしか見せないんです。いいなぁ。遠藤はやっぱりどうも調子悪そう。どこか痛いんでしょうな。って、いつもどこかが痛いのが、お相撲さんらしいです。うーむ。

草焼きの延期とチップ化作業と「花山院の出家」とキックバイク

11日(月)
 東日本大震災から13年目の3月11日。
 阪神・淡路大震災からは29年。
 今年は正月に能登半島地震。未だに水道が復旧していないところも多い。この国は地震の多い国なんだから、震災については思い出したり考えたりしなければならないことが多いはず。阪神淡路大震災から30年ほどになるのに、能登半島地震の避難所の景色が30年前とほとんど変わっていないことに、ああ、忘れているとはこういうことなんだとつくづく思う。

 パソコンのMacOSを13.6.5にアップしてみる。ちと今回は時間がかかったような気がする、って、ダウンロードからはじまったからね。いつも知らないうちに勝手にダウンロードまではしているようなだから。
 macos sonomaはうちのコンピュータは対象にはなっていない模様。うーむ。まあ今使いはじめて7年目になるので・・・。まあ、私の使い方だと、まったく問題なく使えているんですけどね。

 今日は朝から晴れたので役員さんに集まってもらって草焼きをしようと思ったが、あまり思ったように枯れ草が燃えない。せっかく集まってもらったが、しばらく延期することに。まだちょっと一昨日の雪から乾いていなかったのかもしれないし、あまりに風もなかったので。
 その後精米など。
 午後はまたみなさんに集まってもらって、例の柴や枝のチップ化作業。なんだか作業は大いにすすんだように思います。三日ほどかかるかと思いましたが、あともう一日で終えられそう。

 見逃しサービスのNHK+で大河ドラマ『光る君へ』を観る。ああ、『寛和の変』ですね。ちょうど『大鏡』の「花山院の出家」ですね。この話はなぜかよく覚えていて、たぶんどこかの入試か模試の問題に出たか、授業で習ったのかもしれません。久し振りに本棚から『大鏡』を出してきて現代語訳といっしょに読んでみました。うーむ。
 ドラマの中でも花山天皇を内裏の中で連れ出すコースや女用の牛車で花山寺までいくコースを段田安則演じる藤原兼家がえらく丁寧に指定するセリフがあるが、安倍晴明の屋敷の前を通ることがわかるようにということでしょうか。土御門大路という名前が出てきますし、大鏡では藤原の兼家とか道兼なんて名前ではなく、東三条殿とか粟田殿という名前で登場しています。うんうん。出家した元慶寺(がんぎょうじ)も大鏡では花山寺となっていますね。
 でもわりと『大鏡』の「花山院の出家」の流れに沿っての脚本でしたね。なるほど。

12日(火)
 事務仕事。午後歯医者さんへ。二年ぶりか。土曜日に歯の詰め物が取れたのだが、その歯以外にもちょっと悪いところがある気がする。
 夜は農協で寄り合い。「安心安全な農産物作り運動生産者研修会」なのだがお一人「農協は肥料や農薬を売ることには熱心だが、安心安全な米作りについては、もうちょっとどうなのか。いろんな農協があるが、うちの農協はどうなんだ。」というような発言をしている人がおられた。後ろ姿だけでどこの誰かはわからなかったが、ま、おっしゃる通りではあるのですが・・・。

13日(水)
 終日、事務仕事。農協に書類を提出したり。長男の源泉徴収票をつくったり。
 表計算ソフトは大手の高い高級品じゃなくてAppleのオマケのソフトをずっと使っている。もちろんこれで充分なんだが、ときどきあれ?こんなことできないの?と思ったりする。例えば。表計算でデータベース的な使い方をしているとして、わかりやすいように種類ごとに色を数種類に分けて「セルの塗りつぶし」をしているとします。で、フィルタをかけて「この色だけ選んでほしい」ということができない。まあね、別の方法を考えてできましたけど、直感的にいちばんわかりやすいのは色だと思うので。というか、わたしの癖というか好みで、データの種類がわかるように、セルを淡い色で塗りつぶすということをするやるので(笑)。たぶん、みなさんも同じだと思いますけど。うーん。まあ、いいか。やはりAppleScriptはもう一度勉強した方がいいな。
 朝のうち雨でその後やんだけれど、風が冷たく寒い。


14日(木)
 朝起きたら、孫が自転車(ペダルやチェーンがなくて跨がって脚で地面を蹴ってすすむタイプのやつ。今、検索したらキックバイクというらしい)にとても上手に乗っている動画が送られてきた。雨上がりの道なのでヘルメットにヤッケに長靴姿だけど、水たまりがあるとそこをめがけて突き進んでいく。なんて言うことのない動画だが孫が映っているのでオジジとしてはなんだか顔がほころぶ。元気に大きくなってほしい。子どもたちこそ、若者こそ、未来だ、いや、ほんまに。わしも働けるうちは頑張って働く。というか働かざるを得ないのだが(笑)。
 今日は暖かくなるのかな?

表計算ソフトで終日すごす


NHK大河ドラマ「光る君へ」のお遊び企画「かなふみ」で遊んでみる。「すぷれつとしひとにすうじいれけいさんさせればけっかはうつろはるうらら スプレットシートに数字入れ計算させれば結果はうつろ春うらら」と書いたつもりなのだが、よくわからないこと多し。だいたい外来語のカタカナに無理がありますな。

お米の完売と精米とゴロゴロと『トップガン マーヴェリック』としじみのみそ汁

本日、「みどり豊」、「秋の詩」につづいて「コシヒカリ」も完売いたしました。ありがとうございました。
これで令和5年産はぜんぶのお米が完売です。ありがたくうれしいです。
令和6年産もおいしいお米になるように頑張ります。
ご予約していただいている分は取り置いていますので、ご心配なく。
ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。


10日(日) よく晴れたが風が冷たい。
 午前中は精米など。
 午後は、囲碁番組を観たり、なんだかゴロゴロしてしまう。
 大相撲の春場所がはじまった、宇良が豊昇龍に勝った!遠藤はどうなのかな、やっぱりちょっと元気ないみたいだ。宇良の勝利者インタビューのトボケ具合も相変わらずで、ほとんどなにも語らない。肝が据わってますなぁ。いいんだよね、何も語らない姿を見せていればそれだけで。わかる人にはわかるんだから。いや、わからないまでも、感じる人には伝わるんだから。


 いまさらながらだが、ジョセフ・コシンスキー監督『トップガン マーヴェリック』(2022)を観る。楽しめました。前作『トップガン』(1986)から36年ぶりに制作された続編ということですな。そうか、こういう映画だったのか。
 ま36年ぶりなのでいろいろわからないこともあるが・・・。だいたいあの元恋人役のジェニファー・コネリーがようわからんがな(笑)。あとトップガンの卒業生のエリートたちが自信満々で礼儀知らずなのもちょっと笑える。
 それにしても、トムクルーズにはまいるぜ。いつまでも若々しい。わしのいっこ下なんよね(笑)。かっこいいぜ。元恋人役のジェニファー・コネリーと再会する最初の方のシーンが好き。あのお店の中の。
 映画としてはものすごく楽しめましたが、あたしゃ、戦争には反対ですから。映画の中で「遺族が悲しむ」というセリフが何度か出てきた。ミサイルで爆発が起こったり、戦闘機が墜落したりして、映ってはいないけれど映画のなかに凄惨なシーンはないけれど、現実には戦闘が起これば凄惨なことばかりなのはウクライナでもガザでもニュースを観たり聞いてちょっと想像すればすぐわかること。

新しい万年筆と『不揃いの木を組む』

8日(金)
 朝のうちに精米など。
 午後は例のチッパー作業に出たが、作業をはじめる前に雨になる。チップ化には湿り気、水分はよくないというので、作業はすぐに中止になる。やれやれ。

 さっき、新しい万年筆が届いた。新品を買ってしまった。とりあえず試し書き(笑)。比較のために今ちょっと使っていたのと比べてみました。ふむふむ。なるほど。

 これは僕の個人的なあれだけど、万年筆のペン先はだんだん固くなってきているような気がします。50年代とか60年代の古い万年筆はけっこうペン先が軟らかいのが多くて、軟らかいとペン先がしなりますよね。しなるとペン先が割れて広がります、そこへインクが流れれば太い線が引けますね。筆圧の違いによって線の太さが変わります。まあ、感じは違うけど筆で書く感じに近くなります。でもインクは毛細管現象でペン先に流れていくわけで、ペン先が割れて広がれば毛細管ではなくなりますからインクがペン先に届きにくくなりますね。すると、掠(かす)れます。〔コンピュータの漢字変換で「掠れる」「擦れる」なんて出てくるから、漢字にしましたが、万年筆で書いていたなら、辞書を引かないと書けない漢字ですな。たぶん読むのも辞書を引いたかも。〕実際に古くて柔らかいペン先の万年筆だとわりと調整してもらっていても、書き出しのところで擦れることがよくあったんですね。一番右の400NNも軟らかいペン先で、よく擦れていました。これも調整してもらっている万年筆なんですけどね。それで線を引くスピードを落してゆっくり書くということで対処していたわけです。でもね、つい4日ほど前にあることに気がつきました。
 僕はもともと筆圧がとても高くて、小学校の低学年の時からよく先生に注意されていたんです。高いのは筆圧だけかと思っていたら鉛筆を握る力も高かったんですよね。要するに鉛筆をぎゅっと強く握って書いていたんです。ですから高校生ぐらいの時には右手の中指に巨大ペンダコというか鉛筆ダコができて、爪も変形していました。と書くと僕がいかにも勉強熱心な青年に見えるようで笑えますが、要するに鉛筆を握る力が強かったんですね。今でもあるのかなぁ、当時、体力測定とかスポーツテストというのが学校であって、私の自慢は肺活量と握力と鉄棒の懸垂の回数でした。いや鉛筆を握る力が強かったのが、握力につながったのかな?と今、一瞬思っただけですけど。ああ、なんという立派な高校生だったんだ(笑)。でもね当時は鉛筆を軽く握ると線がふらつくんですよね(笑)。いや、そんなに軽く握る必要もなかったんでしょうけれど、加減が難しかったですね。
 ワープロやパーソナルコンピュータが普及して鉛筆やボールペンを握ることが少なくなって、ある時、字の稽古が必要だと初めて心の底から思って、独学で、独自に、ポツポツと稽古するようになったのですが、その時に鉛筆やボールペンでなくて万年筆を筆記具として選んだんです。軽い筆圧で書ける。軽い筆圧で書くのが望ましい、というのが万年筆だと知ったので。万年筆で稽古するようになって、確かに筆圧もペンを握る力も軽くなったように思います。ペンダコも小さくなりました。あ、でも百姓仕事で指は太くなったような気がするのですが、ペンダコは残っていますが、あきらかに消えつつあります。
 で話は元に戻りますが、柔らかいペン先の万年筆の出だしの擦れ。これはいつもより万年筆を寝かせることで大きく解消することができました。鉛筆は立てても寝かせても同じように書けますね。素晴らしいです。ま、先が丸くなってくると線の太さが変わりますが。ボールペンはその構造上寝かせるとうまく書けません。立てた方がインクはよく出ます。そしてある程度の筆圧も必要ですね。万年筆はやや寝かせて書く方がいい、というのはどこかで読んで知ってはいたのですが、鉛筆やペンの持ち方というのは意識しないとそうそう変えられませんしね。
 日本語は縦書きすると右から左へと行が移動していきますが、これがあーた、右利きですと書いた字を右手でこすることになります。鉛筆だと手もノートも黒く汚れることがありますし、インクでも早く乾かないと同様に汚します。日本の万年筆が海外の万年筆に比べて同じ細字(F)でも、線が細いのは、インクが早く乾くようにということなのかなぁ。
 で、インクで汚さないようにするには、万年筆を長く持って右手でこするまでの時間をかせぐようにするのも一つの手段だと気がつくわけです。ペン先を持たずにペンの中ほどに近いところを持つわけです。すると書いた文字の上に右手が乗るまでに1行か2行ほど稼げるわけです。この中ほどを持つという持ち方、握り方を覚えると万年筆をかるく持つ、軽く握るということができるようになりました。
 で、あーた、縦書きで、何字書いたら右手の位置を動かしますか?一字書くごとに動かす人は少ないと思います。字の大きさにもよりますが、二字か三字ぐらい書いて動かしてないですか?小さい字だと四字ぐらい動かさずに書けたりします。鉛筆やボールペンだと比較的立てて書くことができるのでそうすることができます。で、万年筆でもそうしがちになるんです。三字目、四字目になってくると万年筆が立ってきます。縦書きだと行の最初の頃はペンが寝ていますが、行の終りの方だとペンが立ちがちになります。
 ああ、長々と書いてきましたが(私はみなさんから説明が長い、くどい、とよく言われます。ええ、「噛んで含めるような」と言えばあれですけど)要するに、何がいいたいかというと、ちょっと寝かせ加減になるように、ペンの持ち方、そして姿勢を正すと、昔のペン先の柔らかい万年筆も擦れることがぐっと少なくなる、ということに気がついたんです。この400NNは買ってから5年ほどになるので、これまではちょっと使いづらい難儀な万年筆だったのですが、ぐっと使いやすくなりました。そうか昔の柔らかいペン先の万年筆はこういう風に使うんだ、と気がついたんです。ええ、気がつくまでに時間がかかりましたが(笑)。
 するとこれまですこし敬遠してきた柔らかいペン先の万年筆に俄然興味が出てきて、現代の柔らかいペン先といわれている万年筆が欲しくなってしまったんですねぇ。極細字も細字も中字もありましたが、細字にしてみました。細字ですが軟らかいので軟細字でソフトファインでSFですな。ええ、試し書きしてみましたが、思ったほど柔らかくないですね。軟らかいけど芯がある感じ。
 モンブランなんかは、70年代ぐらいからペン先はどんどん硬くなってきているそうです。今のやつは確かにビシッと硬くて、インクはヌラヌラとよく出ます。硬い方が長文を速く書くには書きやすいんでしょうね。硬いといってもボールペンほどではないですからね。というかみんながボールペンに慣れてきて、硬いペン先指向になってきたのかもしれませんね。

 小川三夫『不揃いの木を組む』(草思社)読了。おもしろかったです。法隆寺の宮細工の西岡常一棟梁のお弟子さんですね。僕は西岡常一棟梁の本が好きで、それは棟梁だけに大工の腕はもちろんですが、人を束ねるのが大きな仕事ですから、リーダー論とか、教育論みたいなところで話題になったんですね。もう三十年ほども前ですけどね。この本も2001年に出た本です。
 二人とも宮大工の職人さんですから、身体で覚える、ということが基本にあるんですね。繰り返し繰り返しやって身体に覚えさせるわけですね。頭で考えるんじゃないんですね、いや、頭で考えるんですけど、現場ではいちいち考えていたんでは間に合いませんからね。ただ身体で覚える、身体に覚えさせる、という訓練は、自分の頭で考えるということにつながっていくような気がするんです。「学ぶ」というとき、たとえば読書することはたくさん頭に刺激を受けて勉強になりますけれど、読むということは、誰か他人が考えたことを学ぶということですね。そうして本来読書は、他人が考えたことを学んで、その次に、そこから自分の頭で考える、自分の経験、体験を通して考えるということにつながっていくべきものなんだろうと思うんですね。だから小川三夫さんも弟子たちにあまり教えないんだそうです。教えても理解できるものでもないし、やってみて自分で気がつき、自分で考えて、身に付け覚えていくものだ、というようなところが、私は一番印象に残りました。まあ、まっとうな勉強の仕方だと思います。時間はかかるでしょうけれど。経験するチャンスを与える。自分の頭で何度も何度も考えて、それでもわからないことだけを師匠に訊ねる。
 腕に職をつける。食べていけるための技術を身に付ける、というのは、また学校教育とは違う面もありますわね。

9日(土)
 終日、雪降り。朝は少し積もっていましたが、その後すぐ解けましたが、雪はずっと降ったり止んだりでした。
 午前中、精米など。午後は読書と昼寝。ああ。

 書き忘れるところだったけれど、今回の棋聖戦七番勝負、最終第七局までいきましたが、応援している井山裕太王座の棋聖奪還はなりませんでした。残念。ホントに残念。でもね、第七局二日目の最後のところ。もうね、誰が見ても勝負は決しているような感じだったんですが(私にはよくわからなかったですが、AIの形勢判断は1%と99%になっていました。)最後まで、井山さん粘るんですよ。粘りに粘る。よかったなぁ。泣けるぜ。あの粘りは4200万円の賞金のことだけではないはず。