現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

カブトの雌を採る

夜、珍しく次男が「お父さん、クワガタ取りに行こう」と誘ってきた。なんだか嬉しい。
父と母、次男にとっては祖父と祖母だが、は「なんや小学校の1年生みたいなこと言うてるなぁ」などと冷やかしたが(早く風呂に行かせたい、ということなのだが)、しかしそういえば、長男は小学生の時はもちろん、高校生になっても一人で近所の林に懐中電灯をもって探しに行っていた。もちろん僕も小学生の時は毎晩、毎朝、近所の林に通っていた。
その近所の林のクヌギの木は、僕が子どもの時には盛んに樹液を滴らせていて、強烈な匂いはそばを通るだけで感じたのだが、あれから40年近くだって、クヌギも少々老いてきたのか、みんなが虫を採りすぎたのか、ここ数年は樹液の量も極端に少なくなっていたし、虫もあまり発生しなくなっていた。
次男と一緒に懐中電灯で照しながら、昔からのクヌギを1本1本照して歩く。カナブンが数匹集まっていた。キリギリスかヤブキリか、そんなのもみつけた。でもクワガタは見つからない。もう7月も後半なのでクワガタのシーズンも終わりなのだろう。

すると、ある一本のクヌギの木のところで、カサコソカサコソとなにかが歩く音がする。次男はなんだか怖がって木に近づこうとしない。「ヘビ?」と顔が訴えている。僕が懐中電灯をとって前に進んでいくと、次男は僕の手を取ってきた。まあ、夜の林の中を懐中電灯だけで歩いていくのは怖いわなぁ、しかも音がしていて何かいるわけだし。
クヌギの木を照してみたけれど、上の方にカナブンが1匹いるだけであった。やれやれ。と思っていたら、後ろでまたカサコソカサコソとなにかが歩く音がする。やっぱり後ろから音がするとちょっと怖いものですな。でもすぐに懐中電灯で照すと、カブトムシの雌が枯れ葉の上を歩いておりました。
次男は慌てて捕まえましたが、カブトムシの雌ほど掴みにくく、力の強い虫もないので、次男はてこずっています。カブトムシの雄ならば、胸のところに生えている角を掴めば簡単なのだが、雌には角がないので、横から掴むと、胸と腹の間で挟まれたりして、難儀するのですな。しかも毎度のことですが、虫かごのようなものは持っていません。
そこで経験豊かな私の登場です。カブトムシの雌は、掌にたからせるようにして、かるく握ってやるのです。カブトムシは飛ぶのが下手なので、滅多に飛ばないし、ふんわり握ってやれば暴れずおとなしくなります。
そんなこんなで大いに次男から尊敬を集めて雌を持って帰りました。木くずを敷いたプラスチックの水槽にコクワガタノコギリクワガタが入っていますが、そこに入れてやりました。
40年前はキュウリとスイカとハチミツバナナでカブトやクワガタを育てていましたが、今は専用のゼリーの餌で育てます。
たぶん、あの雌のカブトムシ、成虫になって、土から出てきたところだったのだと思います。どこにもキズのないきれいなすべすべの雌でした。
野生の、というか自然の、カブトムシやクワガタムシ、捕まえたこと覚えていらっしゃいますか?クワガタや雄と比べて値打ちのない、いささか軽んじられるカブトの雌であっても、ちょっとした興奮がありますよ。8月はカブトのシーズンです。