現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

箕を使うことと冨田の人形浄瑠璃



11月も終わります。
朝、起きたら快晴だった。朝露もびっしょり。


午前中は、大豆を箱形乾燥機に、箕で、せっせ、せっせ、わっせ、わっせ、と入れる。と書いても、農家以外で箕のことを頭に思い描ける方は何人おられるか。「箕」とは、なにか、うーむ、ま、自分でお調べください(笑)。
簡単にいうと、昨日のブログの最初の大きな写真に写っているオレンジ色のやつです。これはプラスチック製ですが、私が小さい頃は竹で編んでありました。私のコンピュータの辞書には「穀類をあおってふるい,殻ごみを除く農具。」とありますが、ま、そうでもありますが、別に殻ごみを取り除くだけではなくて、チリトリ代わりにも使いますし、籾でも豆でも小麦でも、すくって運ぶのにも使います。大変重宝する道具です。
辞書には「【箕】み」と書いてありますが、ちなみにこのあたりでは、「み」ではなくて、「みぃ」と微妙な音で呼んでおります。あ、あのトーベ・ヤンソンムーミンシリーズに登場するちょっと怒りっぽくて、他人の秘密が大好きで、洞察力にすぐれた、小さな女の子がいますね、ええ、あの女の子の名前と同じように発音します。うーむ、我ながら的確な説明だなぁ。



午後は、奥さんに誘われて、人形浄瑠璃を観る。人形浄瑠璃
平成の大合併で、このあたりも長浜市に飲み込まれて、長浜市は大きくなったのだが、同じように飲み込まれたびわ町には滋賀県の無形民族文化財に指定されている「冨田人形」という江戸時代から続く人形浄瑠璃伝統芸能があるのです。冨田という集落に脈々と伝わってきているのだそうです。
もちろん、僕も高校生ぐらいの時から知ってはいたのですが、観るのは初めて。
素晴らしかったです。人形浄瑠璃を観るのも初めてですが、だいたい歌舞伎も観たことがないし、芝居とは縁のない暮らしをしてきています。あ、いや、落語は好きなので、芝居ものは、なんとなく米朝さんや枝雀さんや吉朝さんの落語でなじみはあったのですが。枝雀さんの「軒づけ」で、浄瑠璃太夫さんのことは、なんとなくわかっていたのです(笑)。その影響で、今日も太夫さんや三味線の方の姿を見て、ちょっと笑いかけたのですが、うーむ。素晴らしかったです。
人形の使いも、素晴らしかったです。いやはや。なんですね、写真もモノクロームだと、こちらの想像力が働いて、カラー写真以上に、ぐっといい感じになるのと同じで、人形ですから、役者がやるようには、表情も動きも、リアリティがないように思われますが、これがなかなかどうして、こちらの想像力が働くのでしょうか、実に、リアリティがあるのですな。いやはや、人形に感情移入してしまいますがな。
演目は「傾城阿波鳴門〜巡礼歌の段〜」「団子売り」「壷坂観音霊験記〜沢市内より山の段〜」どれも有名な浄瑠璃らしいですが、僕は全然知らないものばかりですが、最初にしっかり解説をしていただいているので、太夫浄瑠璃もなんとなく聞き取れるというか、わかるんですな。


ええ、ええもんですな。情がね。夫婦ものですな。夫婦の情。そういう芝居ですが、ま、隣の奥さんがどのように観賞されたかは、わかりませんが。


朝は快晴だったが、人形所瑠璃が終わって、外へ出たら、すでに灰色の雲が。日没とともに雨が降り出す。