現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

『酒場學校の日々』と草野心平と『ロック・ザ・カスバ!』

バリー・レヴィンソン監督『ロック・ザ

今日から二月。今日はなんにもしなかったような日(笑)。


金井美紀『酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學』(皓星社)読了。昨日につづいて金井美紀。新宿ゴールデン街にあったという草野心平ゆかりの“酒場學校”のあれこれ。金井美紀さんはそこで最後の五年間、水曜日だけカウンターの中に立っていたんだそうです。えー、なんですな、あたしゃ、学生時代から草野心平という詩人のファンだし、草野心平の詩はたくさん読んできたつもりになっていたが、今回、初めて草野心平が「火の車」だの「學校」という飲み屋さんをやっていたということを知りました。うーむ。知らなかったぜ。なんで知らなかったんだろう。草野心平の詩を教えてもらったのは開高健なんだが、開高はそういうことを少しも書いていないと思うし、草野心平の詩集にもそんなことは書いていなかったような気がする。ええ、僕は現代詩文庫の草野心平の詩集を読んでいたので、評論やらエッセイなどを読んでこなかったからだろう。もちろん蛙の詩は好きだし、百姓になってからも蛙の鳴き声を田んぼで聴くと草野心平を思い出したりした。蛙の詩はおもしろくてどれも好きなのだが、一つだけ。


     ごびらっふの独白

  るてえる びる もれとりり がいく。
  ぐう であとびん むはありんく るてえる。
  けえる さみんだ げらげれんで。
  くろおむ てやあら ろん るるむ かみ う りりうむ。
  なみかんた りんり。
  なみかんたい りんり もろうふ ける げんけ しらすてえる。
  けるぱ うりりる うりりる びる るてえる。
  きり ろうふ ぷりりん びる けんせりあ。
  じゆろうで いろあ ぼらあむ でる あんぶりりよ。
  ぷう せりを てる。
  りりん てる。
  ぼろびいろ てる。
  ぐう しありる う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる ける あり  たぶりあ。
  ぷう かんせりて る りりかんだ う きんきたんげ。
  ぐうら しありるだ けんた るてえる とれかんだ。
  いい げるせいた。
  でるけ ぷりむ かににん りんり。
  おりぢぐらん う ぐうて たんたけえる。
  びる さりを とうかんてりを。
  いい びりやん げるせえた。
  ばらあら ばらあ。

 日本語訳

  幸福といふものはたわいなくっていいものだ。
  おれはいま土のなかの靄のような幸福に包まれてゐる。
  地上の夏の大歓喜の。
  夜ひる眠らない馬力のはてに暗闇のなかの世界がくる。
  みんな孤独で。
  みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。
  うつらうつらの日をすごすことは幸福である。
  この設計は神に通ずるわれわれの。
  侏羅紀の先祖がやってくれた。
  考へることをしないこと。
  素直なこと。
  夢をみること。
  地上の動物のなかで最も永い歴史をわれわれがもってゐるといふことは平凡ではあるが偉大である。
  とおれは思ふ。
  悲劇とか痛憤とかそんな道程のことではない。
  われわれはただたわいない幸福をこそうれしいとする。
  ああ虹が。
  おれの孤独に虹がみえる。
  おれの単簡な脳の組織は。
  言わば即ち天である。
  美しい虹だ。
  ばらあら ばらあ。



うーむ。蛙の脳の中に浮かび上がる虹はやはり美しいと僕は思います。


バリー・レヴィンソン監督『ロック・ザ・カスバ!』(2016)をiTunesで観る。“ビル・マーレイブルース・ウィリスほか超豪華キャスト競演! 笑いあり、アクションあり、歌あり、名匠バリー・レヴィンソンが贈るとびきりのエンタテインメント! ”とあるが、まあ、それほどでもない(笑)。ブルース・ウィリスのアクションはまったくないし。まあ、でもコメディなんだろうな。ビル・マーレイが主演だし。あんまり笑えなかったけど。サリーマを演じたリーム・リューバニやケイト・ハドソンが美しいことに文句はありません。あと通訳として活躍したタクシーの運転手も好き。
バリー・レヴィンソン監督といえば『グッドモーニング, ベトナム』と『レインマン』。うーむ、学生時代に観たのかと思ったら、時代があわない。すでに就職して湖西のほう暮らしていたので、たぶん雨の休日に湖西線で京都に出て映画館でで観たんですな。