現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

麦の追肥と杉山経昌『農!黄金のスモールビジネス』

今日は午後から麦に追肥をやる。硫安で反当たり窒素成分1.5kg。午前中は雨は上がったが曇り空。風が強い。午後から晴れてきたので撒くことにしたのだ。でも風が強いので麦の中に踏み込んで動力散布機で前方に飛ばすようにして散布。風の割にはうまく撒けたのではないか。


杉山経昌『農!黄金のスモールビジネス』はbk1から届いてすぐ読了できたのだが、面白く読めました。うん、考えていることはみんな同じようなことなんですけど、僕の場合は著者が作ってははいけないと書いている「コメ」を作っているということですね。
コメ作りの10アールあたり粗収入が119000円、でも所得が9128円。労働時間は年間57時間で、労働生産性は時間あたり2088円と悪くないけれども、労働収益性は時間あたり160円。収益性は作物のなかでビリらしい。これは著者の1989年のデータのようです。この計算の根拠はなにだか書かれていませんが、10a当たり、つまり田んぼ一反当たり年間一万円にもならないようでは話しになりません。
僕が就農する時、近所の専業農家の方から聞いた情報では、だいたいコメ作りで600万円の年間所得をえようとすると200反、20haの耕作地が必要という話でしたから、一反当たり3万円の収益ということですね。うちの場合、先日ほぼ完成した農業会計テンプレートで計算すると、もうすこし高い収益になっていますが、これは今のところ父が買ったり建てたりした設備があるので大きな借金がなく回っていっているからでしょう。それにたぶん10アール当り57時間も働いていないので計算上の時間あたり収益性ももっと上がります。だいたい時間あたり160円の収益なんて計算そのものがおかしなことだと思うのですが、何のデータを使われたのでしょう。
でもね、言われていることはわかるんです。収益率も野菜や果樹と比べると5倍から10倍違うと聞きますから。つまり果樹で10aの収益分をコメであげようと思えば1ha、10反作らないといけないという勘定ですね。広い土地が必要ですから、機械も当然大きなやつが必要になってきますわね。10aで119000円の粗収入の経費を差し引いて所得が9128円になってしまう、という計算。つまりどこかでだれかにピンハネされているという感覚ですね。「おそらくそれは機械屋だ」と書いておられますが、そうです、機械屋さん、それから薬品会社さんです。「稼働率が低く、価格が高くて壊れやすい機械がやたらたくさん必要でそれが日本のコメ作りを成り立たなくさせている」とおっしゃっているのはその通りでしょうね。それは昨日のアグリプロ21の農機展示会を見ればすぐにわかります。それから食料自給率が40%でも、出生率が1.26でも青い顔にならない政治家の先生方を当選させている私たちが悪いのでしょうけど。
作ってはいけないと書かれている「コメ」。でも僕がコメを作るわけは、うーん、うちのおコメが本当においしかったこと、うちの家がずーっとコメを作ってきた農家であったことでしょうか、まずは。
そんなわけで「山のスケッチ」の中に田植え直後らしき田んぼのが出てきたので、真似して描いてみました。