現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

雨の日の尻踏み

雨の日の尻踏み

昨夜、一度、ザーッと降ったのですが、朝起きると止んでいました。でも田回りして帰ってくる頃から雨が降りだして、一日、よく降りました。
今日は終日、トラクタに乗って、「尻踏み(田植え前の二度目の代かき)」をしていましたが、雨がけっこう強烈に降っていて、どんどん田んぼの水位は上がってくるし、田んぼに落ちた雨粒からはハネが上がっているし。水面にはあぶくがたくさん浮かんだりして、なかなか壮観な眺めでありました。今までならこんな日はカッパ着てトラクタに乗らなくてはいけないので、ま、いっちょやったるか、というような踏ん切りをつけないと田んぼにはでられなかったのですが、新しいキャビン付きのトラクタになったので、カッパを着る必要もなく、エアコンもラジオも付いているので、ま、トラクタから降りて作業しなくてはいけないことが起きないかぎり、快適なのでした。で、ギュンギュンと「尻踏み」をやってきました。でも雨で水位が上がっているので、田んぼの高低はさっぱりわからず、ある意味気楽にイケイケドンドンでトラクタに乗っていました。


NHKのラジオ第一放送を聞きながらの作業だし、ラジオの内容とか、それから「日本農業新聞」や「現代農業」の記事とか、聴いていたり読んでいたりして、なんだかふと思うことはさまざまあったような気がするのだが、こうして、仕事を終えて帰ってきてビールを飲んでいると、何にも思い出せない。
思い出すのは、梅雨のような灰色の雲から大粒の雨が降っている田んぼの真ん中でトラクタを動かしながら眺めていた、湖北の雨にかすむ山々や集落、それから萌え出づる畔草の緑。
そういえば昨日畦畔の草刈りをしてくれた父が盛り上がるように伸びてきたカラスノエンドウを刈って、刈ったのを全部軽トラに積んで、いっぱいになったのを、畑にいれていた。有機肥料ですね。先日、父と母が夏野菜の苗を植えていましたが、無農薬はもちろんですが、こうして土作りをして、おいしくて安心な家族の食べるぶんだけですが、野菜を作っていてくれています。


そういえば先月号の「現代農業」にこんな記事がありました。

今回の大震災でTPPは棚上げ状態になっていますが、被災地の救済・復興でアメリカの影響力が強まることが考えられます。緊急的・人道的支援として歓迎・感謝するも、これをテコにTPP路線に向かうことを許してはなりません。
イネの有機栽培を推進する栃木県のNPO法人・民間稲作研究所の稲葉光圀さんは仲間の農家へ、被災報告とともに、以下のようなメッセージを発信しています。
「平成5年の米騒動の時は、大冷害が明確になった八月に入ってから青刈りを強行し、230万トンの米を緊急輸入するという信じられないような政策が採られました。そして翌年は緊急輸入を既成事実としてお米の原則自由化が決定されました。今回もこのまま放置しておきますと来年米不足になりますから、TPPに加盟し、安いお米を輸入してもやむを得ないという世論が作られます。そんなことにならないように、播種作業のはじまる三月中に生産調整の解除を政府に働きかけ、被害を免れた地域にお米の増産を働きかけていきたいと思います。」



稲葉光圀氏は僕が学んでいる有機農業の研究会の先生でもあるのですが、やっぱりよく先が見える方なんですよね。政府の備蓄米があるので、大きな混乱にはならないとは思いますが、生産量が減るのは間違いないですからね。
しかし、つい先日のラジオの国会中継で、今こそTPPをすすめるべきだ、と言っていた方がおられましたが、こんなときにTPP加盟に動こうとしている政治家の名前は、忘れないようにしておかないといけないと思います。


それにしてもよく降ります。