現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

瀬川深『SOY!大いなる豆の物語』と昼寝とお盆

瀬川深『SOY!大いなる豆の物語』


14日(金)
昨日、草刈りが一巡したので、今日はもう草刈りはとりあえずなし。
朝、ゆっくり田回りをする。稲穂のようす、葉色、水の様子、土の様子、雲の様子、空の様子。あれこれ確認。


今日は午後、弟夫婦が帰省したのであれこれ。
墓参りなど。


15日(土) 終戦の日
今日もゆっくり田回りし、忘れていた書類を慌てて耕作者のみなさんにお配りしたり。


それから長い長い昼寝。暑い一日なのだが、南も北も窓や障子やあれこれを開け放てば、風が通って、畳の上で長い昼寝。
あんまり長く寝たので、目が覚めたとき、ぼーとして、今が何時なのか、何日なのか、わからなかった。
充実した昼寝でした(笑)。


昼寝から覚めて、読書を開始。瀬川深『SOY!大いなる豆の物語』(筑摩書房)読了。この本は、ここしばらく枕頭本にしたり、あちこち持ち歩いて時間のあるときに読んでいたのですが、なにしろ長編ですし、枕頭においてあってもほんの数ページで、肉体疲労に勝てず撃沈するばかりで、時間ばかりかかる、といういつものパターンでしたが、とてもよかったです。おもしろかったし、楽しめました。
瀬川深を読むのは2つ目です。最初に読んだ『ミサキラジオ』が気に入ったからですが、えーっと村上春樹の初期の小説をずーっと読んできて『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を読んだときに、おお、村上春樹、小説うまくなってるやん、と思ったのを思い出しました。瀬川深もなんだかうまくなったような気がしたのです。って、僕がいうことでもないですが(笑)。でも『羊をめぐる冒険』とムードは似ていなくもないのですが・・・。


小説の後半、お逮夜のシーンには泣けました。


ビルドゥングスロマンなのだが、主人公の設定が無職の27歳といささか老けているのも、リアリティがあって悪くない。それから読者へのサービスで、ちょこちょこと知的興奮のクスグリがちりばめられているのも楽しめました。これは『ミサキラジオ』でも感じたので、作者の小説へのスタンスなんでしょうね。


この長編小説は、東北がストーリーの始りです。
東北の地は、学生時代に二度、それぞれ二十日間ほど東北ワイド周遊券を利用して、あちこち歩きました。岩手の遠野近辺、三陸海岸、それから津軽半島がメインでしたが、高校時代の友人の下宿と駅の待合室や夜行列車で寝ることを基本に、道端や海岸にテントを張ったり、学校の宿直室・保健室・体育館・部室などにも泊まらせてもらいました。夕方、小学校の職員室に汚い格好で、大きなザックをもって、どこか泊めてもらえないか、一人で頼みに入っていくのですから、あつかましいにも程があるのですが、それでも当時はたいてい許されて(管理職の許可が出たところもあったし、現場の先生の判断で泊めてもらったり。)ありがたいことでした。考えてみれば、合計40日間で、一度も宿泊代を払った記憶がないのだから、いささかすごい。
この旅の記憶が、今でもあの東日本の震災のことなんかを考えるときのベースになっているような気がしています。


うちは米も作っていますが、他に小麦と大豆も作っています。今年は無農薬の大豆にも挑戦中なのですが、こちらは先日の台風11号で、播種直後の畑が冠水して、いささか苦戦中。


ちょっと興奮覚めやらずで、とりとめのないことばかりですが、とても楽しめる小説でしたのでオススメします。終戦の日で、ちょうど歴史について、あれこれ思いが湧く日に読了できたのもよかったかも。