現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

久しぶりに姪が遊びにきたことと文鳥文庫第二弾


久しぶりに姪が遊びにきたので、長女や次女とわいわいとしゃべりまくっている。


以前、文鳥文庫のことを書いたのだが、あれは、いつだったか。長くても16ページ。十分くらいで読めてしまう作品を集めた文庫です。ここにも書いてる(笑)。
   001 『走れメロス太宰治
   002 『注文の多い料理店宮沢賢治
   003 『白』 芥川龍之介
   004 『変な音』 夏目漱石
   005 『堕落論坂口安吾
   006 『檸檬梶井基次郎
   007 『手袋を買いに』 新美南吉
   008 『高瀬舟森鴎外
どれも大変楽しめたのですが、ま、名作ですからね。


で、その第二弾が出ました。今度のテーマは「ふたり」。
   009 『刺青』谷崎潤一郎
   010 『雪もち』幸田文
   011 『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』村上春樹
   012 『雨のなかの噴水』三島由紀夫
   013 『初恋』尾崎翠
   014 『メリイクリスマス』太宰治
   015 『賢者の贈り物』オー・ヘンリー 柴田元幸=訳
   016 『バッタと鈴虫』川端康成


はい。短いので、一時間半ほどで、8作全部読めてしまいましたが、相変わらず作品のチョイスがいいですね。第2弾では、なんといっても幸田文の『雪もち』がとてもよかったです。初めて読む作品でしたが、印象的な作品です。文章はいいのですが、少しわかりにくいところもあり、続けて再読。男の僕には、なかなか新鮮でもあり、またそうなんだろうな、などとあれこれ思いを巡らしたり。
谷崎の『刺青』は、これはこれで一つの世界ですな。『春琴抄』もまた読みたくなりました。
尾崎翠は初めて読みましたが、みずみずしい文体です。三島由紀夫川端康成は、読んだことはないということはないのだが、そして読んだ作品はどれもおもしろかったと思うのだが、どうも好きになれず、うっちゃっていた作家。この二篇はなんだか妙な二篇でありました。村上春樹と太宰は、まあ、いつものそれらしい調子。オー・ヘンリー『賢者の贈り物』を読むのは中学生以来だと思うけど、こんなにウダウダと説明する文体だったのか。




昨日の「日本農業新聞」の社説記事。
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 王、民をもって天となす
 民、食をもって天となす
 中国の教えに、国を治める者は国民が一番大切で、国民にとって食料は最も大切だ、とある。沖縄にも近い言い伝えがある。
 食はぬちぐすい
 ぬちは命。ぐすいは薬。食べ物は命の薬、生きる上で力になるものという。沖縄は農家でなくとも庭を耕し、種をまき、育て収穫する。食べ物を敬う心が世代を超えて受け継がれている。
 翻って、食を取り巻く状況は危機的だ。食べる興味は薄れ、安さ、簡便さが優先される。

・「私中心」の個食化

 「朝は起きないお母さん、お菓子を朝食にする家族、昼飯をコンビニ弁当一つで終わらせる幼児と母、夕食はそれぞれ好きなものを買ってくる家族・・・」
 『変わる家族 変わる食卓』は、食卓の激変ぶりをつまびらかに伝える。著者でキューピー顧問の岩村暢子氏は18年間、総計約400世帯の食卓を1週間にわたり調査してきた。
 見えてきたのは「私中心」の食事。毎朝、家族そろって同じものを食べている家庭は100世帯のうち1軒程度。菓子パンだけ、コーンフレークだけも珍しくない。夕飯はサンドイッチ、ラーメン、おにぎりが並び好きなものを選ぶ。家庭内の個食化は猛スピードで進み、常備野菜という言葉は死語となった。
 現代は個人の自由や都合が優先され、衣食住遊の中で「食」の順位は下がる一方だ。節約の筆頭格は魚、野菜などの生鮮食材である。
 代わりに工業的な食料システムは、一年中便利な加工食品を豊富に提供してきた。それに伴い、食品添加物や遺伝子組み換え食品は増大、不規則な食事による健康問題が懸念される。人間にとって食料とは何か、問いたださなければならない。

・和食は世界モデル

 埼玉県神川町。米国出身で農家に嫁いだナンシー八須さんは、和食の素晴らしさを世界に広めようとしている。料理レシピと農家の暮らしを紹介した英語の著書は米国で注目されている。こだわるのは地産地消だ。
 就学前の子どもたちが通う週6回の英語教室は、ナンシーさんが毎回、手作りの昼食を用意する。ご飯、みそ汁に納豆、豆腐、おひたし。食材から調味料まで地場産だ。
 ご飯が食べられなかった女の子が、今は一粒も残さない。「昆布やカツオのだし、発酵食品は日本の宝物。身近な食をぜひ守ってほしい」。ナンシーさんの願いだ。
 しょうゆ、みそ、納豆は地域の伝統的な食事を支えてきた。日本食が世界から注目されるのはこうした大豆発酵食品が脈々と受け継がれているからだ。
 今年は国連が定めた「国際マメ年」である。安価で栄養価が高く微量要素が豊富な豆類は、食料安全保障上の重要な作物であり、地域の伝統的な食事を形作ってきた。豆のもつ窒素固定作用は土壌を肥沃(ひよく)にし、農地の生産性を高めたり、地下の生物多様性を促進したりする。
 豆と米という持続性の高い作物を食の基本とする日本。風土に合った食の世界モデルが足元にある。
 環太平洋連携協定(TPP)によって危惧されるのは食の安全、農業の縮小だけではない。各国の伝統的な食文化が損なわれる恐れがあるという。
 アジア人口・開発協会は、TPPによって日本の食の海外依存が高まると、食料品価格が上昇し、アジアの多くの市民が飢餓に陥ると警鐘を鳴らす。元立教大学大学院教授の池住義憲氏は、TPPの「加害性」と指摘する。
 国産か輸入品か――。国民の自由な選択ではあるが、グローバル社会ではその影響力を想像することが重要だ。国民が農業を支えたい決意をどう醸成していくか、そこが問われる。

・消費者から当事者

 一昨年、米価は過去最安値を記録した。宮城県の概算金は1俵(60キロ)8400円。農家の労賃すら出ない。
 時給800円になる米を目指すのが、宮城の中山間地で取り組む鳴子の米プロジェクトだ。中心となった民俗研究家の結城登美雄氏は、まず地元の中学校で、食べ物の大切さを語り始めた。
 「冷たい雪解け水が入ってきて風邪をひかないか。赤ちゃんを育てるように苗に気を使っているんだ」。農家が毎朝田んぼに行く仕事をこう表現した。
 それから生徒は田んぼで会った農家に「ご苦労さま」と頭を下げ始めた。田植え、稲刈りを手伝い、米作りを体感する。1俵2万4000円の米は地元消費から予約で埋まっていく。
 結城氏は未来の消費者に期待する。安くて安全であればよいという「消費者」から、農と自然と暮らしを大切に思う食の「当事者」へ。食の世直しはそこから始まる。
 消費者の多くが農作物が育つさまを知らされていない。「安ければいい」という風潮は無関心から生まれる。生産現場との関係を深める働き掛けを積極的に行おう。農家自ら食と農を支え直し、発信していくことが求められる。
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いささか長くてまとまりに欠けるし、後半、お金の話もでてきて、あれだけど、厳しい状況にあることは間違いないですな。そういえば、昨日、2010年の矢作俊彦と池上冬樹の対談記事を読んでいたら、「お米が安いってお百姓さんが言ってるけれど、1973年と今の米価を比べてみなさいよ。冗談じゃないですよ。」「もし土地が余っているようでしたら、誰か言ってください。百姓やりますから。喜んで。」って、矢作俊彦が言ってるけど、”冗談じゃないですよ”はこっちのセリフだよ(笑)。