現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

台所の三種盛りと『クレイジー・リッチ』と『生きるって、なに?』

 朝から雨。夕方にやむ。
 事務仕事をする。雨だと会えると思うのか農協や銀行から人が来る。


 ジョン・M・チュウ監督『クレイジー・リッチ』(2018)をtvで観る。ロマンティック・コメディというやつです。主要キャストがアジア系の俳優のみで週末興行収入ランキング初登場1位となるほどのヒットを記録したということらしい。なるほどねぇ。
 でももう一つシンガポールのヤン家もセレブ感が出てない気がするなぁ。


 たかのてるこ『生きるって、なに?』読了。たかのてるこさんて旅のエッセイストというイメージだったけど、こんな感じの本も出してるんですね。講演会も引っ張りだこの人気なのだとか。なるほどねぇ。


 夕方から少しウイスキーをロックで舐めはじめたのだが、冷蔵庫をあけても、適当なアテが見つからない。ま、よくあることですな。仕方がないので小皿に塩昆布とかつお節と味噌の三種盛りをアテにする。ええ、もちろん悪くない。って、悪いはずがないが、いささか塩分のとりすぎでしょ。
たまに味噌なんかを舐めたりすると『徒然草』の第二百十五段を思い出したりする。

 平宣時朝臣、老の後、昔語りに、「最明寺入道(さいみょうじのにゅうどう)、ある宵の間(ま)に呼ばるる事ありしに、『やがて』と申しながら、直垂(ひたたれ)のなくてとかくせしほどに、又使来りて、『直垂などのさぶらはぬにや。夜なれば異様(ことよう)なりともとく」とありしかば、萎えたる直垂、うちうちのままにてまかりたりしに、銚子(ちょうし)に土器(かわらけ)とりそへて持て出でて、『この酒をひとりたうべんがさうざうしければ、申しつるなり。肴こそなけれ、人はしずまりぬらん。さりぬべき物やあると、いづくまでも求め給へ』とありしかば、脂燭(しそく)さして、くまぐまをもとめし程に、台所の棚に、小土器(こかわらけ)に味噌の少しつきたるを見出(みい)でて、『これぞ求め得て候』と申ししかば、『事足りなん』とて、心よく数献(すこん)に及びて、興にいられ侍りき。その世にはかくこそ侍りしか」と申されき。

 高校の古典の教科書に出てきましたな。現代語訳してみると、・・・。
”平宣時朝臣が、年老いて後、昔語りに、「最明寺入道(五代執権北条時頼)が、ある宵の間にお呼びになる事があったので、「すぐに」と申しながら、しかるべき直垂がなくてあれこれしている間に、また使いが来て、「直垂などがございませんのですか。夜であるのでどんな格好でも構いません。すぐに」ということなので、よれよれの直垂を着て、普段着のままで参上した所、銚子に素焼きの器を添えて持って出て、『この酒を独りでいただくのが物足りないので、来てくださいと申上げたのです。肴が無いのですが、人が寝静まっています。肴になるような物はないか、あちこちどこまでも探してみてください」とおっしゃるので、脂燭をさして、すみずみまで探し求めるうちに、台所の棚に、小さな素焼きの器に味噌が少しついたのを見つけて、『これぞ見つけ出しました』と申し上げた所、『十分です」といって、こころよく何杯も酌み交わして、上機嫌になられた。その時代は、万事こんなふうでございました」と申された。”