現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

麦の播種をしつつ国会中継を聴く

9日(火)
終日、麦の播種。
肥料や種を補充する作業以外はトラクタに乗っての作業なので、麦の播種をしながら、トラクタに付いているラジオで国会中継を一日聴いていた。衆議院予算委員会審議です。
尖閣諸島の問題とTPPの問題が中心でしたが、行政の内閣の大臣の方々の厚顔ぶりは自民党政権民主党政権も、結局同じですね。そういうことがよくわかりました。いまさらですが。政権政党が変わって与野党が逆転しているのに、質問者のムード、答弁のかわし具合。まったく新鮮さがないです。
別に政治家が厚顔でもいいんですけれどね、うまく日本の社会が動いていくならば。
もう一つ。政治家の言葉は判りにくいということです。これもいまさらですが。後から突っ込まれないように、考えて発言なさっているのでしょうけれど、一国民としては、国会での質問や答弁を一日聴いていて、特に答弁が、結局何を言わんとしているのか、よくわからないのは、不幸なことですわな。失言の多かった総理大臣もいらっしゃいましたが、信念というか、情熱から思わず言い過ぎた、というようなものと、勉強不足で知らないまま喋ってしまったことと、誰か他からの圧力があったのか、もしくは圧力があると勝手におもんばかって喋っていることなど。そういうことはなにかしら、すぐに感じることは感じられるものです。
要するに誠実さがない。正直さがない。もちろん大臣になられるような方々ですから誠実さも正直さも充分持っていらっしゃるのでしょうけれど、それが国会での答弁に発揮されていない。
「日本は貿易立国ですから、貿易で後れを取ることはできんのです。資源もない国ですから、安く買って、高い付加価値のついた工業製品を作り上げ、高く売る。これで今の日本が成り立っているのです。ですから工業製品の輸出が妨げられること、日本の製品が関税を掛けられて、不利になって売れなくなることは、なんとしても避けなければならないのです。アジアの市場で、特に中国の市場で、日本の大企業が諸外国に負けるわけにはいかないのです。もっとも、今回TPPには中国も韓国も参加しないようですが。
申し訳ないことですが、日本の農業については、一部の地域、一部の方以外は、先細りになるのを受け入れてもらわないといけません。その代わり消費者の方々には、外国から安い食料がどんどん入ってきますので、喜んでもらえると思います。農業に対してはいくぶん補償するつもりですが、今のところはっきりとした財源がありませんので、景気が回復して税収が増えてくるまでは、あまりあてにはしてもらえません。しかし、現状の日本の農業に対しては、いい刺激になるんじゃないですか?これをバネにして頑張っていただきたい。日本の農家は優秀ですからね。ダメになる農業から転職される方には少しならお金を出すことを考えてもいいですよ。少しですけどね。
え?地方の地域社会の崩壊ですか?いくぶん影響はあると思いますが、日本の農業はGDPの1.5%ですから、日本全体として経済的にはあまり影響はないと思いますよ。
食料自給率も下がりはしますが、外国から関税のかからない安い食料が入ってきますから、たぶん心配には及びません。日米同盟が強固ですから大丈夫ですよ。日米同盟こそが日本の生命線なんですから。」
これくらいわかりやすく総理大臣に話してもらったら、あんなに長い時間かけて、次々と質問者は登場しますが、同じような質問の繰り返しは少なくなるかもしれませんね。もしこんなとぼけた答弁したら選挙で負けるかなぁ?あんまりそうも思えないところが恐ろしいところ。


TPPの問題に関しては朝日新聞もテレビのワイドショーのコメントもおおむね参加するのは仕方がない、というムードですね。TPPに参加しようがしまいが、農業者の平均年齢が65歳の農業にはもう未来はないんだから、参加したほうが農業の構造改革につながっていいんじゃないか?という論調です。
日本の農業の主体は稲作ですが、もし関税を取り払うとすると、そのコメの90%が安い輸入米に置き換わるだろう、自給率は14%になるだろう、という試算を農水省が出しているのですが、もうこうなると地方の地域社会は想像つかなくなりますね。日本の国土の66%は山林。農地は13%です。宅地が4.7%、道路が3.3%、水面・河川・水路3.5%、その他9%ということのようです。国土の13%の農地のどれくらいが荒れるんでしょう。
今の一人当たりの耕作面積の10倍の面積を10万人の若者に耕作してもらう(あんまり計算はあっていませんが)。そんな話がちらっと国会の質問だったか答弁だったかで出てきました。2005年の統計では農業が主という農業者は335万人でそのうち65歳以上は60%です。要するに専業農家をグッと減らしたいのでしょうけれど、これはその昔の自民党の政策です。
えーっと、私はその若者の中に入れてもらえるんでしょうか(笑)。10万人の若者をどうやって集めるんです。農業はなかなかしんどい仕事だけれど、世の中の基本になる大切な仕事でやりがいがあり、おもしろさもあり、喜びもあり、儲かる。と、思ってもらわないと若者が集まることはありませんよ。


10日(水)
午前中は麦の播種。これで今年の麦の播種も終わり。播種機の掃除をしてトラクタから外す。
午後は播種した圃場の溝や四隅などを手直しする。
なんだか一日、時雨れたり晴れたり。夕焼けはなかなか見事でした。風が冷たく晩秋の気配。だいぶ周りの山々も紅葉し始めてきた模様ですが、もひとつ鮮やかさがないですね。