現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

牡蛎殻石灰と鶏糞をまいたことと千松信也『けもの道の歩き方』

千松信也『けもの道の歩き方−猟師が見

13日(火)
朝のうちに、お米の発送など。
あとは終日、牡蛎殻石灰を小麦の圃場にまく。土壌検査などをすると、うちの圃場は酸性にかたよっているというほどではないのだが、土壌のphのバランスは大事なような気がするので、三年か四年に一度、小麦や大豆の転作になるたびに、牡蛎殻石灰をまいてきています。この手の土壌のphバランス調整の石灰はいろいろあるんですが、牡蛎殻を利用したものを使っています。貝殻だと、海のいろんなミネラルも含んでいるんじゃないかという期待もちょっと込めているんですが、ゆっくり分解されて効く感じもいいんだなぁ。

14日(水)
今日は昨日の続きで牡蛎殻石灰を小麦の圃場にまいたあと、菜の花を緑肥にする圃場に発酵鶏糞をまきました。辻井農園の完全無農薬有機栽培米の散布肥料はこの発酵鶏糞だけなんですが、量をどうしようかいろいろ毎年悩んでいます。今年は180kg/10a。この鶏糞で菜の花を育てて、菜の花を土にすき込んでお米の肥料にします。ややこしいので、申し訳ないのですが、発酵鶏糞を直接お米の肥料にするよりはいいのではないかと、思っています。


千松信也『けもの道の歩き方−猟師が見つめる日本の自然』( リトルモア)読了。日本農業新聞に連載されていたものに大幅加筆されたものですが、おもしろかったです。 とくに後半の福島原発の事故後の山の汚染のことなど。
このあたりでも、キツネも見るし(タヌキは見たことがない、見たという人も近所にはいるのだが・・・)、イタチも、キジも、ハクビシンもいる(ハクビシンは早朝、クルマに轢かれていたのを先月見つけた)。イノシシは姿は見ていないが、足跡は何度か確認。この夏、近所の工場の防犯カメラには、夜間、しょっちゅうイノシシの姿が映っているそうだ。クマはこのあたりに出てくると、大騒ぎになるが、何匹か、近所でしとめられている。サルは一度近所までやってきたことがあったが、その後はやって来ない。1キロほど山手に行くと、しょっちゅう出てきてあばれているらしいが。シカは、なんどかこれもクルマに撥ねられているのを朝に見たけれども、ここ数年は見たことがないなぁ。ノウサギは、小学校の頃に一度五、六匹の野犬に追われているのを見たことがある。でもぜんぜんスピードも違うし、いったん林の中に逃げ込んだノウサギは、野犬をまいて、のそのそとまた田んぼの縁まで出てきたのでした。
猟って、今の僕には無縁だが、おもしろく読めたし、人が暮らす、ということについてあれこれ考えさせてくれるなぁ。『ぼくは猟師になった』(新潮文庫)は、圧倒的に、ぜんぜんオススメです(笑)。えー、こういう「ぜんぜん」という副詞の使い方には違和感があるのです。やっぱり、「ぜんぜん」のあとには否定表現がこないとしっくりこないのですが、最近は、そうでもないのかな?
「ぜんぜんいいですよ。」などと言われると、ちょっとずっこける私です。「ずっこける」も昭和の言葉かな。ま、それはともかく千松さんの『ぼくは猟師になった』とてもいいです。『けもの道の歩き方』もおもしろく読めました。