現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

田植え直前の日々

22日(火)
連休に植える田んぼの荒代かき。
今日は一日とてもいい天気で気温は何度まで上がったのだろう?苗代のほうは母が温度計を見てくれていて、トンネルには穴が大量に開いているので30℃だったといっていたけど・・・。
僕は朝から田んぼのこなし(荒代かき)をしていた。父は畦畔に除草剤を散布してくれていた。トラクタから眺める庭木や里山の木々の芽吹きも感じられましたし、桜は花が散って若葉が出てきていますし、ケヤキがちょうど芽吹きです。
荒代かきとか水加減がほんと大事で、多いと高低がわからなくなるし、少ないとちゃんとこなれて泥にならないし(泥にならないと均平にならないし、水モチが悪い田んぼになってしまうのです)、加減がむずかしい。おまけに荒起してある田んぼだから、水を入れてもすぐに水が引いてしまう田んぼもあったりするので、困ったものです。おまけに今年は一年ほど小学校の新築工事の工事用駐車場になっていた田んぼもあるので、これが返ってきたもののなかなか高低がしっかりしてなくて、水がつかないところもあるので、工事事務所に苦情を申し上げブルで整地し直してもらうことに。やれやれ。


23日(水)
午前中は昨日の続きで荒代かき。午後は5月20日植えの田んぼの畦塗りをする。


24日(木)
風雨強し。雨の中、田んぼにでなくてはならないほど詰まってはいないので、農協の本店までいって、水田経営所得安定対策の加入申請書と収入減少影響緩和交付金の交付申請書(いや、農業関係の申請書の、この官僚のつける名前のセンスの無さはいったい・・・。)の提出にいく。家で説明書を読んで書類を仕上げて持っていったのだが、雨なので申請の会場はいっぱいで一時間ほど待つ。みんな考えることは同じなのだ。でも白紙の申請書のままやってきて農協の職員さんに相談しつつ書き込みながら提出する人が多いので、一件一件の対応時間が長いのだ。うーむ。仕方がないか。僕のように認定農家個人で申請するのは比較的簡単なのだが、集落営農なんかの役員さんだと複雑煩雑になってしまうようだ。まあ、僕だって、19年産の収入減少影響緩和交付金の交付申請書で米穀の直接販売があるときは別紙様式に書くところで、間違えていた。ネット販売の分の申請は公の農産物検査を受けていないので必要なかったのでありました。そんなこと書き方の説明書に書いてなかったような。


25日(金)
午前中、こなし。
夕方から畦塗りあとを起す。


26日(土)
スポ少の野球の大会。準備と審判。農作業のシーズンはスポーツのシーズンでもありますね。5月はもういくらなんでもスポ少の野球の審判に一日出ていることはできないので、今日は出る。5月の分はあちこちお願いして変わってもらうことになりました。
第五回本屋大賞2位!第十回大藪春彦賞受賞!近藤史恵サクリファイス』を読了。このところ夜は9時過ぎには子供と一緒に布団に入り、枕頭本を眺めている間にすぐに眠り、朝は4時とか5時には目が覚めてまた枕頭本をしばらく読んで起きるという生活なのですが、今日は4時過ぎに読み始めたら一気に最後まで。7時に布団から出ることになってしまいました。いや、楽しめました。なるほどサクリファイスですわな。でもミステリ風のどんでん返しは最後の方に集中しているのですけど、自転車ロードレースの青春物語という風にも読めますな。どこかにもう少し深みがほしかったけど・・・。


27日(日)
一日、こなし(荒代かき)。
滋賀県は琵琶湖を抱えているし、環境こだわり米を率先している県でもあります。琵琶湖に田んぼの肥料分が混じった濁水を流さないようになっているかどうか、夕方農事組合で排水路の水の透視度検査などをする。いや、濁っている排水路もありましたが・・・。排水路の水量に透視度は影響されますよね。
麦畑を走るものがいる。なにかと思ったらイタチだった。落語の「宿屋敵」で「さようか、名はなんと申す」「へい、伊八と申します」「なんじゃ、その方であるか、鶏のケツから生き血を吸うという大胆なやつは!?」「あれははイタチでございまして、手前の方は伊八とこう申しますので、お間違えのないように」「うーん、伊八であったか、間違いである許せ、藻ちっとこれへ!」というあたりを思い出します。


28日(月)
苗代の下張りをとる。
午前中、6月に田植えする分の種籾の温湯消毒をする。温湯消毒の手順もだいぶ慣れてきました。
ラクタにドライブハローを付ける。


先日の『サクリファイス』に影響されたのか、夕方レンタル屋さんに行って、『茄子/アンダルシアの夏』『茄子/スーツケースの渡り鳥』の二枚と『ゴッドファーザー』は勢いで『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』は子供にせがまれて、DVDを借りる。『茄子/アンダルシアの夏』は昔奥さんが借りてきて、観たことがあるんだが、その時はあっという間に終わってしまったという印象しか残っていなかったのですが、今回は一人でパソコンで観たからか、細かいところまでよくわかって楽しめました。ペペと兄さんとカルメンの関係の微妙さとかね。50分ほどの作品だけどいいですわな。


29日(昭和の日)
朝からよく晴れ、風も少なく暑かった。
苗代の連休植えのトンネルをはずす。なかなかきれいに揃ったいい苗が出来ました。
一日、尻踏み(正式にはなんて言うのか、仕上げの代かきです)をする。母も協力してくれたのでたくさん出来た。尻踏みはあまりこってりやるととろとろになり過ぎて、酸素不足になるのか苗の根があまりささなくなるので、きれいに素早くやるのがコツなのでした。
一日トラクタに乗っていましたが、どこからともなくクモの糸が飛んでくる。クモが天気もいいし風に乗せてしきりに糸を吐いている気配。クモが糸を吐いている気配を感じたのは何年ぶりか。うれしい。


ゴールデンなウィークに突入ということだが、天気も良さそうなので田んぼ仕事ということです。子供たちからはコナンの映画につれて行けと言われているが、雨が降ったらな、といことにしてある。いや、どこへ行っても人ばかり、ゴールデンウィークは田んぼで働くのが一番。というのは負け惜しみに聞こえるかな?
藤沢周平全集第18巻』読了。「密謀」もよかったけど、「義民が走る」もなかなかよかった。これって史実なの?


30日(水)
プール苗代のラブシートをはずして、水を張る。うーむ。いや、苗の生育具合がムラムラなので、少々ショック。いや、ムラムラなのは先日からわかっていたのだが、こうしてシートをはずしてみると、一目瞭然である。うまくいかなかった原因はどこに!?無加温の苗箱なので有孔ポリを敷いたのだが、これを長く敷き過ぎたか・・・。加湿が原因ではないかというのが、僕の考えです。よく生長した苗は1.5葉になっているので、箱から1.5センチほどの水深にしたいところだが、まだまだひよひよのなえもあるので、遠慮して箱の少し上までの水にする。うーむ。だいじょうぶかぁ?
一日、尻踏み。今日も暑い。昨日の日焼けに懲りて麦わら帽子でトラクタに乗る。


1日(木)
おお!皐月です!午後から曇り。
朝から3時過ぎまで尻踏み。これで三日からの田植えする田んぼは準備完了。
明日は天気が気になるが、小麦の実肥をやる予定。
夜、『ゴットファーザー』を観る。うーむ。何度観てもおもしろい。これは2と3も観なくては。


2日(金)
朝から小麦の実肥をまく。硫安を反当たり15㎏。午前中いっぱいかかる。雨が降るかとおもったけど、結局降らず。ありがたいこと。
さて、あすからいよいよ田植えだ!




西岡棟梁の法隆寺宮大工の口伝ではありませんが、百姓には百姓の口伝があるような気がするのです。いや、百姓仕事は自然相手ですから地方地方によっていろいろ違うとは思うのですが、一番は「米作り、飯になるまで水加減」これが第一。次は何かなぁ、といろいろ考えていたのですが、「木の芽が萌え出したら種を蒔きなさい。」というのを二番にしたらどうだろうと思っています。種まきですな、播種の時期、というのはどの作物でも問題になるのですが、まあ、基本的に木の芽が萌える季節になったら水稲でも直播きされますし、安定させるためにビニールでトンネルを作ったりしますが、大きな失敗は少なくなると思われます。木の芽が萌え出す頃になれば自然に発芽して育っていく、そういう気候になったということでしょう。自然の仕組み、自然のあり方にそった栽培指針ですわな。しかも暖かい地方は暖かい地方の芽吹きの時期があり、寒い地方には寒い地方の芽吹きの時期があるのでしょう。うんうん。百姓の口伝の二番は「木の芽が萌え出したら種を蒔きなさい。」に決定!


BiNDのSP1がでた。どこがどう変わったのかわからない。BiNDで作っている辻井農園のHPも構成というかデザインというか、考えなくてはならないことがたくさんあるような気がするのだが、何から手をつけていいのか、時間もないというのが現状だなぁ。