現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

秋の読書特集

朝日と蘖と水溜まり

27日(水)
お米を発送し、車庫の整理をし、夜の広報の会議の原稿をまとめ、小麦の圃場の溝を直しに出て、子どもをインフルエンザの予防接種に連れていき、夜は広報の会議。


28日(木)
朝から雨。終日、なんだかんだと降っている。
午前中は昨日の会議を受けて地域の広報紙をまとめる。今月号は特別にカラーとなったので、写真がカラーなのはもちろん、文字色やラインの色、囲み記事のバックの色など、あれこれ色のことを気にしなくてはならないだけ時間がかかる。
午後は仕上げた広報紙をPDFにして、近所の印刷所へ持ち込み、貸与されている動噴の点検で農協へ持ち込み、、あとはぐたぐたしているうちに、夕方になってしまう。


秋といえば読書。
27日の朝日新聞は「秋の読書特集」とあって、なんだか楽しめました。それは僕の知っている本が何冊も出てきていたから、かな?
【時代のベストセラー】として次のような本が挙げられている。

なるほどねぇ。後ろの二つは僕が知っているはずなんだけれど、『愛される理由』は読んでいない。読んでいるのは『君たちはどう生きるか』『堕落論』『バカの壁』。うーむ。やっぱり『堕落論』だねぇ。いろんな文庫で出てますが、僕が読んだのは角川文庫のやつ。ああ、この特集の最初の瀬戸内寂聴さんの文章の中にも坂口安吾の『堕落論』に感動したって書いてありました。僕が初めて安吾を読んだのは高校の国語の教科書に安吾の『ラムネ氏のこと』が載っていて読んだのだが、これがなんともカッコいい文章だったのだなぁ。で、他のも読んでみようと読んだのが『堕落論』、いや、もうふるえるほどの感動でした。以来、繰り返し読んだのでした。うんうん。デカダンス


それから4人の方が若者に贈る3冊ということで3冊づつ紹介されています。

中島京子さんが若者に贈る3冊】

  • 高野秀行『異国トーキョー漂流記』
  • 古今亭志ん生『なめくじ艦隊』
  • ヴィスワヴァン・シンボルスカ『終わりと始まり』

南木佳士さんが若者に贈る3冊】

杉本博司さんが若者に贈る3冊】

佐野眞一さんが若者に贈る3冊】



いやー、宮本常一『忘れられた日本人』が二人の人に紹介されているというのが、偶然なのでしょうけれど、すごいですね。中島京子さんは僕より年下ですが、あとの三人は僕より10歳以上年上ですからね。でも『忘れられた日本人』は間違いなく傑作です。うーむ。僕も10年ほど前に読んで、以来再読していませんが、印象は強烈です。僕は柳田國男つながりで宮本常一を読んだのですが、素晴らしかったです。柳田の『木綿以前のこと』も素晴らしかったけど。うーん、宮本常一の文章ははずれがないです、本当に。って、全部読んだわけではないですけれどね。
それから鏡花の『高野聖』。ま、言うまでもない傑作ですわなぁ。難しい漢字に苦労しながらもゾクゾクしながら読んだのを今でも思い出します。『夜叉が池』『天守物語』もいいですね。学生時代に集中的に読みました。うんうん。
で、開高健ちくま文庫の『人とこの世界』というのは読んでいないけれど、文庫になる前のそれぞれの対談の文章をどこかでみな読んでいると思います。というか、開高健の全集は持ってもいないし読んでもいませんが、開高の文章は本棚のあちこちに並んでいるはずだ、と思っています。でもちゃんとした全集もほしくなってきました。でも近くの図書館にはあったかな?
開高健は文学、お酒、釣り、紀行、対談、小説、エッセイ、ルポルタージュ。まあ、何を書いてもおもしろく読ませました。これでもか、これでもか、と出てくる豊富な語彙、形容詞。くらくらするような圧倒的な文体です。
大森荘蔵の『流れとよどみ 哲学断章』の中に入っているらしい「真実の百面相」は高校の国語の教科書に載っていて勉強したのを覚えています。


ああ、あと古今亭志ん生『なめくじ艦隊』ちくま文庫にあるらしいですが、とても読みたくなりました。


【辻井農園が若者に贈る3冊】

ほんとにこういうのは難しいので、まあ、あまりだれも推薦しそうにないやつを選んでみました。って、でも『蝉しぐれ』は映画にもなったし、有名すぎますね。でも原作の方が圧倒的にいいです。
日高先生のはどれもいいですが、とりあえず、まずは、これ。
詩や短歌、俳句もお薦めしたいのだけれど、大部だし、ちと難しそうなムードが漂っていますが、じっくり読めば丸谷才一の掌の中で、本当に楽しめます。


もう一つ、秋といえば食欲。
10月23日付、読売の編集手帳

 昔の噺家は所帯を持つとき、「米だけはいいのを買いなよ」と先輩に言われたものです〉。吉川潮さんの『人生、成り行き 談志一代記』(新潮社)のなかで立川談志さんが語っている。〈そうすりゃ副食物に金をかけずにすむというわけでね〉◆ふっくら炊けたおいしいご飯があれば、おかずに文句は言わない――うなずくご飯好きは多かろう。食卓に向かうのがうれしい新米の季節がめぐってきた◆…と、いつもの秋のようには喜んでもいられないらしい。最も品質の高い「1等米」の比率が、今年は激減しそうだという◆9月末時点で64・4%(前年同期83・0%)と、比較可能な過去12年間で最低となった。記録的な猛暑は人の身体のみならず稲の生育にも影響したようで、コメどころの新潟県も19・7%と打撃が大きい。2等米以下の比率が増して米価の行方が心配な農家も気の毒だが、ご飯好きとしても品質の低下は心細い◆国文学者の沼波瓊音に1等米の句がある。〈秋刀魚出でたり一等米をあつらへよ〉。食欲のほとばしる命令形だが、この秋は少しばかり遠慮がちに言わねばならないようである。

大新聞の一面下のコラムとしては、もひとつキレのない文章だと思います(などと今日はずいぶん偉そうに書いています。)が、今朝のNHKの「あさイチ」で、一等米と二等米について話題が出ていましたね。要するに一等米と二等米の違いは外観品質であって、食味とは関係ないという話でした。うんうん。まあ、あまりにも外観が悪いお米だと食味も下がるでしょうけれどね。
しかし、なんだなぁ。
新米で食べる秋刀魚。うまいですね。うちの新米は自分ところのだし確実なのでいいんですが、秋刀魚とか、スーパーなんかで買うのって、いったいいつ獲れたやつなのか、わからないのが、不安な気もするけど、考えてみると焼いた秋刀魚に大根おろしと醤油をかけて食べて、おいしくない、と思ったことが一度もないことに気付く。うーむ。恐るべし秋刀魚。ただ僕が秋刀魚好きなのかもしれないけれど。


というわけで、秋の読書特集、秋のおいしいもの特集でした(すみません、新米と秋刀魚しか書いていませんが)。えーっと、秋の体育特集はありません。


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書き忘れたけどマイク・マグレディ著『主夫と生活』は名著の匂いがいよいよしてきた。