現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

完全無農薬有機栽培米「秋の詩」の稲刈り終了。明日は千秋楽?


28日(水)
朝のうち精米など。その後籾擦り。で、昨日軒下に広げておいた乾燥機に入りきらなかった籾を乾燥機にエッサホッサと入れる。さらに米の出荷。
午後はまた発送準備と発送。
お昼前に激しい雨。ちょっとビックリ。20分間ほどでしたが。50mほど先が一瞬真っ白になるような雨でした。


29日(木)
朝、5時すぎにけっこうな雨。とても稲刈りは出来そうにない感じだったので、精米と発送にいそしむ。
午後はしかし少し風が出てきて、稲刈りできないこともなかったような。


30日(金)
朝から息つく間もないくらいのバタバタ。
精米からはじまって、発送と稲刈りと精米と籾擦りと発送。
なんとか稲刈りが進んだのがうれしい。
友人から本が届く。


1日(土)
昨夜からの雨も朝方にあがる。
今日も朝から精米と発送など。
土曜なので本局から発送。帰りにお茶屋さんでお茶ッ葉を買う。先日来、スーパーで買った玉露を飲んでいるのだが、うーむ、安かったから文句も言えないが、玉露らしいトロンとした味わいがない。うーむ。ま、仕方がないが、いいお茶だとほんとに天井知らずというような値段のものもあるので、ま、そこそこのところで手を打って楽しむしかない。


それから午後はまず籾擦りをして、それから朝の雨で濡れた稲も乾いてきているようなので、稲刈りをすることにした。今日は完全無農薬有機栽培米「秋の詩」の稲刈り。もちろん雑草だらけなので、ゆっくりゆっくり丁寧に稲刈り。でも無農薬の「コシヒカリ」より雑草はだいぶましでありがたい。
その後、籾擦り。


今年の稲刈りは8月の終わりからはじまったのですが、いよいよ大詰め。明日の完全無農薬有機栽培米「みどり豊」で千秋楽(?)になります。ゆっくり刈ります。

読書の秋、ということだと思いますが、「oz PLUS」という雑誌(実物の雑誌はまだ手に取ったことがないのですが)の11月号で「人生をなんとかしてくれた」本の特集をしているよ、とFacebookで教えてもらいました。俳優や作家さんや、その他業界で活躍中の人たちの「人生をなんとかしてくれた」本が紹介されているそうです。で、この「人生をなんとかしてくれた」本というフレーズに激しく心が動かされました。ま、読書体験というのは、そういうものかもしれませんね。当然、自分の歩んできた道を振返って、あれこれ考えてみたくなります。
   青春時代をなんとかしてくれたのは、坂口安吾かも。
   就農時代をなんとかしてくれたのは、藤沢周平かも。
青春時代は、まあ、ある意味、誰にとっても疾風怒涛ですから、恥ずかしいこと満載の時代ですが、それを肯定し応援してくれた本はたくさんあったけど、ふっと思い出すのは坂口安吾のような気がする。「青春論」というエッセイがあるからかな。安吾は高校の国語の教科書に「ラムネ氏のこと」という文章が載っていて、それで初めて知りました。その後、文庫本で『堕落論』など一連の有名な文章を読んで心がふるえたなぁ。心がふるえると同時に、青春時代の真っ只中にいた自分にとっては、自意識の塊のような状態なので、恥ずかしさ自惚れと謙虚さの間で揺れ動きふるえるようだった心をすーっと鎮めてくれたような気もしました。


就農時代というのは、転職して農業を始めた頃ですね。まったく違う仕事に転職でしたので、人生を最初からやり直すような強い気持ちを持ってはいたのですが、それでも心は揺らぎますね。ええ、大きく心が揺らいでいました。「胸張って歩かなきゃ。」と思っていたのをよくおぼえていますが、そんなことを思うこと自体、心が揺らいでいる証拠です。最初に落ち着かせてくれたのは、同じ村に暮らす同級生かなぁ。農業は、とくに米づくりは田んぼで仕事しますから、外から見えるんですね、仕事ぶりが。「おえ、どうしたんやいな。」「よー、きばってるがな。」と声をかけてくれたのも、米のネット販売を始める前からお米を持ってきてと買ってくれたり、「めちゃくちゃうめーがな。」と褒めてくれたりしたのは村の同級生だったような気がしています。みんな仕事も違うし、いつもよくしゃべって仲良くしているというわけでもなかったのだが、ありがたくうれしかったのをよく憶えている。
あとはまだ老眼でなかったので、夜、蒲団の中で、毎晩のように藤沢周平の小説を読んでいました。士道小説、市井もの、とにかく図書館で全集本を借りてきて全部読んだンですが、月並みな言い方ですが、登場人物たちのまっすぐな生き方に心打たれたり洗われたりしたわけです。毎晩、蒲団の中で笑ったり泣いたりしているうちに、心が落ち着いてきていました。ありがたいことです。


そんなこんなで、明日で12回目の稲刈りのシーズン、米の収穫が終ります。無農薬の「みどり豊」は「秋の詩」にまして雑草の中にあるので、ゆっくり刈りますが、無事に収穫出来ますように。