現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

野村芳太郎『張込み』(1958)を観る

張込み

終日、雨が降ったり止んだり。寒さはましだが、外は雪たっぷりですからね。


野村芳太郎『張込み』(1958)を観る。松本清張原作のモノクロ映画。1958年ですからね。生まれる前の映画。原作は30ページぐらいの短編だそうです。それを野村監督や橋本忍が二時間の映画にしたんですね。なんといっても出てくる風景や佐賀の街の様子がなんとも懐かしいような、いい感じ。たぶん鉄道ファンなら最初と終わりはずいぶんと楽しめるのじゃないか。ぼくだって昔の米原駅をひょいと思いだしたりしましたからね。
出てくる男たちもみんな白いカッターシャツに太めのズボンで、暑いのですぐランニングシャツ姿になったりするのだが、そうそう昔はデザインされたTシャツなんてなかったから、みんな暑いと脱いでランニングシャツ姿になってたなぁ、と思い出したり。今はスーツなんかも細身のやつが流行りみたいだけど、この頃のデザインのスーツなんかこしらえたらカッコいいんじゃないかと思ったり。
役者は大木実が一応主演ということなのだろうけれど、宮口精二が刑事らしいいい味を出しています。でもなんといっても高峰秀子コントラストのある演技がいいですね。
後半、走る車を追いかけて空撮が5秒ほど出てくるのですが、これが田んぼの中の道で、50年代後半の佐賀(?)の田んぼが見られます。5秒ほどでしたが、ほんとに美しいと思いました。温泉地の川も美しい。山も美しい。ロケ地はどこだろう、と思いましたが、ちょっと調べると、大分県宝泉寺温泉だということでした。山村風景、温泉旅館の廊下までみな美しいですな。
もちろん圃場整備が行われて、田んぼ一枚が大きくなり、四角くなり、大きな機械も入るようになり農作業は効率が上がるようになりましたが、何かを得るためには、何かを放さなくてはいけないわけで、一瞬、チラリと見える景色の美しさに、ちょっと、うーむ、と唸ってしまったのでした。
YouTubeで予告編を見つけたりしたのですが、どうもこの予告編はよくでき過ぎているのか、本編を観てからではいささか違和感があるのはどうしてでしょう(笑)。たぶんこれがサスペンス映画のようでありながらサスペンス映画ではないからでしょう。いや、サスペンス劇場にあまりにも慣らされてしまったからかな。