午前中は精米など。午後は銀行でお金の出し入れをしたりお金を払いにいったり。
吉野弘が亡くなった。
吉野弘の詩を初めて読んだのは、高校生の教科書に出てきた「I was born」でありました。やさしい言葉で書いてあるのだが、高校生だからまだ産むとか生まれるとか、なんとなくわかっているようで、なんにもわからっていないんだけど、それでも命ということに目を向けさせられました。
今朝の朝刊の一面のコラムは読売も毎日も吉野弘のことを取り上げていました。世間では「祝婚歌」がもっとも有名らしいということはわかったけれど、まだまだいい詩はたくさんある。その一つは、以前ブログでも取り上げた「茶の花おぼえがき」でもあり「生命は」でもある。
さっきから詩集を本棚から引っ張り出してきて読んでいるのだが、初期の恋愛詩などには、学生時代に心ふるえた記憶がよみがえってきたりしている。
でも一月のこういう季節でもあるので、一つだけ、短い詩を書いてみたい。
室内 吉野弘
厳冬
完全暖房のビルの一室で
快適に汗をかいているとき
外から電話、
―えらく冷えますね 芯から冷えますワ
こちらワイシャツ一枚。
ガラス戸越しに青空が見えていて
その色は温暖。
冬の民衆から
寒い陳情をもちこまれたときの
夏の代議士のように 私は
いや、代議士は
彼我の環境差を一瞬理解するが
選挙まではまだ間があるし
この環境差を今すぐどうせよと迫られるわけでも
あるまいとタカをくくり
―ああ 骨まで冷えるね
とかなんとか言って調子を合わせている
ガラス戸越しに青空が見えていて
その色は温暖。