終日よい天気。風はちょっとありましたが、旧暦では十月(神無月)の六日だし、正真正銘の小春日和だ。
麦も芽が出てきて、昨日一昨日の雨で、なんだか色が少し濃くなったような気がする。
午前中はお米の精米など。
午後は大豆の出荷。
夜は寄り合い。
朝、次女が思いのほか、早起きしてきて、何やらブツブツいっていると思ったら、今日は『平家物語』の冒頭、「祇園精舎の鐘の声〜ひとへに風の前の塵に同じ」あたりまでを、書く試験あるので、覚えているのだとか。
「暗唱ではなくて、書くんか?」
「うん、書くん。」
「へー、ほんなら、漢字が難しそうやけど、あんた、漢字書けるん?」
「うん、昨日、なんべんも書いた。」
「盛者必衰とか、難しそうやけど、大丈夫かいな。」
「まず、“盛る”やろ。」
「“盛る”って、あんた、そこは“盛ん”と言うてほしいなぁ。」
「いっしょやん!」
「ほら、漢字は一緒やけど、読みが違うということは、意味も違うんや。まあ、ポイントは“無常”やけど、あんた、意味わかったるんか?」
「諸行無常!」
「ほうや!」
「盛者必衰!」
「ほうや!」
「おごれる人も久しからず!」
「ほうや!」
「春の夜の夢のごとし!」
「ほうや!」
「たけき者も遂には滅びぬ!」
「ほうや!」
「偏に風の前の塵に同じ!」
「ま、ほういうこっちゃな。」
「あははははは」
夕方、帰ってきていた次女に、『平家物語』どうやった?とたずねると、「バッチリよ!」と漫画を読んだまま、顔も上げずにおっしゃる。「お、よかったやん。」とは言っておいたが、次女の「バッチリ!」は、これまで実はバッチリではなかったことが何度もあったので、アテにはならないということを知っているのだが、ま、今日のところは、これ以上言わないのでありました。
『平家物語』の冒頭は、まあ、日本文学史上の名文中の名文と言ってもよかろうが(小林秀雄は「月並みだぁ!」とおっしゃっておられますが。)、『平家物語』の中には、他にもたくさん調子のいい名文があるので、そういうのを自分で見つけられるとうれしいのですが。
僕が『平家物語』を暗唱させられていた頃に、この歌は、よく聴いていたぜ。Stevie Wonder 「Too Shy To Say」