現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

研修と有機農業の日とカット野菜と『登山』と虹の季節

8日(木) 有機農業の日
 朝から指導農業士会の湖北と甲賀の合同研修会。海津市の「サンフレッシュ海津」さんの様子を見せていただく。米・麦・大豆・じゃがいも・キャベツと作付け面積は300haを超えている大きな経営なので、うちとは比べ物にならず直接的な参考にはなりにくいところもありましたが、いろいろ刺激をうけてくる。
 帰りに道の駅の直売所で富有柿を買ってみる。岐阜は富有柿の産地ですからね。直売所では農家の個人の名前の書いたカゴにそれぞれ富有柿が入っていました。なるほど。なるほど。でっかくておいしい柿でした。あと湖北地方は朝から時雨模様でしたが、岐阜の南濃はよく晴れていました。名神関ヶ原を越えて滋賀に入ったらまた時雨模様でアスファルトに水たまりができていたりして、いやはやという気分になりました(笑)。

 ピエール=アントワーヌ・イロ監督『登山』(2017)を観る。フランス映画。左にモン・ジュレ3518m、右はフレッチホルン3327m、レ・ロシュ・ブリュウヌ、4357m。このロシュ・ブリュウヌの北壁を登るという映画ですが、ま、そこに人間模様が重なっていきます。昔、登山というかクライミングですけど、そのチャンピオンになった女性が北壁に登って新しいルートに名前をつけようとするという展開なんですが・・・。ま、ストーリーとしてはよくあるパターンだと思いますが、山の景色がスバラシイです。ロケはヨーロッパアルプスなんでしょうけれど。登場する俳優さんたちは私の知らない人ばかりのような気がしました。あともう少し帽子や手袋をして登ったほうがいいんじゃないかな(笑)。あと字幕の変換ミスがいくつかあったような気がします。

 このところ湖北地方では時雨れる天気がつづいているので、虹の季節を迎えています(笑)。朝も日中でも夕方もよく虹が見られます。

 今日は「有機農業の日」なんだそうですよ。日本農業新聞ではコラムでも論説でも有機農業を取り上げていました。「今年有機農業の担い手を育ててきた地域のリーダーが相次いで亡くなった。」という追悼の文章には、私も昔勉強のつもりでいくつも読ませてもらったので、あれこれ胸の内に思うところはあるのだが、全体として、農水省の「みどりの食料システム戦略」はもちろん農協や日本農業新聞の取り組みについても、なんだかなぁ、という気持ちです。どこにも本気度が感じられないし。昔も今も有機農業をすすめているのは一部の農家ですし、それを支えようとしているのも一部の消費者さんでしょう。有機栽培農家の多くは熱心だけれども経営規模が小さいので(なかなか大きくはしづらいので)、その声がいろんなところに届きにくいですからね。でもこれからはすこしづつ有機栽培農家も規模拡大していけるかな?大きな機械も使えるようになっていくかな?戦後の日本の発展を支えてきた団塊の世代のみなさんも70代の中盤。堅牢なベテラン農家さんもそろそろ第一線の現場から離れがちになる年代になってきています。うまく後継者が育ってきていればありがたいですが、今の現状ではそれも厳しく、農家の数は激減期に突入しています、もちろん農地の面積も減ってきていますが、必然的に農家一人当たりの栽培、作付け面積は増えることになります。すると機械化、省力化も必然なんですが・・・。有機農業は勇気のある農家と勇気のある消費者で支えられている、なんて本気とも冗談ともつかぬことが言われていますが、ま、勇気なんて、勇ましいことなしに、あたりまえに家庭の台所に届く農産物でありたいですね。
 あ、今、台所と書いて思い出しましたけど、今日の研修でもカット野菜のことが何度か話題になっていましたが、いよいよ包丁やまな板のない台所が増えてきているらしい、というおしゃべりをラジオで聴きました。収穫したキャベツでも大根でも、ブロッコリーでも、そのまま出荷したって、儲からない。きれいに洗って土を落とし、選別するだけじゃなくて、さらにカットまでして出荷しなくてはいけないようになってきている、という話もありました。うーむ。食肉は生きていた動物の息づかいや温かい体温を想像させないようにして売られ、野菜も土に根を張って葉を茂らせて生きていたことが想像できないようにして売られるようになってきているということでしょうか?