現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

有機の「コシヒカリ」の出穂と草刈りとジョージオーウェルの『動物農場』のこと

↓5月の中旬に植えた有機栽培「コシヒカリ」も出穂してきました。
色も薄いし株も太くはないけど、ほとんど肥料も入っていないので仕方がない。
でも雑草は生えてくる(笑)。
このまま順調に籾を太らせておいしいお米になってほしい。


3日(木)
 早起きして有機の圃場の畦畔の草刈り。夕方も草刈りに出ようとしたが、どうにも心持ちとして刈払機を振る気になれなかったので、休む。

 昨日のブログで、草刈りをしながらジョージ・オーウェルの『動物農場』のことを思い出していた、と書きました。オーウェルについては学生時代に開高健から教えてもらいました。『カタロニア讃歌』『1984』『象を撃つ』『鯨の腹の中で』なんかを読んだのも覚えています。でも何と言ってもおもしろかったのは『動物農場』でした。寓話ですね。ある意味、ソ連社会主義の風刺物語そのものではあるのですが、これがそれにとどまらないんですね、レーニンやらスターリントロツキーとおぼしき豚が出てきたりしますが・・・。ちょっとスローガンを入れ替えてみれば、ヒトラーやレームやロンメルにも孫文蒋介石にだって見えてくる、と開高はいうのです。古今東西の革命に登場する諸人物と役割が全て描かれている。政治的独裁、あるいは革命というものの辿る運命を描いているというんですね。私は政治には疎いですが、独裁国家というのは、いまだにあちこちにありますね、あの国とか、この国とか・・・。

 「これは左右を問わず、あらゆる種類の革命が権力奪取後にたどる変質の過程についての寓話で、寓話であるからには最大公約数なのである。宗教革命史、社会革命史、どの時代のどこの国でもいいから一冊ぬきだして注意深く読んでみる。叛乱の発生、爆発、成功、平和の回復、やがてめだたないちょっとしたところから起って全体にひろがっていく変質、そしてやがて気づいてみれば事態が、かつて“敵”としてものにいかに酷似した地点にきてしまったことか。」とね。

 あたしゃね、草刈りしながら思っていたんです。今の日本はね、「革命の “カ” の字 」もありませんし、国民はそんな世の中の動乱は誰も望んでいないように思えるけれど、じつに巧みに “格差社会” という革命、変革、変質が起きてしまったんではないかと。しかも権力者(あるいはお金持ち)によって。だいたいこの “格差社会” という言葉も5年前、10年前と比べるとあまりテレビにも新聞にも出てこなくなりましたね。もうすでに格差が当たり前の世の中になってしまったような気がします。
 そうしてこの民主主義を標榜し、資本主義社会の先進国と自称する日本の国に当てはめてみると、やっぱり豚や馬や驢馬や犬や羊や雌鶏やカラスに相当する人々がいるような気がしてくるんですよね(笑)。
 やっぱり肉体労働をしている百姓は雄馬のボクサーですよね。大汗をかきながら、筋肉痙攣、こむら返りをしながらも労働意欲を持ち続ける姿は、哀しく切ないです(笑)。ええ、笑うしかない。
 戦後、農地解放があって、小作人からたくさんの自作農が生まれたわけですが、戦後78年、格差社会が広がり、封建的な社会や戦前の大日本帝国憲法の時代にどこか酷似した地点にきてしまっていないか。畦畔の草刈りをしつつ百姓は『動物農場』のことを思い出し、考えてしまったわけです(笑)。笑うしかない。
 ええ、先に書いておきますが、私は政治的には右でも左でもなく、どこの政党にも属しておりません。常にバタバタと仕事して汗をかいている百姓です。それで、書いてはいけないと思いつつ、肉体疲労が重なると愚痴を書いてしまうという、ビールと昼寝の好きな普通の百姓です。「うん?オーウェル動物農場?革命?格差社会?こいつは危険分子?」などとお考えのあなた(『動物農場』では犬になるのかな?)、ええ、私はプロ野球カープを応援していて、その勝ったり負けたりのゲームに一喜一憂させられていて、この手の社会的なストレスは半ば解消させられていますので、どうぞご安心を(笑)。

 ちなみに私の読んだ『動物農場』は角川文庫だったので、本棚を探したけれど、見当たりませんでしたが、今調べましたが、1972年に出た高畠文夫訳ですね。

 なんでこんなに『動物農場』のことをよく記憶しているかというと、就職の採用試験の一般教養を問う英語の問題に『Animal farm』が出たんですね。長文の問題で。英語は苦手でしたが、思わずドキドキしてしまいました。だって何度も繰り返し読んだ寓話でしたから。ストーリーや登場人物はだいたいわかっていましたしね。急にリラックスできたのを覚えています。おかげで就職試験もうまくいきました。そうか『動物農場』には大恩があったわけですね(笑)。

4日(金)
 もう金曜なのに驚く。何とかしなければ。

 昨日夕方ビールを買いに出たついでに少し田回りをしてきたが、枝豆がうまいという噂の大豆タネを小さな圃場二枚に播いたところは、一枚は少し芽が出てきていたが、もう一枚はほとんど出てきていいなかった。やれやれ。たぶん土が乾燥し過ぎていたのかな?まだ少しタネが残っているのだが、播き直すか?さて。

 外が明るくなってきたら草刈りに出ます。