現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

積雪10cmとお葬式とピエールカルダンと国本武春の浪曲


23日(土)
 朝の積雪10cmほど。
 急に(だいたいこういうことは急なんですが)親戚にお葬式ができて、大阪へいく。京阪電車の古川橋です。お通夜をして準備してもらったホテルに泊る。

24日(日)
 今日はお昼前からお葬式。骨を拾わせていただき、初七日となって、帰ってくる。
 亡くなったおばさんは父の妹、父はもう高齢になってなかなかこのお天気では大阪へも出かけられそうもないので、代わりに出てきたのです。
  「あだし野の露、鳥辺野の煙は絶ゆる時しなき、これが浮き世の誠なる。」(『壇浦兜軍記』)
 もちろん生きているものが必ず死ぬことが浮世の誠なることはわかっているつもりなのだが、小さいときからかわいがっていただいているので、何度も胸の内にお礼をいって帰ってくる。

 礼服に黒いネクタイなのでもちろん黒い革靴を履いていったが、この革靴、私が大学の入学式のときに履いていった革靴です(笑)。かれこれ45年前の。入学式を前に母と買いに行きました。これがね、当時はすでにアメリカンなアイビーファッションの二度目か三度目のブームで、靴もラバーソールのローファーなんかが流行りだったのですが、そういうことをまったく知らない田舎の高校生ですからピエールカルダンデザインの黒革靴を選んだんです。どうも、ま、母の意見も、店員さんの薦めもあったんだったとは思いますがレザーソールのヨーロピアンですからね。ずいぶんと先が長いんです。尖ってます(笑)。「パーティでも大丈夫です。」と店員さんがおっしゃったのははっきりと覚えています。パーティ!いったいどこにパーティがあるんだ?とも思ったのですが、若さとはありがたいものですね、ひょっとしたら大学生活のあちこちにパーティがあるかもしれないと思ってしまったものです(笑)。
 入学式の時、初めて履いて大学の黒田講堂にいったのですが、アスファルトの上を歩いたので、レザーソールに小石が挟まっていたりしたのを覚えています。たぶんずいぶんトンチンカンなファッションだったと思います。足にもうひとつ合わない感じでその後履くことはほとんどなかったのです。だいたいパーティもなかったし(笑)。
 一度、友人のTくんが、「おい、ツジイ、たしか革靴持っとッたな、今度サークルのパーティがあるので、貸してくれ。」と言うので「あーたの足に合うかどうか」と言いつつ貸してやったら、「まるでわしの靴みたいにぴったりで履き心地のいい靴やった」と宣うのでありました。
 その後アルバイトをしていたペンションのオーナーがよく頑張ってくれるので、と「靴でも履く?」とリーガルショップに連れていっていただきました。ラバーソールの黒のコインローファーを所望いたしました。そのコインローファーもめったに履かないものの、とはいえいろんな場面で活躍して、これまた45年ほど履きましたら、ラバーソールにヒビが入って水が染むようになりましたので、引退してもらったのでありました。久し振りに足をいれたピエールカルダンデザインの黒革靴。ワックスをかけて磨きましたらピカピカになりました。ま、他の靴を磨くときはいっしょに磨いていたんですけどね。
 カツカツカツと靴音高くホテルと葬儀場と火葬場と駅とを歩いてきました。うーむ。パーティはどこにあるんだ?

25日(月)
 精米など。

 リドリースコット監督『ブレードランナー ディレクターズ・カット』(1982?)を観る。3度目かな?久し振りに観たけど、なるほど、やっぱりスゴイ。でも初めて観たときほどの感動はもう感じないけど。どんどん時間は流れて、私も年寄りになり、感性も変わっていきますな。

 ヤン・デ・ボン監督『スピード2』(1997)を深夜の大阪のホテルで観る。あ、最初の20分ほどは見逃しました。でもたぶん3回以上は観ているので何の問題もない。おもしろいなぁ。サンドラ・ブロックも相変わらずいい。ま、キアヌ・リーブスの方がジェイソン・パトリックより好きだけど。もちろんジェイソン・パトリックも頑張っていて悪くない。

 落語の人気はともかく、講談も神田伯山で人気がありますが、浪曲はどうよ。
 国本武春と曲師・沢村豊子さん。いや〜、何度聴いてもスバラシイ。芸ですなぁ。これぞ芸です。忠臣蔵は別れの物語。

↓破調ではありますが、サイコー!現代の浪曲とはこういうものかもしれませんな。掛け声って、やったことないけど素人でもできるのかな?

↓笑わせます。泣かせます。討ち入り前夜の物語。兄弟愛。弟も弟なら兄もまた兄。

↓これも討ち入り前夜の物語。「南部坂雪の別れ」はいろんな人がやっているのでしょうが、たいていみんなそれぞれに工夫があって好き。

 いや〜、曲師(三味線ですが)の沢村豊子さんが、盛り上げますなぁ。いやぁ、盛り上げます。
 あーた、年末年始、お笑いのテレビ番組もそれはそれで一興ですが、テレビや映画や読書に飽きたら、飲みながら聴いてみてください。いい正月になること間違いなし!(笑)