現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

臨機応変な農作業と農業の経営戦略と喜び



↑やはりこういうものは野外で撮らないといけませんね。今年から出芽機(要するに種籾の芽を出す室(むろ)です)を作業所の屋内に置いたので、その記念に撮ってみましたが。
なんで24時間ちかく早かったんだろう?
浸種の時間をたっぷりとったからか?
これまでは屋外に置いていて、雨風にもさらされていたので、屋内に置くことで芽が出るのが安定したか・・・?

 百姓仕事は臨機応変でなければならない、というか生き物相手だし、自然相手だし。当然のことだ。
 天気予報では午後から雨といっていた。レーダーの予報では15時くらいから雨が降り出す予報だ。
 それで昨日立てた予定は雨が降り出すまであぜ塗りをしよう、ということでした。ところがいつものように朝、作業所に行って、出芽機の苗箱の様子を観たら、なんと!白い芽がもう出てきているではないかいな。一昨日の播種なので、ちょっと24時間以上これまでより早い気がする。もう苗代に出せそう。午後から雨なのはわかっているし、雨が降るとただでさえ乾いていない苗代に、また出せなくなるのではないか、伸びすぎた芽より、まだ伸びていない芽の方が苗代に出すならいいわけなので、急遽、これから苗代に出すことにする。
 長男と次男と両親に予定の変更を伝える。

 すぐにあれこれ準備して、苗箱を並べはじめたのだが・・・。10時過ぎからポツポツと雨!それはないよ、気象庁!それはないよ、お天気おねーさん!いや、冗談です。気象庁にもお天気おねーさんにも日々感謝しております。
 というわけで、降雨の中の苗箱並べになる。うちの苗代のやり方は露地のプール苗代ですからね。でもそれほど強い雨ではなくて助かりました。ただもともと軟らかかった土が雨で水が溜まり加減になるところもあったので、作業はやりにくかったですが・・・。
 少し時間がかかりましたが、やっと終わったと思ったら、長男から苗代の際に溝を掘って水はけをよくしたい、とアイデアというか提案があって、ちょっとびっくりしたけれど、若い人のアイデアや提案はやっぱりやってみないといけないというか無下にはできないし、もっともな提案であります。あたしゃ、もうお昼を回って腹が減っているし、ご飯を食べてからにしたらどうや、と言ったが、「わしゃ、もうお昼食べてゆっくりしたら、もう動けん」とおっしゃるので、そのまま溝を掘ることに。二人で25mほどの溝をスコップで掘る。ま、雨だし、ちゃんと効果が出てくれるとうれしい。

 NHKスペシャル『Last Days 坂本龍一 最期の日々』を観る。
 坂本龍一は、わりとチョカなんですよね。それは40年前から気がついていた。サービス精神がある、とも言いますが・・・。ファンにとってはよい番組でした。子どもが四人いるのは知っていたけど、男二人、女二人だったんだ。そうか、そうか。むふふ。

 ネットのニュースをあれこれ観ていたら、「苦労しながら作った豆腐は絶対にうまいでさ」という信州のお豆腐屋さんのニュース特集を見つける。読んでみてあれこれ腑に落ちることもありました。私が出荷した五年産の有機栽培大豆は東京の卸さんに出荷したのですが、無農薬や有機の大豆で、在来品種や豆腐にしておいしい大豆を作ってもらって、それを大手ではない小さな豆腐屋さんに卸して、こだわりのおいしい豆腐を作ってもらうんだ、という営業の方のお話でした。
 信州に限らず、全国的に小さな豆腐屋さんは次々に店を閉めているそうです。大手との競争になると、価格面ではとても太刀打ちできないので、(大手は栽培しやすい大豆を大量に作ってもらって、それを安く仕入れて、安い豆腐を大量に販売して、お客さんに喜んでもらって儲けよう、という戦略ですわね。よくわかります。)小さな豆腐屋さんは、ちょっと値段は高くなるけれど、安心安全な国産大豆で丁寧においしい豆腐を作って、お客さんに喜んでもらって儲けよう、という戦略ですね。とてもよくわかります。
 辻井農園の経営戦略(?)も似ています。当たらずといえども遠からず(笑)。なんやほれ?とおっしゃるでしょうが、うちは基本農家ですので、豆腐屋さんと違って大豆の作る方ですからね、日の光や風や雨に助けてもらいながら、同時にそれらに苦労させられる仕事なので、ほんのすこし仕事の喜びも違ってくるのでしょう。
 今日は雨に濡れながらの仕事が5時間ほどにもなったので、しかも今シーズン最初の苗代に苗箱並べる作業でしたので、正直、ヘロヘロで、筋肉痛の予感がしていますが、ビールのうまさは格別です(笑)。喜びって、そこかい!と自分でツッコミたくなりますが。そこなんです(笑)。いや、飲み助の豆腐屋さんからは、われわれも同じ喜びです、と言われるかも(笑)。