現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

畦畔の草刈りと「コシヒカリ」の稲穂


 というわけで、本日二回目のブログの更新。
 朝から終日、畦畔の草刈り。あちこちで稲刈りが始まりましたね。「みずかがみ」とか「あきたこまち」とか極早稲からです。うちは「コシヒカリ」からなんですが、もうそろそろかもしれません。

 長男が一日がかりで取説を見ながらコンバインを分解して掃除して注油してくれる。こういうことは一人であれこれ考えたりしながらやらないと覚えられないことですからね。この次はもうすこし早くテキパキとできるようになっているはず。

 カープは現在最下位に沈んでいるのだが、昨日はジャイアンツに大勝して気持ちよかったが、今日も首位のタイガースに勝ちました。むふふふ。

 パラリンピックが始まっている。このコロナの感染急拡大の時期なので、いろいろ思うところはあるが、初めてパラリンピックの競技をいくつか観る。ちょっとハッと思ったのは同じ競技でも障害の程度によってクラス分けがあるのですが、クラス分けがあるといっても、障害の程度は人それぞれ、みんな違うわけです。同じレースに障害の程度の違う人が出て競う。障害の程度は人それぞれ、みんな違う。考えてみれば当たり前のことですが、今まで気がついていませんでした。「だからパラリンピックで、メダルをとる、とらない、ってあんまり関係がないわな。」と口にすると、すかさず奥さんが「それでも同じルールの中でメダルを目標に頑張ってきてやあるんやで、そういう言い方は失礼になるんとちゃう?」などとおっしゃる。で、立川志の輔の落語によく出てくる「いつでも妻の言うことは半分は正しい」というフレーズを思い出して笑いそうになったが、ええ、笑いませんでした(笑)。
 しかし、競技を観ていると国籍に関係なく応援してしまうし、なんとも熱いものが湧き上がってきて泣けてきたりするんだなぁ、どうも。

草刈りと作業所の準備と『キューポラのある街』と


25日(水)
 早起きして、終日、スライドモアで、圃場の道端の法面などの草刈り。
 トラクタにはガラス張りのキャビンがついているので、夏はエアコンは必須なのだが、エアコンの調子が悪く、最初の三分間はエアコンも効いている?という感じだが、その後はまったく効かず、サウナ状態。もちろん窓は開けてあるのだが、外気ももちろん高温です。
 午前中は朝ご飯も食べず、11時前まで作業したけれど、帽子から靴下まで、身に付けているあらゆるものがぐっしょりと汗に濡れ、トラクタから降りたらトラクタのシートに汗が溜まっていた(笑)。
 午後は少し風が出てましになったが、もちろんあせでぐっしょり。

 浦山桐郎監督『キューポラのある街』(1962)を観る。吉永小百合浜田光夫東野英治郎、杉山徳子、加藤武菅井きん、それとちょこっとだけど吉行和子。なるほど。楽しめたけど、ちょっと問題というか、テーマというか、いろいろ詰め込み過ぎじゃないの?
 原作は早船ちよさんということらしいけど、この作品で日本児童文学者協会賞を受賞しているんだとか。
 貧しさ、貧困、勉強の意義とか、組合活動だとか、朝鮮人差別だとか、修学旅行に行ける行けないとか、高校進学出来る出来ないとか、労働災害だとか、働きながら学ぶとか。当時の社会問題満載なんだが、60年代、70年代を通して、ちょっとづつ問題を解決してきて、経済大国なんて、言われるようになったのだが、バブルの崩壊以降、厚い中間層が消えて勝ち組・負け組などと格差社会となり、また貧困問題も大きくなってきたようです。うーむ。

26日(木)
 今日も午前中はスライドモアで草刈り。これでだいたいスライドモアの作業も終わる。明日からはまた畦畔の草刈りに出ます。

 午後は作業所の準備など。

 ローリング・ストーンズのドラマーのチャーリー・ワッツが亡くなった。ここのところ、ストーンズを聴いていなかったのだが・・・。うーむ。チャーリーのドラム、やっぱりカッコいい。




27日(金)
 早起きして畦畔の草刈りに出る。快調に刈っていたが、途中で自走式の草刈り機が止まってしまう。エンジンもなんだか重くてかからない。すぐに工具を持ってきてカバーを外してみたら、なぜかベルトがねじれて外れていた。やれやれ。すぐにかけ直したが、テンションプーリーのかけ方がなんだか不安で農機センターのKさんに電話して確認する。いやいや、ほんと携帯電話ができて、便利になりました(笑)。その後はまた快調に畦畔の草刈り。

機械の掃除と『土と兵隊』と『土の学校』


23日(月)
 作業所で選別機などの掃除など。
 それから午後に長男と一緒に田回りして「いもち病」の発生の様子を見てまわる。ところどころ出ているところもあるが、概ね大丈夫そう。肥料が少なめなのがよかったか。でもお天気次第では予断を許しませんな。


24日(火)
 午前中に精米など。それから籾摺り機と乾燥機、籾のタンクの掃除。集塵機の設置など。


 田坂具隆監督『土と兵隊』(1939)を観る。原作は火野葦平で未読。戦前というか戦中というか国策映画ということなんでしょう。太平洋戦争が始まる二年ほど前になりますね。でも、なんというかずーっと進軍のシーンが続きます。進軍というか行進というか、兵隊さんが中国大陸の大地をあるいて行くシーンがずーっと続いていきます。うーむ。僕はありがたいことに戦争にはいったことがないですが、なにか妙にリアリティがあるような、歩いて行くシーンに。と思ったらエキストラも装備品も本物の兵隊さんや装備品なんですな。なるほど。それから敵の中国兵がまったく登場しません。トーチカ(コンクリートやレンガなどで作った機関銃や火砲などを備える防御陣地)から機関銃等で撃ってくるシーンはありますが、敵兵の姿は見えません。で映っているのは中国の大地なんですな。建物の屋根の形、日本の建物と違って屋根に反りがありますよね。それから橋が太鼓橋というか真っ直ぐでなく真ん中が盛り上がっている形状の石造りの橋も何度も出てきて、いかにも中国の雰囲気を醸し出しています。
黒作品で、フィルムの状態はとても悪いのですが、フレームの中の構図はなんだかとても美しく感じました。
 火野葦平には『麦と兵隊』というのもありますね。もちろん未読です。
 戦争というと、僕なんかは太平洋戦争がすぐに浮かんできて、真珠湾だの、ミッドウェーだのマリアナ沖だのの海戦とか、東南アジアの島やジャングル、それから沖縄での戦闘なんかをイメージしてしまうのだが、日中戦争、中国大陸での戦闘もありましたね。なんてことを書いていると叱られてしまうか。うーむ。


 もう夏も終わるというか地蔵盆もすむと初秋のムードですけれど。おいしくて美しい“和菓子”10選・夏。というのがSNS から流れてくる。レモンの輪切りと寒天のやつ。ちょっと食べてみたくなりました。疲労回復によさそうだし(笑)。


 『土の学校』と『土のがっこう』同じようなタイトルの二冊が届く。いえ、なかなか土の中ことはわかりにくいんです。見えにくいので。ちょこっと勉強します。

25日(水)
 晴れるのかと思ったら、朝からおもいっきり曇り空。雨も降るとか降らないとか。草刈りに出る予定です。

『三人の妻への手紙』と訃報と『小原庄助さん』と八月大名

21日(土)
 夜に、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督『三人の妻への手紙』(1949)を観る。楽しめました。40年代のアメリカの生活、暮らしぶりが見えているんだと思うけれど、1945年が第二次世界大戦終結ですからね。負けるはずです(笑)。
 コメディ映画で、なんだか台詞も多いような気がしましたが、家政婦さんがおもしろいことを話していそうなんですが、字幕の日本語のせいもあるのか、あまり笑えませんでした。でも何度か笑いましたよ(笑)。マンキーウィッツはこの映画でアカデミー賞の監督賞と脚本賞をとったとのこと。なるほど。知っている役者さんは若いカーク・ダグラスだけで、貧乏だけれど熱心でカッコいい教師という役でした。しかしアディがどんな女性だったのか、けっこう気になります。
 この『三人の妻への手紙』の設定、いつやったか吉本新喜劇でもパクってました(笑)。

 そう言えば、先日、田回りして、ちょっとクサネムを抜いていたら、田んぼのすぐそばの木が10本ばかり生えていて下には雑草も繁っている薮というか、ちょっとしたブッシュに、たぶんメスのキジが飛んできて、その後盛んに鳴いていた。キジはメスも鳴くのかな。キジはケンケンと鳴くというけれど、実際はグェーン、グェーンとけっこうだみ声ですな。

 笑福亭仁鶴さん、僕が小学生の頃から人気者に。一度うちの村の文化ホールに来られましたので、一席聴きました。何の噺だったか忘れてしまいました。ただ出囃子にのって出てこられると客席から盛んに声がかかるので、上機嫌で「ありがとうございます。テレビも観てくれてはりまっか?どっちですか?生活笑百科ほんわかテレビ?」と言われると、客席からまた「両方!両方!」と声がかかってまた上機嫌でマクラを話されたのを覚えています。うーむ。
 それからノーベル物理学賞益川敏英さん。「小林・益川理論」「CP対称性の破れ」など、受賞の時に新聞にノーベル賞をもらった研究について説明がありましたが、読んでもなに一つ理解できなかったことを覚えています。といって他のノーベル賞のことなら理解できるというわけでもないんですが(笑)。それでもなんとなくどういう研究で、どういう成果だったのか、ぐらいは新聞でボンヤリとはわかったのでしたが、この「CP対称性の破れ」とかチンプンと言われればカンプンと応えるしかありませんでした。でも益川先生はその後、物理学のことだけでなくて、日本の教育や平和について、また政治についてもズバズバと発言されていて、こちらの方は私にもよくわかりました。
 それから今月になってすぐの頃だが、学生時代の友人の訃報を知らせてもらう。近くには暮らしていないので卒業後実際に会って飲んだのは二度か。電話は数年に一度という感じだったが、強烈な不意打ちをくらった感じ。うーむ。


22日(日)
 朝早く起きて事務仕事。そうして一晩寝かした書類をPDFにしてメールで送る。不備はあるかもしれないが、あるだろうが、ちょっとだけホッとする。
 今日から作業所を秋の作業が出来るように、あれこれ準備をはじめる。まあ、最初は掃除からです(笑)。それから水口から水が漏れるのを直そうと、ホームセンターでコーキング剤を買ってきて、コンクリートのひび割れをうめたり、止水板のすり減りを補強したりする。止水板の補強は僕のアイデアだが、もう少しコーキング剤を乾かさないと、ひっついてしまって止水板が動かなくなってしまうのもヤバいので、少なくとも一晩はこちらも寝かせるつもり(笑)。

 清水宏監督『小原庄助さん』(1949)を観る。主演は大河内傳次郎です。白塗り以外の普通の顔の大河内傳次郎は初めて見たような気がします(笑)。昨日見た『三人の妻への手紙』と同じ1949年の作品。終戦から4年目ですね。同じ白黒映画。ですが、画面の景色からも戦場にならず戦争で勝った国と爆弾を落とされ焦土となって戦争に負けた国の違いをすぐに感じました。でも映画は思いのほかおもしろく楽しめました。
 『小原庄助さん なんで身上(しんしょう)つぶした 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした ハァ もっともだー もっともだー』この歌詞はなぜだか小学校の時くらいから知っている。この間の手の「ハァ もっともだー もっともだー」がいいですな。
 大河内傳次郎が身上をつぶしてしまうなんとも鷹揚な人物を好演しています。それから奥さん役の風見章子も奉公の婆さん役の飯田蝶子もスバラシイです。悪い人物が一人も出てきませんな。そうして日本の戦前・戦中のある種封建的な大地主を中心とした社会のしくみが戦後変わっていきます。村長選挙の応援演説などでも、人角の人物であることがわかります。いや、ハリウッド映画のキラビヤカさはどこにもないけれど、名作ですな。ええ、よい映画でした。

 小谷野敦谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中公文庫)を読みはじめる。谷崎はあれこれスキャンダルの多い作家だったし、家族にこんな人がいると大変ややこしことになって困るのは間違いないが、堂々たる人生であることも間違いないわな、確かに。

 しかし、新しい文庫本の値段がすごく高くなってきていますね。まあ、いろいろ事情もあるのだろうことは理解できるが、それにしてもと言いたくなる。でも今コンビニに行って1430円でいったい何がどれだけ買えるのか、ということを思うと納得してしまう。まあ、いったい何がどれだけ買えるのか、とリキんでみても、あーたの場合、どうせビールとおつまみのことを考えているだろう?とお見通しだろうけれど。

 この八月になってから知ったのですが、俳句の季語に「八月大名」というのがあります。初秋の季語です。ネットの歳時記には「八月にちょっとした大名気分を味わうということ。陰暦の八月は刈り入れ前の農閑期。農家ではこの時期を利用して客を招くことが多く、酒肴などにささやかな贅沢も許された。」とあります。また別の歳時記には「 農家にとって八月は、一年のうちで最も仕事が少なく、気楽な月であることをいう。」また別のには「農閑期にただ休むだけでなくご馳走を食べること」と。広辞苑には【八月大名】(はちがつ だいみょう)農家にとって8月は労働をあまり必要とせず、気楽な月であることをいう。《広辞苑・第五版》とも。
 こんな季語があるとは、ちょっと笑える。僕が就農して一年目の八月。父は当時、僕が就農して大いに不機嫌で、僕が「なんかしょーうか?なにしたらええんや?」と訊くと、「なんにもない!今はなんにもない!」と怒って返事されたのをよく覚えている。あの当時は作付け面積も今の1/5ほどだったので、確かになんにもない時期があったんだろうな。今はとてもそんなことは言っていられなくなったが、それでもお盆前後は、さすがに大名気分とはいかないが、すこし気楽。でも秋の作業の準備が始まったので、これからはバタバタが続きます。

23日(月) 処暑
 外が明るくなってきたけれど、雲が低く垂れ込めて小谷山も見えない。
 今日は二十四節気の「処暑」ですね。立秋から数えて15日目ごろ。厳しい暑さの峠を越し、朝夕には涼風が吹き、虫の声が聞こえてきます。暑さが和らぎ、穀物が実り始めますが、台風の季節の到来でもありますね。
 それからこのあたりの地蔵盆でもあります。でもコロナだし、どうなるのかな?

「コシヒカリ」の最初に植えたのは少し黄色くなり、最後に植えたのは出穂してくる


20日(金)
 朝、早朝から事務仕事を少し。その後すべての田んぼの田回りと最初に植えた「コシヒカリ」の何枚かの圃場の尻水戸を切って落水する。雨が続いているので切ることにしました。まだ雨は降るでしょうけれど、コンバインが田んぼの中で動くように土を乾かさなければいけませんし。
 でも少し出穂した穂の籾も黄色くなりかかってきていますね。それから先日の風雨が出穂時に当たったところは、やなり籾が少し茶色くなっているところもありますな。やれやれ。
 それから最後に植えた有機栽培の「コシヒカリ」もやっと出穂してきました。ありがたいです。でも五月中旬に植えた「秋の詩」もほとんど同時に出穂してきている。でも中晩稲の「秋の詩」は、早稲の「コシヒカリ」より登熟にも時間がかかるので稲刈りが一緒になることはないと思います。お天気にも因りますが「コシヒカリ」はだいたい出穂から35日くらい。「秋の詩」は40日ぐらいです。「秋の詩」はどうかな9月末ぐらいからの稲刈りになるかもしれませんね。うーむ。
 なんだかんだでお昼前までかかる。その後、朝飯だか昼飯だかわからない食事。
 午後は農協へ行ったりして、また事務仕事。午後は10分ほどざっと降る。




21日(土)
 朝から事務仕事。なんとか作った書類をPDFにして、メール添付で送る予定。今、ちょっといろいろチェック中(笑)。
 昨日からGIMPという画像処理があれこれできるフリーのソフトを立ち上げて、画像に薄く色をつけたり、文字を入れたりする作業をやろうとしたら、どうもレイヤーの処理がうまくいかない。オカシイ、オカシイ!オカシイ?と一時間半ほどバタバタしたのだが、なんのことはない、レイヤーの重ね具合の処理で「消しゴム」というモードになっていたのでした。「消しゴム」そんなの初めて見たぞ!?なんだかなぁ。ちゃんと「標準」に戻したらいつものように動き出しました。やれやれ。GIMPの解説本は一冊持っているのだが、網羅的に解説されても、多機能なので使わない、使えない機能も満載なので、どうもね、使いにくいんですよね。

 谷崎潤一郎原作『谷崎マンガ 変態アンソロジー』(中公文庫)読了。いろんな漫画家が谷崎の小説や文章を原作としてマンガ化したものです。おもしろくて楽しめたけど、ま、それだけ、という感じかなぁ。たいてい読んだはずなんだけれど、ほとんど忘れている。どうなってるんだ?手元に谷崎の小説の文庫があれば思い出すこともあるのかもしれないが、一冊もでてこないのだ。やはり処分したのだろうな。もう読まないと思ったのかも。まあ40年という時間が流れていますからね。ここ一年、二年の私の読書量からすると、確かにもう一度は読めそうにないのだが、手元にないとわかると、また読みたくなるなのでありました。明日からは谷崎の評伝を読む予定。

筋肉痛と事務仕事と『谷崎潤一郎 性慾と文学』


18日(水)
 昨日の続きで午後からのことを書くけれど、午後から両腕、両肩の筋肉痛が出てきた。前日の苗箱を作業所の二階に上げる作業が原因ですな。朝からではなくて、午後から出てくるところが、老いでしょうか(笑)。でもいつだったか一日あいてから出てくるときもあったしなぁ(笑)。
 夜、先日から続いている事務作業も佳境にはいり(事務作業で佳境はおかしいか、山場を迎えのほうがいいですね)、長男に資料の数字を読み上げてもらって、僕が入力するということを2時間半ほどしたんですけれど、なんですな、両腕、両肩がバキバキの筋肉痛だと、集中してキーボードを打つのも疲れるというか、集中力がいよいよ続きませんな。でも山場は超えました。ありがたいです。


19日(木)
 お昼前に大雨警報が出て一時間半ほどざぁーっと降る。でもその後は止んで夕方に警報も解除。ちょうど雨の時に用事でクルマで外出したりお茶を買ったり。
 午後、千葉俊二谷崎潤一郎 性慾と文学』(集英社新書)読了。今日、届いたのですが、ちょっと読みはじめたら、どんどん読めて、最後まで読んでしまいました。ええ、性欲でなくて性慾です(笑)。学生時代に谷崎は一時期、よく読んだんです。どこかに当時の文庫本があるかと本棚を探したけれど、一冊も見つかりませんでした。おかしいなぁ?まあ40年前の文庫本で、カバーもかけてないので、見つけにくくなっているのか、古いので処分してしまったのか?一番最初に谷崎を読むきっかけになったのは『陰翳礼賛』です。丸谷才一だか、誰だったかの『文章読本』に谷崎の『陰翳礼賛』が載っていたんですよね。いやぁ、確かに名文だと思いました。ってほんとに名文だけど。まあ、ぜんぜん性慾とは関係ない文章でしたので、『春琴抄』とか『刺青』とかを読み出して、ちょっとびっくりしましたけどね。サディズムマゾヒズムというか、いけないものに触れてドキドキしたのは覚えています。でも、どれもこれもが名文なんだなぁ。ああ、でも『細雪』は未読なんだなぁ。市川崑監督の『細雪』も観てみたいと思っているのですが、もう絶対谷崎の文章というか小説を先に読みたいと思う気持ちもあるので、まだ観ていません。前にも一度書いた気がするけれど、文豪という言葉の響きに堪える作家といえばやっぱり漱石、鷗外、そして谷崎だなぁ。
 浪曲を聴いたり、落語を聴いたり、囲碁対局のテレビを観たり、すっかり「老い」というか、「枯れ」というか、肉体的にも、脳みそ的にも機能の衰えをあちこちで感じはじめている今日この頃ではあるのですが、谷崎の「性」に対する探求には頭が下るなぁ。どこかに谷崎の年譜もあったはずなんだが、谷崎の還暦の時の仕事を調べてみなくては、と思ってネットで検索してみたら、ちょうど『細雪』を書いていた頃ですね。やっぱり読まなくては。
 まあ、考えてみれば、「老い」も自然の摂理ですから、自然界のめぐる季節に身をまかせるしか仕方がないのですが、性欲もまた生き物にとって、というか、自然界の摂理そのものではありますね。まあ、ですから若い人はもちろん、中高年にも「性欲を侮るなかれ!」といっておきましょう(笑)。ま、私の場合性欲に侮れられているかもしれませんが(笑)。
 そういえば。
   吾未見好徳如好色者也。(『論語』子罕第九)
   吾れ未だ徳を好むこと、色を好むが如き者を見ざるなり。
   私はまだ、徳を好むこと、女色を好むようにする者を見たことがない。
と、孔子先生もおっしゃってますね。



 オリンピックが終わってプロ野球も再開されましたが・・・。カープも今日は久しぶりに勝ちそう。いや相手はドラゴンズだからわからないけれど。どうも赤いカープは青いチームに弱い気がする。ってドラゴンズとベイスターズだけど。今日はこのところ一番打者の野間が活躍しました。ま大瀬良のピッチングもすばらしかったけど。
 日本で赤いチームといえばカープだけれど、メジャーではエンゼルスだけど、大谷翔平選手投げて勝ち投手で8勝目。打っては40号ホームラン。ほんとこの調子なら、春に誰かが言っていたけれど、10勝、50HRで、ピッチャーがホームラン王になってしまうかも。まさかね。そんなことはね。と思いつつちょっと期待してしまう。怪我だけはしないでね。充分気をつけテェ、チョウダイ!ええ、財津一郎風に読んでくださいね(笑)。

大雨と事務仕事と苗箱の後始末と落語と浪曲『竹の水仙』


17日(火)
 朝から曇り空、雨がときどき。午後は雨が降ったり止んだり。夕方に大雨警報。やれやれ。
 午前中に農協へいって、通帳のあれこれ。その後は事務仕事。
 午後は事務仕事をして、その後、春の田んぼ作業で使った苗箱が、作業所の一階に積んだままだったのだが、それを二階にあげる。普通の農家はパレットに苗箱を積んで、リフトかなんかでシュルっと二階へあげて並べるんだが、うちは二階へ上がるのは梯子ですからね。ハシゴ。父が若いときに建てた一応二階建ての作業所なんですが、当時はそんな百姓がリフトを使うなんて、まだ考えが及ばないものですから一階の天井が低いんですね。それでリフトが中へ入れないんです。で、その低い二階へ上がるのにも昔ながらの梯子を掛けてあがる仕様になってます。ちょっと重たいものを上げたり下ろしたりするときには、上と下に人を配置して、上ではロープを上げたり下げたり、下ではまあ、そのお尻を支えて上げたり下ろしたり、梯子に伝わせてやっています。いやはや。
 今日も、長男に二階に上がってもらって、僕が20枚ほどの苗箱をもって梯子を数段上って二階に苗箱を置く。長男が二階でそれをきれいに積み上げていく。という塩梅です。2時間ほど黙々とiPhoneで落語を聴きながら頑張りました。汗だくになりましたが。いえ、今ごろこんな作業をしているのにはわけがありまして、晩春に一度1/3ほど上げたんです。大汗をかきました。その後、一度上げようと思ったのですが、作業所の二階に上がった途端に、何もしないのに大汗をかきました。瓦が太陽に照らされて焼けに焼けてますから、サウナ状態。30秒で大汗。というわけでのびのびになって、今時分になってしまったのでした。やれやれ。


 仕事しながら聞いた落語は立川志の輔の「徂徠豆腐」「柳田格之進」「浜野矩随(はまののりゆき)」。さらにこのブログを書きながら志の輔の「井戸の茶碗」、小三治の「芝浜」。ええ、いつもiPhoneの中に入れている音源からです。どれも名演でスバラシイです。
 私は落語ファンですが、寄席に通う落語ファンではないので、カセットテープやCDやDVDやYouTubeの音源を集めて聴くファンですので、どうしても年寄りの評価のかたまった名人や今はもういない名人ばかり聴いているのですが、そういう音源ばかり聴いていると若い人の落語はなかなかおもしろく聴けないんですよね(笑)。でも上方落語の若い人の落語は、できるだけ聴こうとはしているのですが。むひひひ。


 例の囲碁ゲームですが、9路盤で4目置かせてもらって、勝てるようになりました(笑)。私の進歩、腕の上げ具合のスピードもなかなかです(笑)。3目しか置かせてもらえないと負けてます。



18日(水)
 昨日は早く寝床に入ったのだが、夜中に右足が攣って目を覚ます。しばらくしたら今度は左足が攣って目を覚ます。どうも昨日両手で苗箱を抱えて、バランスを取りながら梯子を何百回となく上がったり下ったりしたので、足になにがしか疲れがたまったのだろう。仕方がないので起きたら夜中の12時だ。どうしようもないのでビールを一本飲みながら、京山幸枝若『竹の水仙』をYouTubeで観る。『竹の水仙』は落語の演目だが、どっちが先かはわからないけれど(たぶん落語かなぁ)、浪曲でもやりますな。落語と浪曲と同じ演目の場合、落語もいいが浪曲はもっといいです。というか私はそう思っています(笑)。
 誰だったかな、誰かが書いていたけれど、昔、家にラジオがあったのだが、昔は浪曲はすごく人気があったから定期的に浪曲の番組があって、その時間になると、お隣のおじさんがラジオを聴きにくるのだと、で、縁側にラジオを向けると二、三十分じっと黙って俯きながら庭先で聴いて、聴き終わると会釈して帰っていくのだと。誰だったかなぁ?誰かのエッセイで読んだんだと思います。
 浪曲は、基本、落語で言う人情噺ですからね。それが三味線に合わせて節をつけるわけですから、まあ、庶民からは受けたんでしょうな。京山幸枝若さんは、関西の人だし『竹の水仙』の舞台も近江の大津の宿になっています。落語だと藤沢宿になりますね。
 どうぞ、二丁三味線に乗った幸枝若さんの美声と名調子に泣いてください。これ何度か観てるんですけれど、あたしゃいつも最後のところの名調子に思わず知らず泣いているんです(笑)。