現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

マニフェストのことと大豆のに除草剤

11日(火)
今朝は地震で目が覚めたのだが、すぐに台風というか雨の様子を見に田んぼに出る。
しかし、このところの雨の被害やら地震の被害やら、いつも書いていますが、日本の、いや世界の自然環境が変わってきていますよね。早くそれなりの対策というか、心づもりをしないといけないと思うのですけれど、世の中はなかなか動いていませんね。
僕が百姓をしているからなのかも知れませんが、大前提としてある自然環境が変わっていけば、日本の農業は不安定になります。日本の農業は縦に長い弧状列島のそれぞれの自然環境にあわせて農業をし、景観も文化も作られてきたのに、そのおおもとが変わっていけば農業はとたんに不安定になってしまいます。父や母、というか、先祖が脈々と暮してきた文化や景観や自然環境の中で僕も生きて暮していきたいし、子供たちにもそういう脈々たるものを肉体で感覚的に憶えていって欲しいと思っています。





選挙のこと。
各党からまあ、早かった党も遅かった党もありましたが、選挙公約のマニフェストが出て、あれこれ話題になっているわけです。一般紙の中日新聞ではほとんど取り上げられていませんが、日本農業新聞では連日取り上げられているのが、民主党の日米FTA(自由貿易協定)に関することで、民主党は最初、日米FTAを締結する、とマニフェストに書いて発表したら、農業団体、農業者から「日本の農業を潰す気か!」と猛反発を食らって、日米FTA交渉を促進する、と修正すると発表したのでした。誰が考えたって、日本と合衆国がFTAを締結して自由貿易になったら、安い農産物が大量に自由に入ってきて、日本の農業はダメになるでしょう。自給率も下がるのではないでしょうか。
そんなこんなで農家の戸別所得補償制度で、人気を得たかのような民主党は慌てて修正をしようとしたのですが、小沢氏が「農家には戸別所得補償を提案しており、食料自給体制の確立と自由貿易は矛盾しない」と述べたとか。戸別所得補償制度と関連付けて、貿易自由化で国内農産物の価格が低下しても、農業者に補償をすることで、自由貿易と国内農業の存立が共存できるということなのでしょうが、そんな、あほな。いったい国は農業者にいくら補償しようというのでしょう。どんどん米や野菜が入ってきて値段が下がっても、それを補償し続けるのでしょうか?そんな、あほな。それで日本の百姓が頑張って作った、輸入物と比べていささか高い米や野菜は誰が食べるのでしょう?小沢氏の言う「農家には戸別所得補償を提案しており、食料自給体制の確立と自由貿易は矛盾しない」とは、どういうことか、どう矛盾しないのか、ちゃんと聞かせていただきたい。
きちんと働いて、働いた分の所得は得たいというのは労働者として当たり前のことだけれども、百姓はそうして働いて作った作物を食べてもらいたい、食べてもらって「おいしい!」と喜んでもらいたい、という気持ちを誰もが持っているし、それが百姓のやりがいであり、働きがいであり、喜びでしょう。政治家がそういうことを理解していないような発言を聞くとがっかりします。
こんなことを書くと林業関係者に叱られるかもしれませんが、ここ何十年、日本の林業はずっとあえいでいます。それは60年代に木材の輸入自由化になって、安い木材が海外からどんどん入ってくるようになったからです。日本の国土の7割は山であり森林です、と小学校の時に習いました。今の数字ははっきりとはわかりませんが、Google Earthで日本の上空を飛んでみれば、日本が山の国であることはすぐに誰にでもわかるのに。農業が同じ道をたどらないようにしないといけません。
世界の食料需給は中長期的に逼迫(ひっぱく)基調にあることや、先進国で最低のわが国の自給率が心もとないこと。またその自給率も設定された目標に対して計画通り向上していないのははっきりしています。
マニフェストについては、ほかにもいろいろ思うことはあるけど(たとえば憲法の問題とか、安全保障のこととか)・・・。とりあえず、農業のことを。
長い間ずっと自民党の政治だったし、それがうまくいかなくなっているのは明らかなので、ほかのところにやってもらいたいという気持ちは強くあります。日本農業新聞民主党の日米の自由貿易協定に関するマニフェストを叩いていたり、反対集会の記事を連日取り上げているのは、もちろん大事なことだからですけど農業団体が自民党支持だからということもあるかもしれません。ほかの一般の新聞があまり取り上げないのはどうして?
まあしかし、日本の工業製品を世界中で売りまくるために、そのかわりに農産物を世界中から買わなくてはならないというような仕組みはなんとかならないものか。


12日(水)
台風が抜けたからか、朝から晴れ上がって青空。暑い!
雨で大豆の中打ちができなかった大豆の圃場の雑草がひどいことになってきた。もう花も咲き始めているし中打ちにテーラーを入れることもできない。それで試しに大豆の除草剤を散布してみることにした。大豆には影響がないけれども、ほかの雑草(ヒエなどのイネ科の雑草をのぞく)には効果があるという除草剤だ。いくぶん草が伸びすぎている感があるしどれくらいの効果があるかちょっと不安だけれども。圃場2枚分に噴霧器を背負って散布したのだが、いやはや、暑い。後半はくらくらしそうだった。
帰ってきて噴霧機の掃除をして、シャワーを浴びて、冷たいトマトにかぶりつき、ビール!少し遅めの昼食をとって午睡。


午後は田回り。次女と犬の散歩。