現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

「TPP問題の本質」とあれこれ

大河ドラマ江〜姫たちの戦国〜』の第四回、第五回と続けてみる。本能寺の変のあたりです。信長も光秀もお市も江も熱演だし、楽しみましたが、やや作りすぎかなぁ。でもまあテレビドラマだからねぇ。僕はそんなことより、舞台がどんどん近江の湖北から離れていってしまっていることの方が気にかかっている。江・浅井三姉妹博覧会などと、まだ博覧会は見にいっていないのですが、気にしています。うちのすぐ近所に「浅井・江のドラマ館」も「小谷・江のふるさと館」もあるのですが、ドラマでまた湖北の地に光は当てられるのかな?


昨日の日本農業新聞金子勝氏の「TPP問題の本質」という文章が載っていました。以下その要約。

f:id:tsujii_hiroaki:20100316233243p:image

菅直人首相がスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で講演し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の結論を6月までに出すと改めて表明した。政府はTPPを「平成の開国」とうたい、経済界は「自由貿易の波に乗り遅れるな」と世論を煽っている。
しかし、TPPは米国企業が日本市場に入れないことを不公正とする「公正な貿易」の強制であって自由貿易ではない。「失われた20年」といわれる失敗を繰り返してきた官僚や経済界が責任を回避するために、失敗を一挙に挽回しようと無理やりに推し進めている。彼らはTPPによって日本経済がいかに立て直せるかシナリオを描けないがゆえに、TPPの本質を隠す。
TPP問題の本質は、農業の輸入関税撤廃だけではなく、24の分野での規制緩和を求められ米国ルールに従う点にある。TPP交渉は分科会が設置され、農業のほか金融や労働、サービス、公共調達、知的財産権など24分野が対象に挙がっている。分科会での具体的な検討状況は不明だが、米国にとっての「公正な貿易」を実現するための交渉が展開されていることは容易に想像がつく。日本がTPP交渉に参加すれば、世界基準でも何でもない「アメリカンスタンダード」の下で、ありとあらゆる規制緩和を押し付けられるのは必至だ。
管首相はそんなTPPを急激に推し進め、この国を破綻させようとしている。日本を壊した「小泉構造改革」以上の構造改革派として、国民に示したマニフェスト(政権公約)をかなぐり捨てて、自民党の対米重視路線を焼き直すだけの管首相の暴走を許すわけにはいかない。
経済界は、TPP参加により日本の対外輸出が伸びることで、農業の壊滅的な打撃を越える経済効果が得られるというが、それも大きな間違いだ。
仮に自動車などのわずかな関税をゼロにしても、米国がドル安に誘導すれば関税撤廃のメリットはあっという間に相殺されてしまうだろう。また、オバマ政権は今後5年間で、輸出を倍増して雇用を200万人増やすと表明している。TPPはあくまで米国の輸出を倍増する計画の一環であり、日本の対米輸出が増えるものではないと考えるのが自然だ。
世界経済の中心が東アジアへとシフトする中、中国と韓国がTPP交渉に不参加であることを考えれば、輸出増大が期待できないことは明白だ。衰退しつつある米国の利益のためにつくったTPPに飛びつくようでは、この国に未来はない。それが判らない経済界はまさに愚かとしか言いようがない。
さらにTPP参加で米やコンニャクなどの重要品目の関税をゼロにすれば、食料という最後の生殺与奪権を米国に委ねることになる。日本はすでに米軍の駐留で軍事を掌握され、エネルギー資源もかなりの割合を米国に依存している。食料まで米国に握られてしまえば、日本は米国経済と完全に一体化し「植民地」になってしまうだろう。
国のかたちを根底から揺るがすほどの重大な問題であるのにもかかわらず、大手メディアは農業対他産業という単純な利害対立の構図でしか報じず、肝心の24分野についてはまったくといっていいほど伝えていない。一刻も早くTPPの本質を国民に伝え、この国を徹底的に滅ぼす「暴論」に終止符を打たなければならない。
f:id:tsujii_hiroaki:20100316233243p:image

YouTubeに国会審議の様子がいくつもアップされています。僕は日本共産党の独善的な物腰や物言いがいつも鼻について、もひとつ好きにはなれませんが、TPPの問題が浮き彫りになっているのは、これとかあれでしょうか。
TPPへの参加については、いろいろ意見があるのは知っています。賛成派から反対派まで。でも農業の問題だけではなくて、“TPP問題の本質は、農業の輸入関税撤廃だけではなく、24の分野での規制緩和を求められ米国ルールに従う点にある。”という視点で、テレビでも新聞でももっと報じて欲しいところです。
などといささか身の丈に合わぬことを書いてしまったかな。


末次由紀ちはやふる』を読む。6巻から9巻まで。調べたら11巻まででているようですね。枕頭本には小尾芙佐訳の新訳版の『夏への扉』と村上春樹『雑文集』でぐだぐだしているのだが、二時間ほどカルタの世界にはまってしまった。