現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

プール苗代の床作りと「春の気配」

プール苗代の床作り

7日(水)
プール苗代の床を作る。秋にすでに鋤いてあるのだが、水を引いてきて、トラクタで土をこなします。要するにドロドロの泥にするわけです。で、泥を水平に、均平にします。あとは自然に水が引いて土が硬く固まるのを待つだけ。プール苗代はこの土の上にビニールを敷いて苗箱を置き、苗箱から芽が出てきたら水を張ります。ちゃんと水平均平になっていないと水を張った時に、苗箱に水が浅いところや深いところができてしまいますからね。もっと早くしてもいいのですが、あまり早いと草が生えてきちゃうのもまずいですし。


8日(木)
HPの方にアルバム「春の気配」をアップしました。写真をクリックすると大きく見ることができます。やっぱり今年は梅がちょっと遅れているように思います。ま、気温さえこの調子でぐっと上がってくれば、一気に春らしくなってくるのでしょうけれど。


役場にいったりしてパソコン仕事。


今朝の日本農業新聞に東大教授の鈴木宣弘氏がコラムを寄せていた。以下のその要約。
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意図的なウソによって人々の判断を誤らせ、国の将来を損なってしまったら、その責任をどうとるつもりであろうか。環太平洋連携協定(TPP)推進論には、そういうウソが多過ぎる。少なくとも48個あるというのが、われわれの最新著であるが、「日本の米はTPPでも生き残れる」という議論も非常に危険である。

米をゼロ関税にした場合に、1俵(60キロ)14,000円弱の基準価格と3,000円位の輸入米とを差額補填すれば、毎年一兆7000億円もの税金が米だけで必要になり、そのような財源確保は不可能だというわれわれの指摘に対して、「輸入米は今9,000円位になっているから差額補填はわずかですむ」という反論がある。

今は輸入枠があって、差益の部分を輸出国が上乗せして売れるから高値になっているのであり、枠がなくなって自由な競争になれば、輸出国間のコストの競争になる。米国の生産者米価は一ドル80円で計算すると、1俵2,000円強である。そういう水準との戦いになることを充分判っている人たちが、9,000円だから大丈夫だと言っている。

大規模稲作農家のなかには、それならば自分は大丈夫だと自信を持っている人もいる。ふたを開けて取り返しのつかないことになったら、農家と国民にどう責任をとるつもりか。

それから、ゼロ関税なるまでに十年間の猶予があるから、その間に頑張ればいいじゃないかと言う。現場を見てから言って欲しい。日本で相当に大規模な30ヘクタール位の経営でも1俵一万円位かかる。相当低い方でも9,000円である。10年の間に日本の土地条件でいくらと土地を集めても、残念だが、2,000円や3,000円になるわけがない。現場の実態を無視した議論は不毛である。

さらには、日本の米は品質が良いから大丈夫だと。確かに日本の米はおいしいが、だから絶対に大丈夫という議論は非常に危険である。この間、良食味を誇るある県で、目隠し実験で食べ比べをしてもらったら、消費者の半数以上が県産米よりカリフォルニア米のほうがおいしいと答えたという。

しかも、次に言われるのは、カリフォルニアは水がないから大丈夫だと。カリフォルニアは水不足でも、アーカンソーでは水は潤沢である。アーカンソーが、今、長粒種を作っているのは、それがビジネスチャンスだからである。日本がどんどん輸入することになれば、当然日本向けの米を作り始める。ベトナムでも中・短粒種が十分にできる。

普段はビジネスチャンスに応じて品質や量がどんどん変わってくると強調している人たちが、TTP推進になると、日本の質は絶対で、世界の供給量は増えないから大丈夫だと正反対のことをいう。「良心の呵責」に期待したい。

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もちろんTPPの問題は米や農業の問題だけではない。医療や保険や金融やあれこれあるので、国民みんなの問題です。「良心」はこちらにあるみたいな書き方はしたくないけれど、内閣総理大臣は「TPPについては、国益を損なうことはしません」とおっしゃっていますが、総理大臣のおっしゃる国益とはどういうことなのか一向に説明なさらないのは、不誠実と言われても仕方がないのではありますまいか。政治家や官僚たるもの細かなところにまで目を行き届かせるのが仕事ですから、百姓の言い分ばかりは聞いていられないのでありましょうが、大企業の言い分ばかり聞いていてもらっても困るのであります。


Appleのイベントで新しいiPadが発表されたり、それに合わせてあれこれアップデート。