現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

終日畔塗り

洗い終わった三分づきのお米

それほど陽射しはないが、温かい一日。朝の犬の散歩の時は濃い霧でした。
終日、畔塗りをする。昨日よりは土がもう一つ乾いていない田んぼで、ちょっと塗りにくい。


画像は洗い終わった三分づきのお米。



今朝の日本農業新聞の「日本の進路」という特集に、倉本聰が文章を寄せている。以下その要約。

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TPPをエネルギー問題と結びつけて考えてほしい。人類は石油を8000億バレル使い果たし、現在の埋蔵量は1兆2,000億バレルといわれる。これは富士山で何杯分か。答えはわずか1/7杯。これが全世界の石油タンクなのだ。その上、中国やインドなどが我々並みの使い方をするようになり、たちまち残りは少なくなる。
一方でメタンハイドレートといった新たな資源も実用化のめどは立っていない。加えて国内では原発が悲惨な状況だ。最優先すべきはずの原発事故の収束、震災復興もなかなか進まない中でTPP論議がどんどん進んでしまう。今の日本は手足がバラバラのままで突き進んでいる気がする。
TPPは開国論議だが、現状を極端に言えば鎖国に戻りつつあると思う。論理的に考えれば将来的には石油が途絶える。石油が無くなれば流通は様変わりし、TPPのようなグローバルな交易は不可能になる。石油文明は滅びかかり、交易ができなくなる方向に時代は向かっている。
北海道中富良野町で10ヘクタールを耕す五十代の農家に、石油がなくなったらどうするのかと聞いたら「親父だったら1ヘクタールはやるだろう」と答えた。なぜなら「親父は馬を使えるし、何より根性がある。俺はトラクターしか知らないし、土日は休みたい」と。
北海道では、農地改革でばらまかれた土地が離農の裏で残った農家に集まり、再び大型化が進んでいる。大型、米国型の農業は工業化しないともたない。石油におんぶした半分工業化した米国型の農業が広がり、古来の農業技術が伝わっていない。石油がなくなったら、農業そのものがわからなくなってしまう。農業はアグリカルチャー、文化だ。文化が伝承されないことはとても恐い。
米国発の金融とIT (情報技術)を結びつけた金融資本主義はバーチャル(仮想的)な世界だ。ITも金融も、金を介在させてものを食う。今は皆、食うものをどう作るかを知らずに食っている。
例えば日本の借金は900兆円を超えたというが、900兆円、これがよくわからない。100万円の札束は厚さが約一センチ。1兆円を積めば高さは10キロになる、1兆円の束を実際に見た人は恐らくいないだろう。十キロは対流圏と成層圏の間、航空機が飛ぶ高さだ。
1兆円の札束を握ったこともない者が平気で一900兆円と口にする。それを「おかしい」と思わなければいけない。今の日本はもっと大きな金儲けに目がくらみ、いろいろなところに手を出し始めている。
脚本家や役者の育成のために「富良野塾」を開いてきた。塾生は2年間、農作業をやりながら学ぶが、脚本家や役者の育成という本来の目的よりも人間的な変化のほうが大きい。農業で人々は確かに変わる。
環太平洋連携協定(TPP)を推進する官僚たちは土をいじったことがない。農水省職員でさえそうだろう。爪の間が黒い人がいなくなってしまった。土をいじった経験がないものが、机上で農業のことを論じているのは非常に危険だ。僕は爪の黒い人間を信用する。
昨年、来日したブータン国王の姿には品格を感じた。爪の中が見たいと思った。爪の中は黒いんじゃないかと。ブータンのようにチベットの奥地で幸せに暮らす人々に「あなたたちは貧しい。豊かになるために、携帯がありますよ、インターネットがありますよ」と売りつけ、結局不幸にしてしまう。余計なお世話をして社会を画一化してしまう、それが米国が進めるグローバル化、TPPではないか。
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インタヴューをまとめた聞き書きだし、もう一つ話があちこちに飛んでいるし、前回載った記事と重なってはいるし、後半、ぐだぐだになっている気がする。が、いつまでも石油があるわけではない、という話は大昔のオイルショックの頃から言われていることではあるのに、じゃあ、どうするのだ、という話は見えてこない。石油もダメなら原発でどんどん電気を作って、エネルギーはみんな電気にするのか、って話も原発の安全性の前に、そもそも放射性廃棄物の処理もどうしていいかわからない状況ではどうしようもない。うーむ。


糸井重里と谷川俊太郎の対談、なんだか面白い。