現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

内田樹のコメントと「稲刈りはじめました」

稲刈り開始

朝からコンバインやら軽トラを準備したり、忘れていた農協への提出物をもっていったり。


午後から「コシヒカリ」の稲刈り開始。まあ、試運転というところ。


概ね調子良かったのだが、コンバインがタンク満タンですよ、と教えてくれていたのに、もうちょっと、もうちょっと、と刈り取りを続けていたら、籾を詰まらせてしまって、あわてる。やれやれ。


まだ籾が少し青いので水分が多くてさらさらと動かないんだな。うーむ。


夕方から病院へ母の見舞い。元気にリハビリしているようでありがたい。

昨日だったかの日本農業新聞内田樹氏の「同胞守る社会」という文章が載っていた。聞き書きの記事のようです。以下、その要約。

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国民が民主党に期待したのは、自民党が進めた新自由主義的な政策の補正だった。鳩山政権はその使命を理解していたが、首相が変わるにつれて、もと来た道、小泉構造改革をさらに露骨にしたものに戻ってしまった。
経済の国境を無くそうとするTPPは新自由主義の最たるものだ。自由貿易論者は、原産国を問わず、安い方を買うのが当たり前だと言う考え方を消費者に刷り込む。実際多くの消費者がそう行動し、コスト削減が得意な多国籍企業が潤う一方、農業など、守るべき社会基盤が損なわれてきた。
グローバル資本主義の信奉者は、競争力のある一部の産業が国際市場で勝ち抜くことを優先する。勝者が得た利益が国民に滴り落ち、経済が豊かになるという理屈だ。だが、これが実現しないのは米国などの例が証明している。利益は企業の内部留保役員報酬に回り、労働者には渡らない。そもそもTPP交渉に参加しようとする人々が理想とする「生産性が高い」産業とは、労働者が少なくて済む産業のことだ。自由貿易を進めれば仕事が減ることに国民は気づくべきだ。
一人の金持ちがハワイ旅行で10億円使うより、一万人の観光客が10万円ずつ使う方が経済効果は大きい。消費は衣食住に関わるものが主であり、活発に消費する人が多い方が経済は活性化する。この状態こそ、望ましい国民経済のあり方だ。きたるべき選挙、政局では「国民経済を守るか、多国籍企業も守るか」が対立軸になるべきだ。
非常事態での人々の行動を描くパニック映画では、我先にと逃げる人が命を落とし、子供や老人をかばいながら行動するグループが助かる。一般的にも老若男女を含む相互扶助集団のほうが、持続可能で強いグループになる。短期的な合理性を追求し、足手まといの人を切り捨てる集団に連帯は期待できない。
地方の商店街が衰退する際、商店の家族は、割高でも互いに商店街の中で買い物をしようと誰かが言うべきだった。目先の損得勘定で安いスーパーに行けば地域経済が瓦解すると警鐘を鳴らすべきだった。政治家も経済学者も「滅びるものはしょうがない」と沈黙してきた。だが国民が自らの商品選択で、地域経済や農業を守る方向に転換するべき時だ。
日本に必要なのは同胞を抱きしめる事だ。東日本大震災で若者は価値観を変えた。単純に安いものを選ぶのではなく、国産を選ぶほうが、結果的に自分の生活を支える社会基盤を守ることになると理解し始めている。これは見かけ上コストが安いからといって原発を選ぶのか、安全な電源を選ぶのかという問題にも通じる。大企業のリーダーは1億2,000万人の同胞をいかに守り食べさせていくなど考えない。それを考えるのは国民であり政治家である。
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