現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

麦の播種と夢応の鯉魚


今日は一日麦の播種。暑かった。
ラクタで起して、麦を播種して、元肥をやり、またトラクタで覆土する。麦の播種と元肥は動噴でまくので、けっこうしんどい。
でも天気はいいし、土はよく乾いているし、うまく播種できたのではないかとおもいます。明日もつづいて播種します。


お昼過ぎにふと気がつくと、家の裏の川に水がきていない。防火用水の水でもあり、滅多にとまることはないのだけれども・・・。ふとみるとすでにアブラコやカワムツが死んでいる。ドスンボもなんだか干上がっている。30センチくらいのコイも半分泥に埋まって、死んでいるのかと思ったら、なんとか鰓が動いている。慌ててバケツを持ってきてコイを入れ、外の流し場に水を溜めて放してやる。うーむ。コイがおぼれているぜ。でもだいぶ大きな口がパクパクと動くようになってきたけれど、裏返ったり、横向いたりしている。うー、これはいかん、とおもったが、すこし水道の水を流したままにして、麦の播種にいく。
夕方、日没と同時に帰ってきたのだが、裏の川に水は流されていた。コイは少し元気になっていたので、また川にいれてやる。「おい、コイよ、恩返しはいらんぞ。しかし、どうしても恩返ししたいというのなら、恩返しをうけるにやぶさかではないぞ」と言っておいた。


上田秋成の『雨月物語』の「夢応の鯉魚」の話が頭の奥でなんだかうごめく。原文で読むのも、わりと読みやすいですけど、石川淳の『新釈雨月物語』もいいです。というか、上田秋成の『雨月物語』以上に躍動感があっていい感じ。


うーむ、さて、コイの恩返しはあるのか。期待せずに待ちましょう。って、期待し過ぎだけど。まあ、態度としては「やぶさかではない」という、物欲しげな態度ではありませんと、きっぱり宣言しておきましょう、とりあえず。なんだか松山千春の♪恋にゆれる 心ひとつ〜となんだか妙な歌まで頭の中で鳴り出しました。鯉は通じて恋となす、でしょうか。コイさん、たのんまっせ。